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自分というダメ男

小学校、中学校の夢は古本屋

子どもの頃の夢。
ぼくらの世代の男の子だったら、代表的なのが野球選手とか宇宙飛行士とか。
あと歌手とか。
そんな中で、当時のぼくのあこがれは、近所に何件かあった古本屋で働くことだ。
働くといっても、かび臭く雑多な本が並ぶなかで座って、商品の本を静かに読み、たまにお会計したり時折くる友人と抑えた声でおしゃべりする。
あの頃のぼくの中で、これほど楽しそうな職場はなかった。
本に囲まれて、静かな水の中のような平和なところでのんびり読書するだけでお金をもらえるなんて。
これだ!
と思ったのを覚えている。

これを親父に言ったところ。

「そんなもんで飯は食えない。引退したおっさんが暇つぶしにやるもんや」

と言われて夢から除外することになった。そうか。現実は結構きびしいんだなと思った。

大東京ビンボー生活マニュアル、失踪日記


ものすごーくあこがれる生活。いまでもやりたい
行き詰っていたときのバイブル

この二冊は、青春時代にハマっていた。特に大東京ビンボー生活マニュアルは全巻揃えて度々読み返していた10代後半のときに、またもやおやじに

「こんなもんに憧れたらあかんぞ」

と苦言を呈される始末だった。しかし、お金のないなりに満ち足りた生活を送る主人公のコースケさんの哲学のようなものは、今でもしっかり自分の中に根を張っていると思う。
あまりモノもしがらみも要らないし、読書と映画さえあればいいんじゃいという。

失踪日記は、すごくリアルに描くと重い話を軽いタッチで表現している。
しかし、当時行き詰っていたぼくは、この本を読んで今のにっちもさっちもいかなくなった自分ではなく、人生を降りてまったく新しい自分になるということに強烈にあこがれを持ってしまった。

結局この世は競争心のない、だらけたことが好きな自分にはふさわしくなく、人生降りて生きていけたらそれでいいよというところがある。

今の家族がいてこどものためにも頑張って働かなくちゃっていう自分もえらいよなと思う。ほんとは何にもしたくないんだもん。

あー、一日中図書館にいて、一人住まいの小さなアパートでひっそりと暮らしていきたい。

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