一般社団法人RCAA協会理事の萩原大巳です。

はじめに

3月29日、100年企業であるキッコーマンの株価は10480円、時価総額はなんと1兆9000億円に迫りました。10年で株価総額は優に10倍を超えた優良企業です。
英語で醤油は「Soy Sause」、又は「Kikkoman」。そう、アメリカ人の好きなキッコーマンフレーバー（ソイソースフレーバー）です。
「醤油味」を世界に紹介した日本の伝統調味料の会社です。
成功の要因は、アメリカ進出です。海外進出が早い会社はSONYでもHONDAでもありません。「KIKKOMAN」です。

1950年(昭和25年)アメリカにマーケティング会社を設立、茂木友三郎（現在名誉会長）がステーキに相性の良い醤油味「キッコーマンフレーバー」をスーパーの店頭で焼いて試食させて大人気となりました。アメリカ食文化の代表バーベキューもキッコーマンフレーバー、マクドナルドの照り焼きバーガーもビフテキもキッコーマンフレーバーです。

味付けレシピと食材をセットで販売し、売上の7割弱は海外です。EUでも日本食の人気は高く、中東、東南アジア、中国、アフリカ、世界の食文化遺産「和食」は、世界でますます人気となることでしょう。

現在の社長はキッコーマン8代目、創業一族13代目当主堀切功章氏です。現在でも企業理念は代々の社長、従業員に脈々と受け継がれ、企業の行動指針の要です。
「日本の食文化を世界に発信、世界と食文化の交流を図り、さらには各国の食文化との融合を実現していきます」

ちなみに、一般的アメリカ人はキッコーマンが日本の会社とは知りません。アメリカの会社と思って人が多いです。見事にキッコーマンフレーバーはアメリカの食文化と融合し、新しいアメリカ食文化となりました。

江戸前四天王「寿司」「天麩羅」「蕎麦」「鰻」

明暦の大火「振袖火事」は、江戸の三分の二を焼き尽くしました。復旧のため、全国から大工、左官、鳶、土方、様々な職人が江戸で働きました､彼らの食を支えたのが屋台です。そこで生まれ、大人気だったのが江戸前四天王「寿司、天麩羅、蕎麦、鰻」です。

この味の元は全て醤油味です。濃い醤油味、東京の味です。
大火の後、火除け地を整備し、神社仏閣の前の広場参道や街道の側道に屋台が立ち並び、繁華街になっていきます。

屋台は余った木材で大工が考案。屋台を売る人、屋台を造る人、使う人、屋台に行く人、花見も月見も、夕涼みも、大衆文化と言う「大外食産業」に発展しました。
特に桜観は、川堤工事で盛り土を踏み締める効果もあり将軍吉宗公に奨励され、この花見は士農工商無礼講､屋台文化を根付かせ日本全国に伝播しました。

今年もまた、目黒川の桜祭りも中止でした。寂しい限りです。来年は花見に一杯やりたいです。日本の花見フードトラックはありません。

温故知新､屋台はフードトラックジャパニーズスタイルです。
モスバーガー「キッチンカー」戦略、アメリカNYでは行列のできる「フードトラック」、LAカリフォルニアでも大人気世界のB級グルメ、21世紀のカッコいいモビリティレストランでしょうか？

モスバーガー「キッチンカー」戦略の未来は？なぜ、アメリカの「フードトラック」は人気なのか？

コロナ禍で、マックとモスはファミリー層のまとめ買い需要が発生し、客単価は上昇し続けました。
三密を避け、「まとめ買い」ニーズです。

モスの戦略は逆張り、密集地のオフィス街ではなく、住宅地のファミリー層のまとめ買いにターゲットを絞り込む戦略です。

ペッパーフードサービス、セブン&アイフードシステムズも1年前からキッチンカーに参入、注目度は高いです。

結果は、両者ともキッチンカーの保有台数は5台にも満たない。話題性はあるが事業としてはスケールメリットを出せず黒字も出せない事業と言えます。

都内駅近100店舗を超えるモスバーガー、わざわざ価格が高いキッチンカーでまとめ買いするだろうか？筆者には疑問です。

新業態「キッチンカー MOS50（モスフィフティ）」は、本年1月より営業をスタート。1号店は大田区のロードサイド(スーツの青山)の駐車場です。

キッチンカーの初期投資は、1台1000万を超えます。スタッフは1台2名、メニューは5品に絞り込み、客単価はまとめ買いのニーズを狙い1000円～1500円程度を目指す。既存店舗が450円～750円と3割高いまとめ買いプライスです。
今年は実証を重ね、トライ&テストにより「新しいバリュー」「新しい商品」に期待したいです。

そもそもキッチンカー「フードトラック」で成功している会社を誰も知っている人はいません。なぜなら日本には成功者はいないからです。

アメリカは、なぜ行列のできるフードトラックがあるのでしょうか？

アメリカ人のワークスタイルをNetflixのドラマで観るとわかります。
朝はスタバでコーヒーをテイクアウト、ランチはフードトラックでタコス、など、世界の「故郷の味B級グルメ」が勢揃い。ヌードル、フォーとアジアンテイストも人気です。
ピザ、ハンバーガーは競合店が多く、人気商品には強烈な個性があります。ターゲットはビジネスパースンの密集地、パークサイドの立地です。価格帯はランチセットで10$1300円、大型Wサイズは15$2000円、カードも使えます。人気店はランチで200セットを売ります。ランチだけで1日30万円の売上を超えます。

カリフォルニアLA、NYは国際的大都市です。多種多様な人種の坩堝、インド系ならスパイスの効いたカレーとナン、イスラム教徒ならハラル食品ランチ、メキシカンならタコス、ブラジルならバウルーサンドと故郷の味です。

気の合う仲間と青空の下、パークでランチ、またはオフィスでランチ、楽しい会話、そんなスタイルです。

最近Netflixで観た映画では「三つ星シェフフードトラック始めました」は、本格的な料理をフードトラックで楽しむ物語です。
カリフォルニアの爽やかな陽射し、優しい風、潮騒、外で食べる食事は格別です。フードトラックは、アメリカ、メキシコ、カナダなどでは昔から根付いた食文化となりました。

アメリカ西海岸は人事評価も時間の長さで評価しません。集中して短時間で質の良い仕事が理想です。
ランチタイムも好きな時間で取ります。

リモートワークが9割に迫るアメリカ西海岸、行きたくなるワークプレイス、会いたいあの人、仲間との会話は楽しい。時間は貴重です。
そんなアメリカ人では一人ランチはあまりしません。
PC打込みながらサンドイッチを食べるビジネスパースンは数多います。多忙なアメリカ人は多いです。ニューヨーカーのビジネスパースンのイメージは超多忙で、とにかくキャリアアップ*FIREが目標です。

元東大医学部学部長解剖学の権威「馬鹿の壁」の著者養老孟司先生は、「人間も動物も自然の中でランチは心地よく、安らぐ、明るく、楽しくなることはDNAで設計されている」と言っています。
花鳥風月を愛でながら飲食、夕暮れは一献となるわけです。

筆者もタコス「フードトラック」大好きです。たまにはテキーラも飲みます。そしてMobileでお知らせ、「今日はパークサイドのここにいます。今日のお薦めランチは「コレ」。自慢の娘がお手伝いに来ています･･･」
こんな感じでフードトラックをやっているのでしょうか？コーラにビックハンバーガー、ポテト、何もかもBigサイズ。まさにアメリカンカルチャーです。

訴求できる商品があるなら面白い！資金は今なら事業再構築補助金、新規事業補助金で貰えます。

日本にもトラックをカスタマイズする会社はあります。とにかくカラフルトラックが広告も兼ねます。
イベントでも駐車場にフードトラックが並びます。軒先ビジネスも「たい焼き」「たこ焼き」「焼鳥」「唐揚げ」「アメリカンドック」個性のある味で繁盛店はあります。

筆者のオフィスの近隣に、焼き芋あんこのたい焼きがあり、繁盛店です。
商品が良ければ少額資本で繁盛店はでき、移動も可能です。
本来なら海の家などフードトラックは良いと思いますが、諸官庁、行政の許可が硬直的な我国です。
良い商品があるなら、フードトラックは面白いです。良い立地は街を歩けばわかります。

事業再生の達人、富山和彦先生は、「リアルな商品とデジタルシフト(両利きのの経営)で飛躍せよ」と起業家にエールをおくっています。

資金調達はできます。今はチャンス到来です。

行政許可、補助金申請迄ご相談承ります。明日の成功に挑戦してください。貴方のご多幸を祈願いたします。

新規事業の「ヒント」になれば幸いです。

☆おすすめ資料

【参考文献】
・日経ビジネス　2022.2.2
（https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00100/020200041/)
「狙いは住宅街　モスバーガー、逆張りのキッチンカー戦略」

・NEW YORK POINT GUID　2018.8.12
（https://ny-pg.com/food/foodtruck/）
「時間がないニューヨーカーに大人気！毎日ランチタイムに列ができるフードトラック5選」