見出し画像

(49)営業とは再現性のある科学

人は案外、自分が本当にほしいもの、必要なものをわかっていないものです。
そのような時に、お客様の現状と向き合い、要望を丁寧に整理し、気づきを与えることで、「あなたの会社の商品・サービスが自分にピッタリ!」と思っていただく。
その役割を担うのが営業という職種です。

【プロセスの棚卸しと横展開によって成果を出し続けられた】

個人による属人化の追求と組織による仕組み化の両輪によって再現性がもたらされることがよくわかります。
リクルートの社内では「アタリマエ」「オモテナシ」「アリエナイ」という言葉がよく使われていました。
「アタリマエ」はできていないと気持ち悪いレベルの行動、「オモテナシ」はお客様が感動するレベルの行動、そして「アリエナイ」はお客様がなっかりするレベルの行動です。

業界が変わっても、営業が成果を出すために必要な要素は同じ。

お客様に選ばれ続けるために欠かせない「マーケティング」の考え方
「成果の再現性」に必要なのは、テクニックではない。
成果を出し続けるために、これをやればうまくいくと言う絶対の正解がないことには、次の3つの理由があります。
理由1 商談は生き物だから
理由2 誰かにとっての正解が自分にとっての正解であるとは限らないから
理由3 人によって言うことが違うから



営業が自分の欲しい情報を取りに行くだけだと、お客様には話すメリットがありません。
また、お客様にとって有用な情報を渡すだけだと、それがいわれるだけで満足して話が終わってしまいました。
しかし、自分の考えを見つけた時に返ってきたのはお客様の「考え」だったのです。
つまり、自分が主体となって、お客様に考えをぶつけることで、お客様とのやりとりがヒアリング・情報提供という、一方向のコミュニケーションから「会話」という双方向のコミュニケーションへと変化したのです。
お客様との会話で出てきた「困っていること」や「会社に対して感じていること」などお客様の考え方を知ることで「何とかこの課題を解決できないか?」という思考が生まれるようになっていきます。
今までは「自社の商品、サービスを売る」ために何を伝えれば良いのかということにばかり目がいっていたのが、「お客様の課題を解決する」ために「できる事は何か?」という自分の役割を考えるようになっていったのです。

【シンプルに考えると、マーケティングとしてやるべき事は4つです】

①相手にどういう行動をとってほしいかを決める
②現在持っている認識を確認する
③どんな認識になったらいいかを考える
④そのために何を伝えるべきかを考え実行する

【お客様のどんな行動を起こすかを明確にすることが営業の出発点〜環境分析〜】

環境分析は次の3つの順番で進めていきます。
①自社が戦う市場を定義する
②その市場における競合企業を確認する
③あなたの会社はどの要素で勝つのかを決める


お客様は「自らの顕在化している課題を、あなたの会社が解決できること」や「自分自身が気づいていない課題を、あなたの会社が解決できること」を知らないこともあります。
そのため、営業活動を通して、お客様があなたの会社の商品、サービスを思い浮かべる場面を増やすことができれば、「医者が解決できる課題の総量」がおのずと増えていくのです。
そして、お客様の「課題」と「最適な解決策」を一緒に考えることができれば「あなたの会社が選ばれる確率」も高くなります。
そうすれば「売り上げ=あなたの会社が解決できる課題の総量×自社が選ばれる確率×課題解決にかかる費用」ですので、おのずと売り上げは上がります。

【商品、サービスが提供している根源的な価値は何か〜コンセプト開発〜】

コンセプトは①ベネフィット②インサイト③RTBという3つの要素で構成されます。
①ベネフィット=商品、サービスによってターゲットに起こる変化を明確にしたもの。
②インサイト=ターゲットの心を動かすトリガー
③RTB =ベネフィットをターゲットに信じてもらうための情報

【次の3点の行き来を繰り返しながら、ひたすら考えなく、プロセス】

①Who =幸せにしたい人の理解を深める
②What =あなたの会社の商品、サービスを通じて、お客様に提供する価値の理解を深め、価値を言語化する
③How =その価値がお客様に魅力的に伝わる方法を考え、伝える

【あなたの会社の商品、サービスの価値はお客様が教えてくれる】

マーケティングの世界では、今は「一人十色」の時代、つまり、同じ人が、複数の価値観を持ち、1つのシーンにおいても、その商品、サービスを選ぶ時代だと言われています。
他にもイノベーションに関する著作で知られる経営学者のクレイトンクリステンセン教授の「ジョブ理論」では、次のようにも。
ミルクシェイクが提供している価値が車通勤のビジネスパーソンにとっては「退屈しのぎ」であり、休日のお父さんにとっては「優しい父親の気分を味わう」であるなど、その商品、サービスが使われるシーンや、使う人によって感じる価値は複数存在すると述べられています。
営業がお客様に伝えるべきは、あなたの会社の商品、サービスの「コンセプト」です。コンセプトを明確にするためには、商品、サービスを使っているお客様の声を聞く必要があります。

【商品、サービスに対するお客様の反応から、次の一手のヒントを得る】

①どのような検討プロセスをたどったのか(態度、変容が起こったきっかけ、比較検討の軸と迷ったポイント)
②商品、サービスや営業とのコミュニケーションにおける充足、未充足ポイント
③あなたの会社の商品、サービスに期待したこと、最終的な決め手となったポイント

【リサーチで目指すべきは、お客様の事が手に取るようにわかる状態】

実は、リピート率に影響するのは、満足ではなく、楽さであると言われています。
どれだけ満足度が高かったとしても、購入までのやりとりや決めてから引き渡しまでのやり取りで手間がかかると、リピートや紹介にはつながりづらくなります。
いくら良い商品、サービスを提供していたとしても話が通じない、お客様の要望を汲み取れない。営業では、いちどは選んでいただいたとしても、リピートはもちろん紹介は起こりづらくなります。

【成果に再現性をもたらす「知る」「攻める」「創る」という循環型営業サイクル】

ステップ①お客様を全方位的に徹底的に理解する(知る)
ステップ②理解した内容をもとに、自社が提供可能な価値を積極的に伝える(攻める)
ステップ③お客様の反応から理解を深める(知る)
ステップ④既存の枠にとらわれずに新しい価値を提供する方法を編み出す(創る)
ステップ⑤編み出した新たな価値を伝える(攻める)

【課題を抱えてない人は、世の中に1人もいない】

商談をしていると「課題はありません」とお客様に言われることがあります。その時のお客様の心理状態は次の3つのうちいずれかです。
①そもそも問題に気づいていない(問題だと思っていない)
②問題には気づいているは課題設定ができていない(解消したいと思っていない)
③あなたに頼って解決できる課題は無い(課題設定が、あなたの会社の商品、サービスで解決できるものではないと思っている。)

【ニーズを探すものではなく、作るもの】

多くの営業が最初に商品、サービスの説明から商談を始めています。なぜなら、研修時の営業のロールプレイング等で、商品、サービスの説明をひたすら練習させられているからです。新規の商談の場合、お客様の課題を始め、関心事や刺さるワード、また最適な伝え方などもわかっていないことがほとんどです。
だからこそ、お客さんのことを理解した上で、あなたの会社の商品、サービスが持つ価値や特徴のどこに力点を置いてどのように伝えるべきかを認識してから説明しなければ、せっかくの良い商品、サービスをお客様に魅力的に映りません。

「営業のコミニケーション次第で、お客様のニーズが作れる」という認識のない営業ほど「あのお客様にはニーズがない。」と言って商談から帰ってくることになってしまいます。けれども、お客様や商品サービスに「ニーズがなかった」のではなく、営業が「ニーズを作り出すコミュニケーションができなかった」と言うことでしかないのです。

【営業は、手数が命】

お客様の日々の生活には、たくさんの情報が溢れています。そして、あなたの会社の商品、サービスにとっての、競合、他社、もちろん、見えない競合も多く存在します。そのような状況下でお客様に選ばれるのは、お客様にとって最も魅力的な提案をして「この人にお願いしたい!」と思われる営業がいる会社です。

「提案を考えているときに、電話で簡単に内容を伝えて反応を確認する」「お客様の反応見ながら提案をチューニングする」などお客様へのプレゼン前とプレゼン中の限られた時間で提案を魅力的な形に進化させ続けていました。

「手数」というのは、提案の回数や、商談の回数の事だけを指すものではありません。
1階の商談の中で、仮説をぶつける回数や質問を投げかける回数も「手数」です。

【この営業とアウトいいことがあるが、選ばれる必然性となる】

お客様にとって、自分の抱えている問題や課題を理解し、話を聞いてくれる社外の人はありがたい存在だからです。自分だけでは、思考が狭まってしまうことも多いため、第三者視点での情報や提案は、お客様にとって新たな気づきにもつながります。
そのために、私はお客様によく「壁打ち」の時間をとっていただき、お客様の思考整理を一緒に行っていました。
「プロジェクトは予定通りに進んでいますか?」「少しディスカッションをしませんか?」と言う形でお時間をいただき、自社がお役に立てることを簡単にでもまとめて持っていっておくのです。
会うといいことがある人というポジションを確立すると、選ばれる確率が上がるだけではなく、継続的な発注やお客様の紹介につながり、成果を出し続けることができるのです。
一方「お客様とアポが取れない」「お客様があって」のは、お客様があなたに会うといいことがあると言う認識になっていないことが原因です。
もちろん、お客様も営業が売り上げを追っていることを理解していますが、「自分の売り上げだけを考えて」会いに来る営業をお客様は嫌がります。たとえ、最初の何回か会ってくれたとしても、いずれ「自分のために時間を作ってほしいという人」と見抜かれてしまいます。

【個人の営業力=顧客接点の場数×成功体験・失敗体験の内省の質】

事前準備の観点として、次の5つが挙げられます。
①現場(お客様との関係性や、商談を進める上での課題)の整理
②商談後に実現した状態目標
③そのために必要なコミニケーション
④提供すべき情報と、資料の準備
⑤お客様にとっての商談のメリット

【お客様の考えている事は、対話の中でこそ理解できる】

社会学における社会構成主義という考え方では「社会に存在するありとあらゆるものは、人間が対話を通して頭の中で作り上げたものである」と言われています。つまり、あなたの会社の商品、サービスの価値も、あなたとお客様の「対話」を通して、お客様の頭の中に作り上げられるものだと言うことなのです。

【まずは、リーダーが組織としての戦い方を定める】

売り上げ=購入顧客数(1)×一人当たりの購入数量(2)×単価(3)

⑴購入顧客数=新規購入顧客+継続購入顧客
⑵一人当たりの購入数量= 1回あたりの購入数量×購入頻度
⑶単価=基本商品価格+追加費用

【一人ひとりに役割を与えることで、当事者意識と帰属意識が醸成される】


まずは、個人の力を強化しながら、組織全員の力で成果を出すことを目指し、やるべきことを次の3点に設定しました。
①顧客接点の場数を増やす。
②成功体験、失敗、体験を共有し、組織知を蓄積する。
③組織全員の目線をそろえる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?