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(24)あたらしい問題解決

本書で紹介する「問題解決のアプローチ」は、論理的思考だけでは解決できない問題に対して私たちの「感覚的な部分」、すなわち「センス(直感)」「ストーリー(感情)」と、感覚的部分の価値を最大化する分上でも効果的な論理的思考の手法を「セグメント(論理的分析)」を掛け合わせたもの。
そのアプローチによって、問題の発見、課題の特定、解決策の実行(解決策を腹落ちさせ、人を巻き込み、動かす)を実現するのです。

【「論理的な理屈」に基づくプロジェクトマネージメントの限界】
ビジネス上の問題を分析して課題を抽出して実効性の高い解決策を導き出すことができたとしても解決策の実行がうまくいかず成果を出すことができなかったと言う経験は誰しも1度や2度ならずあるのではないでしょうか。

実際の社会において論理的な理屈、すなわち世論に従って行動を起こすことが必ずしも最適な解決方法ではないことが多くある。
問題を解決し、状況を前に進めるためには場合に応じて理想解と最適解の2つをきちんと切り分けて考えなくてはならない。

【問題解決で欠かせない3つのS】
①直感に基づいて問題を把握しユニークな示唆を得ること。
②示唆に基づきフレームワークを構築し課題と解決策を導き出すこと。
③解決策の中から人々を行動に促す最適解を導き出し適切な形で伝達していくこと。

そしてこの3つのポイントを効果的に実現するために活用するのが本書の主題である問題を解決するための3つのSです。

◯センス=問題を感じとる直感
◯セグメント=問題を解決可能な課題にするための切り分け
◯ストーリー=課題解決に向けてメンバーを一体化させる物語



問題解決のスキルは形式知、暗黙知、実践知とレベルアップしていく。

【問題を解決可能な課題に切り分ける“セグメント”】
「問題」「課題」の違い
「問題」とは「あるべき姿」を阻害されている状態のことをさし、「課題」とはその阻害要因を解消するために解決すべき具体的なポイントを指す。
私たちが直接的に解決できることは「課題」です。「課題」が解消されれば、結果として「問題」は間接的に解決されることになる。

【問題を分けることによってどこから手をつけていけば良いかも見えてくる】
そもそもなぜ問題は切り分けられる必要があるのか。
その理由を端的に言うと、問題を分けることで、何を解決すればいいのかが「分かる」から。

つまり、「分かる」ということは、「分ける」ということ。

「何のために問題を解決するか」という目的は常に忘れないこと。
なぜ、その切り分けを行うのかという意識を持って大胆な省略を行い、できる限りピンポイントで解決すべき「課題」に到達することが「セグメント」の目的。分けることで満足してはならない。

【優れたストーリーにある3つの特徴】
⑴現在と対比する形で異なる未来の予感をさせること。
⑵聞いた人の心に残り、その後の行動に影響を与えること。
⑶アクションに一定程度の融通性があること。

「ストーリーの共感度を高める」
共感をもたらすストーリーは聞き手の「平準点」を意識している。
ストーリーの共感を高めるにはいきなり「課題」を解決するための施策の具体的な中身について語るのではなく、皆の目線や温度感を合わせることが大切。
すなわち、「ストーリー」の冒頭部分で現状認識に関する簡潔かつ的確な説明と、何を行うかという大きなビジョンを示すこと、そして課題に直面している普通の人々の感情、すなわち「平準点」にどのようにフォーカスしているかについて、誰もが分かるように語ることが大事になってくる。

「論理的な正解が“最善解”であるとは限らない」
人は論理だけではなく感情で生きる生き物であり、ある程度非論理性は許容されることもあることを心に留めておくこと。

最善解が最適解なのではなく、方向性や信念はブレない範囲で、できる限り多くの人が乗ることができる解こそが(仮に次善解であっても)「最適解」であることを胸に留めておく。

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