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おかえりの森

「芳賀乃森、売り払ったって」

父があまりにもサラッと告げるものだから、
事の重大さに気づくのに1週間もかかった。

曽祖父が村人達から寄贈されて、祖父が管理
していた芳賀乃森を、ついに売却したという。

いつも家族並んで記念撮影していたあの森が、
とうとう無くなってしまった。

❄︎ ❄︎ ❄︎

芳賀乃森。北海道の奥深くに眠る私達の森。

ぴょんぴょん飛び跳ねるうさぎを眺めながら、
その奥にはトトロが住んでいるんだって、
小さい頃は本気で信じていたっけ。

noteを始めた時、ふと、あの森を思い出した。

生い茂る木々の前に立っている重厚な看板。
動物も、妖精も、お化けだって仲良くみんなで
暮らしている豊かな森。

森の前に立つと「おかえり」なんて優しく
抱きしめてもらえたような気持ちになる。

私も、この森のように温かい文章を紡ぎたい。

そんなことを胸に秘めて書き綴ったnoteは、
3年記念日を迎えようとしている。

部活して、研究して、鍋をつつき肩を寄せ合って
振り返ると、何もかも煌めいていた大学の日常。

何度も恋をして、その幸せな思い出と、崩壊までを書き留めた赤裸々の記憶。

初めての服作り、夢の雑貨屋さんまでの道のり、
そして久しぶりに出来た恋人との嫋やかな毎日。

ひいおじいちゃん、芳賀乃森は無くなったけど、
私の言葉で「おかえり」と言える世界を作るよ。

この小さな記憶の結晶と、みんなの温もりが混ざり合った先に、あなたの居場所があると信じて。

これからも一緒に、彩り溢れる豊かな森を紡いでいこうね。

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