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#1『モネ 連作の情景』大阪中之島美術館

こんにちは。

はぎをです。 


第1回 アートの旅は

『モネ 連作の情景』

大阪中之島美術館
2024.2.10-2024.5.6


です。


クロード・モネ(1840〜1926)

クロード・モネ(1840〜1926)


一度は聞いたことがあると思います。

睡蓮の絵で有名なフランスの画家です。

『睡蓮の池』クロード・モネ


そして、

"印象派"

の代表的な人物のひとりとしても有名です。




日本人にとって印象派は馴染みがあり、比較的多く目にしているのではないでしょうか?

それというのも、
日本が経済発展しお金を持つようになった日本人が当時流行していた印象派の作品をよく購入していたことと、

印象派のイメージソースに日本美術の影響があったこと、

あとは西洋美術の文脈を知らなくても楽しむことができる絵が多いことが日本でウケた要因ではないかと思います。


いまでも日本で印象派の展覧会は他に比べて集客が多く、1番人気の高いジャンルと言われています。




そんな

印象派

とは一体何なのか?

その名の通り、

目に映るモノの印象をそのままキャンバスに表現した

人たちです。

移り変わる天候、季節、時間をその時その場所でキャンバスにとどめていく。

屋内で何時間もポーズを取り続ける対象とは全く違いました。



そんな、屋外の移り変わる光を捉えるために印象派は独特な描き方をしました。



印象派以前はパレット上で混ぜ合わせた絵の具をキャンバスにのせて描いていました。

『プシュケとアモール』フランソワ・ジェラール

ただ、それだとどうしても色彩が暗くなります。



しかし印象派の画家は
絵の具をできるだけ混ぜ合わせず、キャンバスに絵の具を細かく並べて
描きました(筆触分割といいます)。

『ラ・グルヌイエール』クロード・モネ


水面にさまざまな色があるのがわかりますか?

隣り合わせに置かれた絵の具は遠くから見ると
目の中で色が混ざり合って見えます。


これにより印象派の画家たちは絵の具本来の明るさを保ちながら、思う通りの色合いを表現しました。


『プシュケとアモール』と『ラ・グルヌイエール』を比べると画面の明るさが全然違いますよね。



この、
移り変わる光を描こうとした事により、表現方法が今までとは全く変わってしまった。
と言うことを前提に見ていただくと楽しいと思います。





さて、では今回の展覧会ですが、モネの中でも

"連作"

に焦点を当てた展示のようです。


先ほど、印象派は移り変わる光を描こうとした。といいました。


モネは

描く対象は変えずに

異なった季節、気候、時間で何枚も描き、
それを

ひとつのシリーズとして発表

したんです。

『ウォータールー橋、ロンドン、曇り』クロード・モネ
『ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ』クロード・モネ
『ウォータールー橋、ロンドン、日没』クロード・モネ


橋と背後の煙突が3枚とも同じカタチなので同じ対象ということがわかります。

ですが、全く違う印象です。

同じ風景でも時間が違うだけで、これだけ表情を変えて見えることにため息が出ます。




連作は連続的に同じテーマ異なった色彩と形で見ることで、
作品同士が関連し合い
連作を展示する空間をひとつの芸術作品、インスタレーションのように機能させ、
没入感のある体験を生んでいます。



連作は設置する場所、環境、空間、状況などに左右され、
今までの絵画の見方とは大きく変わったようです。



そして連作にする事によってストーリーを思い浮かべることができるのが良いです。

川辺に座って、日がな一日ぼーっと眺めていたような気持ちになります。


細い目をして、過去を思い出すように感傷に浸るように眺めると
このぼんやりとした絵画をより近くに感じます。




また、モネは影の部分を暗いからといって、黒色で表現をしませんでした。
深緑色や紫色を使って暗さの対比を表します。
水面の影と岩肌の影、同じ影でも違う色彩で表現しました。



撮影OKではなかったのですが、展示されていた『積みわら』の連作にも季節、時間によって変化する影を表現しています。

図録より『積みわら』


モネは陽光を受けて刻々と変化する積みわらや形を変える雲を画面に留めようと、一度に複数のキャンバスを用意して、同時進行で進めたそうです。



ただ、連作にする作品はアトリエに戻ってから、長い時間をかけてバランスを整えるために修正をしていたようです。


お互いに調和するように。


そう思うと連作は時の変化を現実的に描いたモノではなさそうです。



展覧会のタイトルにもなっている"情景"



モネは人間の心の働きを通して味わわれる、景色や場面を絵の中に残すことに努めたのかもしれません。



『睡蓮の池』クロード・モネ


『睡蓮』クロード・モネ


『芍薬』クロード・モネ


『藤の習作』クロード・モネ



同じ対象を何度も描くことにより連作という表現方法に辿り着いたモネ。



ジヴェルニーに庭付きの自宅を購入後は庭にたくさんの植物を育て、連作を数々生み出していきます。

有名な睡蓮もそこで描かれました。

睡蓮は300点以上描かれたそうです。


『睡蓮、柳の反影』クロード・モネ



晩年は視覚障害になりました。

最後の方は本当にこれらの絵画のように見えていたのかもしれません。




ありがとうございました。

行かれる時は
ネットでのチケット購入、歩きやすい靴、カメラを忘れずに。


『モネ 連作の情景』
大阪中之島美術館
2024.2.10-2024.5.6
休館日:月曜日 *2/12(月・休)、4/1(月)、4/15(月)、4/22(月)、4/29(月・祝)、5/6(月・休)は開館

10:00 – 18:00(入場は17:30まで)
※4月27日(土)– 5月6日(月・休)は開場時間を1時間延長。
10:00 – 19:00(入場は18:30まで)

観覧料一般  2500円(前売・団体 2300円)
高大生 1500円(前売・団体 1300円)
小中生 500円(前売・団体 300円)
当館メンバーシップ会員の無料鑑賞/会員割引 対象

お問い合わせ大阪市総合コールセンター(なにわコール)
06-4301-7285
受付時間 8:00 – 21:00(年中無休)

主催:大阪中之島美術館、関西テレビ放送、産経新聞社
後援:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ、大阪市教育委員会、堺市教育委員会、公益財団法人大阪観光局、山陰中央テレビジョン放送、岡山放送、テレビ新広島、テレビ愛媛、高知さんさんテレビ、テレビ西日本、ラジオ大阪、FM802、FMCOCOLO
企画:ハタインターナショナル
特別協賛:
協賛:第一生命グループ、NISSHA
協力:KLMオランダ航空、日本航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ルフトハンザ ドイツ航空、ヤマト運輸
監修:ベンノ・テンペル(クレラー=ミュラー美術館館長 / 前デン・ハーグ美術館館長)
監修協力:マイケル・クラーク(元スコットランド・ナショナル・ギャラリー館長)
日本側監修:島田紀夫(実践女子大学名誉教授)

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