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ナゴリのトキ   場所との邂逅


安徳帝を抱く二位の尼・流木・二位殿灯籠・尼の洲

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ナゴリトキ 2つの掛詞でヒストリーとリアルタイムをつなぐ。 

ナゴリ【 NAGORI 】

名残は「なみのこり(波残り)」が短略した言葉で波残(余波)とも記す。

尼ノ洲の地名は遠く壇ノ浦から波に運ばれた二位ノ尼の忘れ形見、
打ち寄せる波の残響とサンセットの余韻の中
二位殿灯篭
の凛とした佇まいはその面影を今に伝える。

立ちかへるなごりありの浦なれば神もめぐみをかくるしら浪     
           藤原隆房  平家物語 巻第四,二,還御

平家物語に掛詞として詠まれ、江戸時代、「厳島八景」の一つにかぞえられ、旅の名残を表す出航の港として詠み継がれた「有ノ浦」はこの地のもう一つの呼び名。

トキ【 TOKI 】
二位ノ尼
とは平清盛の妻、平時子(トキコ)
その孫、安徳帝の名は言仁(トキヒト)
流れついた尼を供養する葬(とむら)い寺として建立された神泉寺(現存しない)は別名、「時寺」と言われ、厳島の時計として時太鼓を鳴らし昼夜のを知らせた。
宮島の恩人、井戸や暗渠を作り、宮島杓子を考案したことで知られる誓真はこの寺の番僧であった。
インフラと産業に大きな足跡を残した
彼もまたこの地に時の音を響かせた一人かもしれない。

大鳥居、石鳥居、が連なり二位殿灯籠が立つ尼ノ洲景色
打ち捨てられた流木波立つ無垢の年輪を浮き彫りにした彫像は、
この地の前景として、新たな気色を匂い立たせる。

潮の干満、夕日と同期する古今東西変わらぬこの時の訪れの中、歴史を一つながりののように感じる尼ノ洲の一時。

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尼ノ洲二位殿灯籠夕景

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時寺跡地

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芸州厳島図会 神泉寺

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