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No カモシカ, no life

先日『カモシカ可愛い〜』という記事を書いたら、思ったよりも多くの方が読んでくださった。

とてもありがたい。

ただ、この記事には、役に立つ情報はまったくない。

「カモシカ可愛い~と言いつづけるぜ」という宣言をしているだけだ。

読んだ方はどう思うか分からないが、
ニホンカモシカの記事を書いているとき、少なくとも、私は穏やかな気持ちになる。

カモシカがやってくれば、カメラをもって外に飛び出すし、
デスク横にもカモシカの写真を貼りつけている。

毎日がカモシカづくし…

それにしても、どうしてここまでニホンカモシカに思い入れができたのだろう?

図々しい奴ら

最初にニホンカモシカのことを知ったのは、2022年夏、岐阜県恵那市飯地町に来たときだ。

まだ家の敷地内の草がぼうぼうに伸びていたとき、
ニホンカモシカがふらっと草を食べにきてくれた。

そこで、「ニホンカモシカ」という生き物がいることを知った。

最初は鹿かと思った

私はもともと、生きもの大好き!というタチではないのに、
ニホンカモシカが来てくれるたび、なぜか嬉しかった。

きっと、人でごった返している都会に疲れたのだろう。

都会から自然豊かな田舎にきて、「ニンゲン以外の動物がいる」ことにホッとした。

ニホンカモシカたちは、秋に沢山の植物を食べる。
厳しい冬に備えるためだ。

一昨年の秋は、入れ替わり立ち替わり、ニホンカモシカが家にやってきた。

彼らは、私たちが出かけているスキを狙ってやってくる。

買い物から帰ってきたときに、家の敷地内にしれっとカモシカがいることが多かった。

柿を食べるニホンカモシカ

カモシカたちは、私たちに見つかると、すぐには逃げない。

気まずそうに尻を向けてきたり、
むしろ、こちらをじいっと見つめてきたりする。

立ち去ることもあるが、「ああ、ニンゲンがきちまった、めんどくせえな」といった具合に、
ゆっくりと帰って行く。

なんなの、その態度(笑)

ほかの野生動物にはない図々しい態度に、ぷっと吹き出してしまう。

タイミング良すぎ

かと思えば、すごく気分が沈んでいるときに、ふらっと顔を見せてくれたりする。

実家のペットが亡くなって落ち込んでいるときも、やってきてくれた。

はあ、とため息をついて、外に出ると、カモシカがのんびりと草を食べていたのだ。

彼らはたまたま飯を食いに来ただけだと思うが、
「こいつら謀ってるんじゃないのか!?」と勘違いするほど、ベストタイミングで来てくれることがある。

嬉しくなって、「かもー!かもー!」と呼ぶと、
一瞬こちらを見て、「あ、またこいつか」といった具合に、ふたたび草を食べ始める。

しかも、一瞬見せてくれる顔が、何にも考えていなそうなのだ。

あまりに呑気な姿に、何度癒されたことか。

悩みを聞いてくれたのか

ある時、ストレスが異様に溜ってしまい、どーんと気分が落ちてしまったことがあった。

かといって、周りの人は忙しいので、誰かに相談するにも気後れする。

でも、あまりに気が塞がってしまい、頭も体もまったく動いてくれない。

どうしてよいか分からず、泣きながら家周辺の竹林を歩いていた。

ううっ、どうすればいいんだ…。

散歩をしても、思うように気は晴れない。

やはり、悩みを胸のうちに抱え込んでいるのが、苦しくて仕方なかった。

外に吐き出したい…!!

私は、何を思ったか、目の前にあった竹に向かって話しはじめた。

こんな感じの竹だったと思う

ボロボロ泣きながら、誰もいない自然の空間に向かって、ひたすら話しつづけた。

そしたら、後ろでカサッと音がした。

びっくりして振り向くと、ニホンカモシカの「かも吉」が立っていた。

その時に撮った写真

「かも吉」は、一番多く家に来てくれるニホンカモシカだ。

かも吉、私の話を聞いてくれたのか……

そう思って、ぶわっと涙がでた。

かも吉はじっと私を見つめたあと、いつもの草を食べる"お気に入りスポット"へと向かった。

そのとき、あまりにも寂しかったので、私は泣きながら「かも吉」のあとをついていった。

たまたま、その日は天気がよくて、暖かな陽気だった。

草を食べるかも吉

日だまりのなかで、かも吉が草を食べていた。

少し離れたところには、かも吉の子供「かもジュニア」が様子をうかがっている。

こっち見てる

私は2、3メートル先に腰かけて、かも吉にむかって話しかけた。

「かも吉」は、私のことはおかまいなしに、尻を向けて草を食べ続けている。

私よりも、飯。

といった具合で、相変わらず私の話は聞いていない様子だった。

それでも、かも吉は逃げずに、私が近くにいることを許してくれた。

私がいるのを許容してくれたのだ。

このこと自体が、なによりも嬉しかった。

ずっと話しかけていると、たまにかも吉がくるっと私の方を振り返ってくれた。

菩薩かと思った。

かも吉の顔が、やけに優しく見えたのだ。

振り向くかも吉

そしたら、悩んでいたことが、急にしょうもないことに思えてきた。

カモシカは、草を食って、うんこして、子供を育てている。
それで、いいじゃん。

無事に生きてるのが一番大事なのに、いろいろ欲しがって苦しくなったのだと気がついた。

ヒトの悩みってしょうもないな

空は快晴。
陽が当たってぽかぽか暖かく、風も穏やか。

聞こえてくるのは、
風で草木がそよぐ音と、
カモシカが草を食いちぎる音だけ。

私は草に座り込んで、カモシカと一緒に2時間ほど穏やかなときを過ごした。

天国のような時間だった。

ああ、幸せ……

素晴らしい時間をかみしめ、カモシカたちにお礼を言って、家に戻った。

私の帰りを見届けてくれたかも吉

Oh my God

次の日。
なんとこの日も、カモシカたちがやってきてくれた。

今度来てくれたのは、「かもジュニア」と「かもゆき」の二匹。

「かもゆき」は、「かもジュニア」の父親であり、「かも吉」の夫だ。

「かもゆき」は大胆不敵な「かも吉」と違って、オスなのに、ビビり。

様子をうかがう「かもゆき」

かもゆきは、私たちが見ていることに気づくと、
すぐに「かもジュニア」にかけよって、かもジュニアのケツを蹴った。

ニンゲンが来たから、早く逃げるぞ!!
といったのだろう。

しかし、かもジュニアは応じなかった。

何度、かもゆき(パパ)にケツを蹴られても、動こうとしない。

ケツを叩かれる「かもジュニア」(左)

「まだ、ここにいたいんだ」

そう言いたげに、こちらを見つめてくる。

とうとう、ぺたんとその場に座り込んでしまった。

でましたー!座り込み作戦!!

私は昨日「かもジュニア」と一緒に外で過ごしたことを思い出した。

かもジュニアは、昨日私の様子をずっと見ていたから、そこまで警戒しなかったのか…?

しかも、ここまで、この場所を気に入ってくれるとは…

話をきいてくれたかも吉に、
「ここにいたい」と座り込むかもジュニア…

可愛い!可愛すぎる!天使や!

まじ、カモシカLOVE!!!!
かも、LOVE!!!!

かもかもかもかもかもかもかもかもかも………


この日から、私にとってニホンカモシカは、特別な存在になった。

すっごい見てる❤️

No カモシカ, no life

おかげで、カモシカグッズを販売するネットショップを立ち上げ、
SNSの投稿がカモシカだらけになり、
カモシカの作品ばかり作るようになった。

無趣味な私が、ここまでハマるのは珍しい。

これは、単に「カモシカが可愛いから」「カモシカが好きだから」というだけではない。

ニホンカモシカは、自分にとってたくさんの気づきをくれる。

「ニホンカモシカ」という存在に、私が大切にしたいことがギュッとと詰まっているのだ。

だから、カモシカを題材にした作品ばかりになってしまう。

「どうしても、これを人に伝えたいんだ!!」と思うことがあると、カモシカを通して表現したくなる。

別に、ニホンカモシカそのものを好きになってもらわなくても、かまわない。

「彼らの存在自体が問いかけるもの」を感じてもらえるよう、作品を作っていきたい。


カモシカ好きが高じて作ったネットショップ「KAMOSHIKA PARADISE(カモシカパラダイス)」です。
是非、お立ち寄りください。


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