上映が続くドキュメンタリー映画「発酵する民」。劇場で映画を観てくれた方を中心に各地で自主上映会が開かれています。会場は古民家やカフェ、公共施設、寺、オルタナティヴ・スペースなど様々。映画の視聴環境が大きく変化していく時代の中で「ドキュメンタリー映画はどこに存在することが出来るのか」そんなことを見つけていく旅でもあります。

今回は群馬県へ！太田市にある「おうち自然食品店 ゆいまーる商店」さんが、2度目の上映会を開いてくださいました。館林市の常楽寺さんで開催された上映会へ行ってきました。

書き手：平野隆章（映画「発酵する民」監督）

いざ、群馬へ

暑かった夏も終わり、秋の始まりを感じる10月。鎌倉から電車で３時間揺られて群馬県館林市へ。近づくにつれて田んぼや畑の風景が広がっていきます。会場の常楽寺さんは、1280年に創建された群馬県最古の茅葺（かやぶき）屋根があるお寺であり、願掛け不動尊として地域の人々から親しまれています。

広い敷地に足を一歩踏み入れると、なんだか太陽の陽や風が気持ちいい。本堂内は古き良きものが持つ美しさを感じて、新鮮な気持ちになります。

上映会の概要

映画が生まれる場所

上映会の主催は「おうち自然食品店　ゆいまーる商店」さん。群馬県前橋市の映画館「前橋シネマハウス」で劇場公開された時に、映画を観てくれてそこから繋がったご縁です。自宅やインド料理店で上映会を重ねてくださって、今回の企画となりました。

お客さんが集まり、本堂内に立てられたスクリーンに映画が映し出されると、そこは映画館に。静まり返った空間に映画の音だけが響き、観客がスクリーンを見つめます。その場に立ち合うと「いまこの瞬間に映画が生まれている」と感じます。映画は観てもらって初めて完成するという言葉の意味がよくわかる瞬間です。

この数日前に葉山の友達が亡くなり、個人的にいろいろな思いで向かった今回の上映会。映画の最後の方のシーンにはその友達が写っており、映画を観ながら友達と話したことや、撮らせてもらったことの意味などをずっと考えていました。

映画上映が終わると、監督トークがあって、それが終わるとゆいまーるさんが「踊りましょう！」と言ってくれて盆踊りが始まりました。曲はイマジン盆踊り部の「発酵盆唄」🎶

「心が結べて発酵できる楽園を創りたい」

自主上映会は、映画が主催者や会場、来てくれた方々の色に染まっていくのがとても面白くて、今回はゆいまーるさん色になっていました。上映後はフルートの演奏があったりマルシェが開催されたり、人や音楽や野菜や手仕事が混ざり合って、居心地の良い場になっていました。自分も野菜やオーガニックハンカチ、真菰などを購入したり物々交換でいただいたりしました。

オーガニックコットンで素敵な布小物をつくられているSOUさんは、イマジン盆踊り部の踊り子さんとお友達だったり、いろんな人と話をしていたら、常楽寺の住職さんもやってきて、一緒にお酒を飲みながらお話。住職さんは、音楽シーンとも繋がりが深く地域を超えて食や手仕事に携わる方、ミュージシャンが集まってきてイベントも開催しているそうです。ぜひインスタを見てみてください。

今回の上映で一番感じたのは、主催したゆいまーるさんの言葉の響き。ゆいまーるさんは不耕起田んぼもやっていて「小さくても良いから、同じ未来を描けたり、心が結べて発酵できる楽園が創りたい」というような事を言っていて、本当にそんな人だし、それが１日をつくっていて、そこに映画も一緒に混ぜてもらったんだと実感しました。帰りの電車で、なんだか余韻と心地よい疲れと幸福感を感じました。またきっとお会いするでしょう！

上映会を主催してくれたゆいまーるさんのお言葉🥖

会場の常楽寺さんのお言葉🥖

映画上映の旅は続きます。
今後過去の上映会のことも遡りつつ、書いていきます。

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