香りの強いものを欲するときは

藤村公洋さんとの往復コラム vol.4

先月から料理家の藤村さんとコラムのやり取りをしています。料理に限らず自由に何か書く機会を持とうと思い、お誘いした次第。

<前回のコラムはこちら ↓> 

「中毒になった食べもの」というテーマを投げてみたのですが、「ハマったものはたくさんあるけど、中毒といえるほどまでのものはない。どれも上半身で考えているようなところがある」
という表現に感じ入りました。なるほどなあ。
料理家やバーテンダーとして納得いくまで作ったり飲んだりしてみたいんでしょうね。研究対象的な。しかし2日に1度カルボナーラ食べる頃の藤村さんに会ってみたかった。もう少し肥えていたのかしらん。

芽キャベツ、私も好物ですよ。「素揚げにしてパルミジャーノとオリーブオイルをかける」のうまそうだなあ。うちでは上下焼いて、何らかのダシで煮びたしにしてます。本当にダシだけで、ここにシラスからめたり、桜エビからめたり。最後にちょい塩コショウ。

キャベツやプチヴェール、つまりはアブラナ科の野菜類、私も特に好きですね。白菜、小松菜、ワサビ菜、水菜、チンゲン菜。ルッコラやクレソン、そしてブロッコリーやカリフラワーもアブラナ科。我が家で登場回数の多いものばかりだ。

小松菜はついつい油揚げと煮びたしにするか、刻んで菜飯にするかなんですけど、他にどう使うと面白いでしょうね。いつも考えるんだけど、手が動いて煮びたしにしてしまう。

さて、今回のお題の「猫が草を食うが如く、ルパンが肉を貪るが如く、体がその生命維持のために何かを欲しているんだと意識したこと」ですね。

うーむ。どうだろう…と考えて思いついたのが、香りの強い菜っ葉類。
特にセリ、三つ葉、パセリ、パクチー。ちなみに全部セリ科でした。
これらの葉っぱ、東洋医学系の本を引くとよく「健胃」が期待される効能として挙がるんですね。書いて字のごとく、胃を健(すこ)やかにするということ。私、けっこう胃弱なんですよ。飲み過ぎもあるんですが、心配ごとや不安がすぐ胃にくるタイプで。キリキリ人。

そういうとき、先に挙げた香りの強い葉もの類をむしゃむしゃと食べたくなるんです。気がつくとスーパーでカゴに入れてる。無意識。それで胃痛を和らげてるとか痛み止めにしているなんてつもりはないんですけど、あれらの香りって気持ちがスッキリするじゃないですか。セリにしても三つ葉にしても、ひとりで1束ぐらい余裕で食べちゃいますね。腹が苦しいときにムシャムシャ食べる草、なんていうと落語の『蛇含草』を思い出しますな。

ミートソースにもパセリどっさり。

香りが強いといえばセロリも無性に食べたいときがあります。もうそのまま齧っちゃうような強い気持ちが沸くときがね。一体これはどんな効能が…と思って薬膳事典を引いてみたら、真っ先に「肝に働く」とありました。あははは。体は正直ですね。

ちなみにハーブでいうとディルが好きなんですが、こちらも健胃と書いてある書物あり。食べることも一種のアロマセラピーですよね。カクテルでもミントはおなじみだけど、それら以外の葉っぱって何か登場しましたっけ。博水社さんのパクチー風味サワーもありましたけれど。

さて、梅も咲いてきました。世の中は受験シーズンということで、「受験」を次のお題にさせてください。それからトップの写真ですが、本筋とは関係なく「のびる」の写真をなんとなく貼ってしまいました。でも、のびるをゆでたときの香りもいいもんですね。春はもうすぐ。

また来週。

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