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【短歌】二十歳の頃 5首

二十歳の頃

文庫本の十代は病むこともなくあずまにも下らず春を解約せり

今日は来ない ふともれたわが言葉にきらめく五月の君の有限

悲しみの丘のてっぺんまで登った先輩二人ほどのもう死する秋

冬の夜の桃の実をもぎ取る知恵も力もあらざるままにわが二十歳はたち

さよならは目と目でおしまい 駅まではいかず降れ降れ春の雪





○ 高校時代は文庫本中毒。もっぱら新潮、たまに角川。岩波は敷居が高かっ
 た。大学は東京へはいかず地方大学。「東にも下らず」は負け惜しみ。
○ 有限の生の自覚。きらめく五月・・・で・し・た。
○ 毛沢東が死んだのは大学2年のとき。泣いている先輩を実際に見た。
○ 「夜の桃」は石田衣良、「冬の桃」は西東三鬼。成熟はまだまだのわが二
 十歳だった。
○ 彼女は帰郷。ぼくは残る。♫さよなら、さよなら、そとは、なごり雪♫
 オフコースとイルカがコラボってる春の雪でした。


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