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医者の医療ミスによる殺人について

本エッセイは「交渉人」/五十嵐貴久 著の読書感想文です。

人は必ずミスをする生き物です。本来ミスは許されないものですが、どれだけ注意をしていても100%ミスを防ぐのは不可能です。それは医者も同じで、点滴や手術中に誤って患者を死に至らしめてしまうことがあります。

筆者からすれば、ミスによるものは殺人としか思えないわけですが、とりわけ手術室の中で起こったことを殺人だと証明するのは極めて難しいでしょう。病院サイドが評判の悪化を恐れて組織ぐるみで証拠隠滅(カルテの改ざん/故意廃棄等)に動けば、外部の人間には知りようがありません。医学知識を持ち合わせていない遺族に至っては、ミスした医者の説明をそのまま鵜呑みにすることしかできないのです。

そうなると、医者が患者を殺す意思を持って術中に死に至らしめたとしても「私は最善を尽くしましたが、これこれこういうこと(専門知識の羅列)によって息を引き取られました」と表面的な説明で片付けることが可能になってしまいます。ネットで「医療過誤/殺人」で検索すれば、現実に起こった信じられないような事件がたくさんでてきます。

仮に、不可解な説明で納得がいかなかった遺族がいて弁護士を雇って法廷で争おうとしても、(現場の証拠隠滅工作等によって)証拠の収集が困難であること、裁判が長引いて莫大な費用がかかること(10年以上かかるものもあるらしい)という点からすると庶民にはとてもそんなことはできません。それに加えて、医学の高度な専門知識が必要とされるために知識の乏しい原告は圧倒的に不利であり、実際に医療過誤の裁判における原告の勝率は2割程度しかありません。悪徳な医者であれば、そのこともよく知っていることでしょう。

そう考えると、医療ミスによる殺人はいつ起こっても不思議ではなく、自分がいつその被害者になるか分からないので、万が一そういう病院・医者のところに行ってしまったら運が悪かったと思うしかないな、と思いました。

( ˘ω˘ ).。oO( 理不尽すぎるぞ


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