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ビジネスマナーは難しい?

 昭和末期に社会人になった際に上司から言われたことがある。「会社(テレビ局の報道)の名刺があればどんな偉い人にも会ってもらえる。でもそれはお前が偉いからではない。会社の名前があるからなのだから、勘違いをするな」。
 
 その時は「そんなの当ったり前じゃんか」と思ったものだが、なるほど長年にわたり会社の名刺を持ち歩いていると感覚は狂ってくるかもしれない。そして「会っていただく」ことは「先方の貴重な時間を割いていただくこと」であることに無神経ではいけないのだ。
 
 知り合いを通じてちょっとした頼まれごとが舞い込んだ。そんなに大ごとでもないが、それなりに時間を取られて手続きも必要になる。仲介してきた知り合いのこともあるし、依頼主は同僚のかつての上司筋にあたるということでむげにもできない。ひと肌脱ぐことにして、「あとは直接連絡を取って細かいことを詰めないといけないね」と話していた。
 
そのあとのこと。この依頼主がアポなしで同僚を訪ねてきたのである。時計を見ると12:45。たまたま私も同僚も早めにランチを済ませてオフィスにいたタイミングだったからいいものの「アポなし」「ランチタイム」というタイミングは「やっぱりちょっと非常識なのでは?」と考えてしまう。訪問先が元後輩という「上から目線の意識」もあったのかもしれないと思えば、なおさらだ。
 
これとは別に。
 
あるWebサービスの営業担当から突然メールが舞い込んだ。「◎◎社●●さまよりご紹介いただいた背景でご連絡させていただきました。」とある。ふむ、その人からからは何も聞いてないけどね。
 
メールはこう続く。「弊社のサービスが御社のより良い運営にお役立ていただけるのではないかと考えております。つきましては一度、担当営業のご挨拶も兼ねてご紹介のお時間をいただきたく、併せてお取り組みやご意見をお伺いさせていただく場を頂戴できますでしょうか。以下、いくつか候補日をお送りさせていただきます。」とオンラインミーティングの候補日がズラリと並ぶ。
 
 同趣旨のメールはうちの部署のほかの者にも舞い込んでいた。「何も聞いてねえぞ」「いきなりの売り込みだったら、まず資料などを持参して訪問のアポを探るべきだろう。いきなりミーティングの時間を指定してくるのは失礼ではないか」と憤慨するのもいる。
 
 なるほど「ちょっと唐突な印象のメールだな」とは思ったが、ビジネスマナー的にはよろしくないレベルだったのか。 
 
 記者生活が長かったので、自分にはこうしたこうした“ビジネスマナーのいろは”がすっぽり落ちているかもしれないな、と気がついた。ま、60を過ぎてから気づくようでは、そもそもダメなのだろうけど。
(24/1/17)

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