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~ハムスターぐらし~ 臆病だし肉食でもないクマ🐻それでも里や街に降り人を襲う悲しい理由。「温暖化」のせいだけじゃない、私達にも関係する本当の原因を知って下さい。

去年の秋でした。
どんぐりがない山から降りてきて、頻繁に人里や民家さらには街中にも迷い込むクマたちが増え、生ゴミをあさり、田畑を食い荒らし、ついには人まで襲いました。
そして、捕獲されるまたは殺処分されるといったニュースが、毎日のようにTVで流れていました。
一方で、クマを助けたい一心の市民から、母グマだけでなく子グマも捕殺した市役所へ責め立てるようなクレームの嵐となり、他の公務も出来ない状態で職員が疲弊しているといったニュースも聞いてました。

私はそんなニュースを、実は『かなり』気にしていながらも、「専門家じゃないんだし、一般人には何も出来やしない、これは仕方ないこと、人間の保全が第一なのだ、国が取り決めする問題だから…諸々」などと自分に言い聞かせながら、これに関してあまり考えるのはやめておこう、迷宮にはまりこまないよう気にしないようにしよう、と奇妙な努力をしていました。

そんなある日、とある団体が出版している本を手にすることになります。
普段のTVや報道では話されないようなクマについてのことが書かれているのを読み、いくつかのくだりに強く興味をひかれて、どんどん読み始めました。
(※下記の太文字箇所は本文抜粋でなく、私が読んだ概要の記載です。)

繁殖時や子育て以外はクマは単独で暮らす

「クマは本来、森の奥でひとりひっそりと住んでいて、その大きく強そうな見かけとは正反対に、非常に臆病である。99%がベジタリアンで、1%の肉食は、昆虫やザリガニくらい。」

「もともとクマが人間を襲う習性などなく、人身被害の殆どは、そんな怖がりのクマが、逆に人から攻撃されることで恐怖で一杯になり、そういった事を起こしている。以前ならクマと人が会うことはなかった。」

「昔はクマ一頭100万円くらいで売れていた頃があり、クマは乱獲されていた。クマの胆のうは、漢方薬として金くらいに高値だった。そんなクマこそ被害者なのを、TVや報道は野生のクマたちを不当に、さも『狂暴な動物』に仕立てあげた。」

「そうして人間は、自分たちのビジネスによる狩猟での射殺、また有害獣として罠にもかけて駆除など続け、いまや彼らを絶滅に追いやっている。なのに人は、いまだクマへの慈悲もなく、さらに彼らからエサ場まで奪っている。」

私は初め本をここまで読んで、もう十分ショックでメタメタでした。
なのに更に、このあとに胸が揺さぶられるような驚きの中、読んでいてる内容に涙が滲み出てきたことを思い出します。

「無慈悲な人間は、動物と植物の密接な共生関係など無視し、拡大造林政策として自然の森を皆伐し、人の暮らしに有用なスギやヒノキだけの人工林の植林を推し進めた。クマのみならず、そこに暮らしていた野生動物・鳥類・昆虫たちは、ねぐらも食べ物も失っていった。」

自然と野生動物のバランスが保たれて豊かな森だった

「ブナやミズナラといった種々雑多な広葉樹のあった自然の森は、菌類や微生物もたくさん存在し、生き物たちの食料の宝庫だった。そこでみんなで暮らしていて、うまく生態系が保たれていた。そんな樹木がどんどん切り倒され、スギやヒノキは葉も苦くて食べられないし、えさになる実もならない。」

いま起きていることは「なぜか出没するアーバンベア問題」でも、「イノシシやシカの増えすぎ問題」でも、「襲撃するサル問題」でも、まったくないのです。
それは私たちが招き寄せた、当然の「結果」だったんですね。
皮肉な言葉になりますが、わかりきったほどに「自然の成り行き」ではないですか。
動物たちから人間への報復ですら、ありません。
彼らはただ、今も我慢強く、ひたむきに生きてようとしてるだけです。

この沢山の樹木たちは、動物たちは食べることが出来ない森に。

「空腹に耐えかねたクマたちや動物らは、食べ物を探して山を降りるしかなく、里へ街へと次々に飛び出してくるようになる。そこで人と遭遇することが増え、初めての土地に人間のルールも何も彼らにわかるはずもない。動物たちを傷つけ山から追い出したのは人間なのに、これをさらに問題をすり替え、民家に出たクマを有害駆除しやすいような法律を立てようとしている。」

そして、私は次に読む文章が一番衝撃的だったため、ビックリしたあまりに頭がぐるぐるして、思考がフリーズしました。
曲がりなりにも、私は50年も生きてきましたが、こんな身近で基本的なことを知らずにいれたなんて、どうしてなの私???と、自分に問いました。

「飛行機から見下ろすと、日本列島には延々と緑色の山脈が続いて見える。日本にはまだまだ豊富に森林があるように見える。しかし、この緑とは実際、戦後からスギやヒノキの針葉樹だけの人工林に変わったものであり、知らないうちに、自然の森は消えて減っていったのだ。」

一見、豊富な森がそこにあるように見える

私は子供時代、近くに山がある田舎街で生まれ育ちましたが、きれいに見える緑一面の風景、その表面上の見かけの景色に、私もすでに騙されていたのかと落胆の思いでした。
この事実をきちんと知っている人は、どれくらいいるでしょうか?

「1964年から輸入で安い外材が使われるようになると、そんな森林を壊していた林業も成り立たなくなった。結果的に現在、広大な面積の人工林が放置されたままになっている。いま一刻も早く、森の自然林保全と生態系復元に向けて活動しないと、取り返しのつかないことになる。」

この行き過ぎた人工林については長年の問題でもあったようで、1992年当時から既に、自然保護団体や動物保護団体からも問題提示され訴えかけられてたようですが、国は経済優先でそれを無視したのでしょう。
そして確かに、近年の急激な温暖化もさらに追い打ちをかけるかのように、この森林破壊の問題にのしかかってきている訳です。

今また他にも同じような、ギリギリまで見ないでおいた課題が「結果」としてやってきており、先延ばし期間はもはやタイムリミットです。
国際的にはカーボンニュートラルなどと言われ、自分事になるとやっきになる人間ら、ようやくSDGsだと声高に、必死な取り組みを始めています。
それはそれで重要なことですが、山に有り過ぎるスギとヒノキ問題とはこれまた別のことで、これはずっと長らく保留になってる問題です。
自然界を人工林で満たし放置してることで、動物たちのすみかを奪い飢えさせ、山里や民家にやって来るアーバンベアを増やし、彼らも望まない被害を起こさせている、これが本当の問題点なのです。

この問題を解決するのに性急すぎるなんて言い訳、もっと重要な案件や課題が急務だから無理だなんていう言い訳、もういいかげん通用しませんよね。
まだ間に合う今だからこそ、自分たちが壊した環境に向き合い責任を果たす時であり、日本の「真の森」へと戻してゆきながら、クマについての根本的な問題を解決してゆくべき時が来たのです。

何よりも、もうこれ以上クマをいじめないで欲しい。
それは人を襲うような緊急時の、クマの捕殺は致し方ないと思います。
でも、まだやれることをやり切らずに、クマが人に襲うような状況へと追い込んだのを棚にあげて、楽な手段だけ講じて済ませようとする人間のやり方には、断固反対です。
私達が自然や野生動物を仲間と認め、自分たち人間みたいに大事に思えたら、きっとこうはならならいでしょう。
いや、ならなかったはずです。
今度こそ慈悲ある合理性ある人間として、彼らを正しく守って救ってあげて欲しい、その思いに尽きるばかりです。

私自身もこの本で目を覚まされて、この件に関して、無知で狭量で無責任に薄目で見てた視点から、少しばかり広く前よりしっかり見渡せるようにして貰えたと感じます。
これをキッカケに、私にも出来ることがあるならばと、この本を出している団体に連絡をとり、クマ保護と森林再生の活動にわずかながら寄付をして、今年に入ってからは会員に参加しました。

近いうちに、いわゆる観光とは違った「本当の森」を知るための、山を視察するワークショップツアーに、ぜひ参加できたらと思っています。
また可能ならいつか、母クマを殺され保護された孤児クマ…今は人を信頼し頼っているクマがいるという施設にも、一度おとずれたいと思っています。

ふだんハムスター愛や動物保護を口にしてるくせに、「森のクマさんを知らんぷりする」ような自分がとても嫌でした。
これからは「森のクマさんを守る人」を助ける側に立つ、自分でいることができます。
これは私にとって誉れ高いことであり、この本との出会いには今も感謝しています。

【追記として】…これを書く今まさに花粉飛散シーズン真っ只中。これも膨大な人工杉があちこちの山に聳え、使われず整備もされず、長らく立ち続けているからでないの?…と、鼻をかみかみ、目には点薬、ティッシュを大量消費しつつ、これって『人災』じゃ?国民に『花粉症治療手当て』出ないのかしら?など、ついつい考えます。とにかく、必要なだけを育てて使えば、いまや役立たない木々が国土占領し、邪魔なだけですよね?思いきってそこを海外みたいに野生保護区などに創り直し、クマや動物たちにお詫びして欲しいなと思います。そして、私達への花粉被害も減るならベターです!


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