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TOVE/トーベ 嚙み合わない愛のステップ

ネタバレあり

日本人ならば、誰でも一度は目にしたことがあるキャラクタームーミンの作者トーベ・ヤンソンの映画。
個人的には超大当たり。https://www.amazon.co.jp/TOVE%EF%BC%8F%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%99-%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3/dp/B09P4HHFNJ/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1QWUUUDNZJPZL&keywords=%E3%81%A8%E3%83%BC%E3%81%B9&qid=1685959096&s=instant-video&sprefix=%E3%81%A8%E3%83%BC%E3%81%B9%2Cinstant-video%2C186&sr=1-2

トーベ・ヤンソンの一生を描くのではなく、彼女の人生の転機となった出会いヴィヴィカとのエピソードが中心。
トーベ・ヤンソンは同性愛者というのは割と有名だが、この映画を観るとレズビアンではなくバイセクシャルであることがわかる。

映画冒頭からトーベが音楽をかけて踊り狂う場面からはじまるのだが、劇中で音楽とダンスは重要な役割を持っている。
彼女の心情を表す時に、ダンスや音楽が必ず流れているし、表情と連動している。
偉大な芸術家の父を持ち、同じような評価を求められ苦悩するトーベ。
トーベの心の拠り所は、自らが創造する世界ムーミン谷だった。
友人として、時には愛人としてトーベを見守るアトスはスナフキンのモデルに。
彼女の人生の出会いと別れはムーミン谷の住人と物語を豊かにしていく。
父親からは芸術的な価値を認められなかったムーミンは、やがて世界中の人々に愛され芸術の先へと到達する。

と、書くと美しい感動的な物語を想像するかもしれないが、内容はずっと人間的で生々しい。

運命の女性であるヴィヴィカはトーベとは違った価値観を持っており、トーベだけを愛さない。
トーベはヴィヴィカだけを愛したいが、二人のステップは揃わない。

お互いを離れがたい存在でありながら、離れないと傷つけあってしまうのが何とも哀しい。

我々の生きている時代より不自由な時代に、自分の心に素直に生きようと体当たりで生きているトーベはリスペクト出来る。
時代背景や小物も、かなり気を使って作っているので、それを見るだけだけでも楽しい。
時代背景も、ちゃんと反映しており、女性もタバコをバカスカ吸う(笑)
トーベも喋りながら吸うし、吸ってない場面のほうが少ないぐらい。

これは、好きな映画を語る時に言っているんだけど、何処の場面を切り取っても画になるところも素晴らしい。

部屋に優しく風が吹き込んでカーテンがふわっと浮き上がり、机の原稿用紙を舞うところをベッドから見つめるトーベの場面が良かった。
これ、単に綺麗な場面を撮りたかった訳ではなく、本当の意味で自由になったトーベを表現しているんだよね。
原稿が風に舞っても、焦ったり、イラついたりしない。
カーテンと陽の光と風を穏やかに見るだけの余裕がトーベにはできたのよ。

ああ、この映画を観て良かったと思える場面を、ここだけで表現できるのに感動した。

アマプラで観れるうちに是非!!

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