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本を広げてみて

とあるアニメーションには
とても本が好きな少女が出てきます。

司書を目指していた女性は突然亡くなってしまい
本がとても高価で手に入りにくい世界へ子どもとして
転生してしまいます。

前の世界で手に入れた知識を活かして
なんとか本を作り、それを普及させようと奮闘する物語です。


確かにその昔、この世界でも本はとても貴重なもので
一部の人々しか扱うことができませんでしたね。

というか文字すら読めない一般市民も多かった時代もあったのではないでしょうか。

この作品でも触れられているのですが

グーテンベルクという方が活版印刷の技術を開発したことにより
世界は大きな転換点を迎えました。

本が大量に製本することが可能になり
識字率の向上や知識の普及に大きく貢献しました。

もちろんこれは歴史上の出来事にも多大な直接・間接的な
影響をあたえました。

フランス革命ではシェイエスの「第三身分とは何か」という本が人々を革命へと駆り立てましたが、
これもやはり本がなければどうなっていたかわかりません。

もっともフランスの場合は遅かれ早かれ政治体制が大きく変わることが起きていたでしょうが……


ですが、一般の市民層すべてが本を読めるほどの知識や経済力があったかといえば、それはまた少し別のおはなしのようで。

学校にいけないような家庭の子は字もロクに読めずに一生を終えるのが当たり前という国も少なからずあったとか。

さいわい日本は教育システムが普及していましたから
ほとんどの子どもは簡単な読み書きや計算はできていたようです。
寺子屋を中心に子どもが学ぶ場所はありましたからね。

ヨーロッパ諸国では植民地獲得競争などが行われ
なにかと「平和」とはかけ離れていた国々もありましたが
日本では江戸時代、ほとんどの期間が鎖国体制
つまり他国との関わりを極力減らし
長く戦争のない平和な時代が続きました。

だからこそ、子どもが安心して学べる環境が整っていたのでしょう。

その長い時代が幕を閉じあと、
海外から日本にやってきた人々は
空き時間に子供を含めた日本人が本を読んで待っている姿を見て
驚いた人々も多かったとか。

それだけ異質なことなのでしょうね。


現代では文字を読めることも本が気軽に手に入ることも
「あたりまえ」と言い切ってもいいかもしれません。

幼稚園くらいから字の練習は始めますし
小学校からは様々な教科の勉強を始めますからね。

どの学校にも図書館がありますし
品ぞろえはともかくとしても
各自治体に図書館がありますから
一般市民もアクセスは容易です。


ただ、最近では予算もかなり減らされている自治体もあるようで
運営はかなり厳しいとか。

一部では民間企業に図書館の事業を委託している
という所もあるそうですからね。


そんな状況を考えるのであれば

多額の税金すら帰られていないお金で
大量の本を買える政治家の方はほんとうに羨ましいですね。

その方のポケットにはいったお金さえあれば
いくつもの図書館が大量の本を購入できたとか。

その本があれば
どれだけの子どもが
どれだけの市民が
本の魅力を享受できたのでしょうか。

もちろん政治家の方にはたくさん勉強していただかないといけないのですが
はたしてそれだけの本を買って
どのくらい読んだのでしょうか。

是非教えてほしいものです。


冒頭で触れたアニメーションでは
主人公が最初に制作に取り掛かったのは
絵本だったと記憶しています。

子どもが本の持つ力を享受できるよう
奔走していく主人公は
とても素晴らしい人物だと思います。

本というものは色々な人々の世界を広げてくれる
とても大切な存在です。

それが悪用されたり、なにかの隠れ蓑にされる日がなくなり、
誰もが自由に、そして今までの人々が紡ぎあげてきた知の結晶を
気兼ねなく享受できる日は来るのでしょうか?

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