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【 雑誌のお仕事 】突然だった。ひよひよライターが人生をガラリと変えた取材ネタ 3

読まれるnote.にするために「1記事で完結する」と、いろんな方が(初歩レベルの)コツとしてアドバイスしています。読む人にストレスを感じさせないことが一番大切とか。。。あのー、1テーマでもう3記事目に突入しちゃってます!ダメですね、こりゃぁ。笑
でもオレ、吉田かばん別冊を作ったときの体験をなんとか残そーと思っているんです!ばっさ、ばっさ文字削ってここで終わるようにするんで、すんません!!!    ↓前回(2回目)の記事です↓

↑↑↑「ウラシブハラのウラ」の企画内容はバナーにて。


当時、吉田カバン(下の長い吉に変換できないので以下よしだ)の本社には資料室という名前の部屋(ほぼ1フロア)があった。社内でもほとんどの人が存在さえ知らないというその部屋に、1回目のよしだカバン別冊を作っているタイミングで入れてもらったことがある。雑誌媒体関係者で入ったのは僕がはじめて。
んーーーー、なんつーんでしょ。ブルーシートが敷いてあって、その上にユーズドのバッグがこんもり積まれ、その小さな山が3~4エリアに散らばっている。バッグだけを集めたフリマに足を踏み入れた感覚。

そのうちの1カ所は、くたくたになったよしだカバンの山で、買い替えのときにお客様から処分依頼として引き取ったバッグ群。カバン本体のどの部分に力が強くかかったのか、損傷した原因は何か、とか、時には解体しながら今後のカバン作りに活かす資料として、これからの役目を待機中でした。
そのとき思ったのは、バッグって使い込むとくったくたになり、使った人の使用感がモロに反映されるものだと再認識。ショルダーベルトの斜め掛けが右か左かでバッグの形は変わってくるし、ファスナーを開けるときにどの箇所を押さえながら開けているかとか、オーナーのバッグへの扱い方が想像できてしまうのが非常に興味深かった。そう、そう、そう。

その後、よしだカバンのことを、まるでデニムのように馴染むバッグとか、使う人のクセが反映され愛着の沸くバッグ、なんて表現を僕は書くようになりましたね。そういう「使い込むことで自分なりに仕上がっていく」ことを前提にしたデザインがあるってことを知ったのもよしだカバンからでした。

ほかの山には、企画チームが国内外のフリマや古着屋で見つけたものがずらりとあり、ミリタリーもののボリュームが一番ありましたね。あー、これを昇華させたのがあのシリーズか〜とか、よしだカバンのデザインの裏を見た感じ。企画の方々の好みかもしれませんが、ワッペンやステッカー、ペインティングカスタマイズ、ハンドルを太く自分用に作り直したものなど、オーナーのカバンへの想いが反映されたものが多かった気がします。
そう、ワーク系だとニュースペーパーバッグが複数並んでいて、それを見ながら、世の中にナニかが生まれないとカバンは生まれない(物を入れて保護の役目)、カバンを使うことで効率が上がらないといけない(行動を快適にする役目)と、カバンの核心を教えてもらったのもこの資料室でした。

吉田かばんよりポーター、ポーターよりタンカー、なら知ってる。え??


でね、出来上がったよしだカバンの別冊の販売部数は、まーまーと言っておきます。本誌の知名度などもリンクすると思うのですが、期待してたよりは下でした。そーしーて、発売してから衝撃な事実を知ったのです。。。。なんと!『よしだカバン』という名前で、あのバッグのことね!と思い浮かぶ人が少なかったのです!ガ、ガーーーン。
<ポーター>、<ラゲッジ・レーベル(L.L)>というブランド名はわかるけど、、、「タンカー」というシリーズ名なわかるけど、、、よしだカバンって何?と、いった状態だったのです。今でこそ、よしだとポーター、ポーターとタンカーと簡単に結びつくと思うのですが、当時はよしだカバンというキーワード自体にパワーがなかったのです。しかも別冊の表紙は上半身裸のマッチョ外国人 が新作のバッグを持っている笑だけなので、タンカーユーザーでさえ気づかなかったのです。

なので初速は全然ダメでした。このとき、みんなが知っているキーワードを前面に出すことや、提案型の企画であれば丁寧にプロローグを作らなきゃいけないって心に誓いましたね。せっかく作っても届くはずだった人に読まれなかったら意味がないなって。ただ、しーーーーね編集長御大は、雑誌初!が大好きで、多くのビックムーブメントを作ってきた人。そんな御大からすると、流行りの最初ってこんな感じですよ、って言ってましたね。

貸し出しがOKになる喜び これ、わかるかなー。


部数は芳しくなかったかもしれませんが、(通常号の取材対象である渋谷・原宿のショップ、ブランド、デザイナーなど)周りの態度が、この別冊発売を機にガラリと変わりましたね。
業界内では好評?だったのかなーと思います。これまで「そんな雑誌名知らないので貸し出ししません!」とか「1ページ以上の扱いじゃないと取材受けません!」とか「横並びは?あのブランドが出ないならウチも出ません!」とか、非常に協力してもらえない状況が多かったのですが、プレスの方々の言いなりになることも減り、ウラ原宿にあった人気ブランドのディレクターの連載もはじまり、大手セレクトショップからウチも別冊を作ってほしいと依頼が増えたり、急に企画書が通りやすくなったのは嬉しいことのひとつでしたね。

ひとつのスタンダートが生まれる瞬間に立ち会えた。
ウエストバッグのタスキ掛けの文化に触れた。


よしだカバン別冊(1回目ね)をリリースしたときって、タイミングよく大きな大きなムーブメントがあったのです。しかも一過性じゃなく、後のスタンダートになる現象が。とてもとても簡単に言うと「ウエストバッグのタスキ掛け」です。あれ???拍子抜けしました?
グレゴリーなど(やや大きめの)ウエストバッグのムーブがあり、はじめはみんなウエストバッグという名前通り腰にベルトでギュっと締めて使っていたのですが、だんだんとショルダーバッグのようにタスキ掛けで使いはじめるようになっていったんです。
そのウエストバッグのタスキ掛け、が、一番カッコよくキマっていたのは、よしだカバンの、ポーターの、タンカーだったわけですよ。ヘルメットバッグモチーフのアウトポケットを左右に完備した、やや箱型のあのデザイン。
正直、今じゃ当たり前すぎてピンと来ないことでしょう。ZOZOTOWNでも、ウエストバッグというカテゴリーには、ウエストバッグとして設計されたセンターバックルのデザインがラインナップされていますが、モデルカットはみなタスキ掛けのフロント持ちなのです。もはや腰に巻くという前提の設計さえ要らないはずなのに(ランニング用とか本来の用途のものは含まずです)多数リリースされています。使い勝手のいいバッグの形として。

デザイナーが本来意図した使い方を無視して、ユーザーが使い方を考え、ひとり歩きしていった文化。このことをよしだカバンの企画チームは「感謝しかない」とよく言っていましたね。本来であれば立役者のはずなのに。
そんなバッグの新しい在り方が、よしだカバン別冊作りのタミングで確立され、文化のはじまりに立ち会えたことはラッキーだったと思います。
ほんと、これ、何度も言いますが、日本のファッションカルチャー史において、とてもとても重要なキーポイントなんですよ!JAPAN発信で世界規模のスタンダードにしちゃったことなんですよ!通ぶって言いふらしたほうがいいレベルなんですよ!笑

【 本物と仕事する 】が、雑誌の仕事のテーマになった。


よしだカバン別冊を通じて「本物」という存在を知り、ライター、編集という仕事の意識がガラリと変わりましたね。ライターだから本物に対して取材ができるわけですよ。それ以来、世間の評判・評価を意識せず、本物をひとりでも多くの人に知ってもらうことを大切にしてきました。で、本物と出会うために、本物はどういう経緯・流れで誕生してくるのかをすごく分析したし、本物を判断する審美眼を磨くことにも必死でしたね。
そして、本物はモノ・コトの取材対象だけじゃなく、本物の気質あるスタッフ(カメラ、モデル、メイク、スタイリスト、ロケコーデ、編集などなど)と一緒に仕事をするということも含まれていて、明らかにページの仕事の仕上がりクォリティが違うし、楽しさのステージが格段に違いましたね。
そんなよしだカバン別冊が教えてくれた「本物」という視点・意識は今でも大切なものとなっています。

ばっさ、ばっさ文字削ってたら話がごちゃごちゃだ。なんか文章のテンションも凸凹だし。っていうか、オレにまとまった文章、しかも読みやすさを求めちゃいけないってことだ。結局、文章だけは本物を追求しきれなかったね、ってオチになってしまった。。。
とりあえず3回で書き終えた。今度はいつ頃のウラシブハラのウラを書こうかなー。海外取材?TE-TONネーム時代のrelax?ポパイのあの連載?ま、考えておきますねー。


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