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【勉強法】なぜ、テスト結果で「ご褒美」をあげない方が良いのか

「やった!100点!お小遣いゲット~!」

テスト返却の時間、このような声が聞こえてくることがあります。

すかさず、

「まじっ!お前んち、100点取るとお金もらえるの!」

と、興奮気味で訪ねる友達。

その後、彼の家庭では、激しい交渉合戦が繰り広げられたに違いありません。

このように「勉強とご褒美」がリンクしているのは”あるある”でしょう。

そこには、「主体的に学習へ臨んでほしい!」という願いがあることも分かります。

ただ、「勉強の楽しさを実感してもらうためには『ご褒美』や『罰』を与えない方が良い」ということも研究によって明らかにされているのです。

本記事では、「勉強の結果に対してご褒美を与えない方が良い理由」「勉強の楽しさを再発見するコツ」を紹介します。

ぜひとも、子どもさんのサポート方法として参考にしてくださいね。


▼テスト結果で「ご褒美」をあげない方が良い理由

なぜ、たくさんの家庭で「ご褒美作戦」が取られているかと問われたら、「子どもが勉強するから!」というのが答えでしょう。

確かに、「ご褒美」や「罰」によって子どもの外側から刺激を与えると、やる気が出たように見えますよね。

しかし、そのやる気が「一時的なもので継続しない…」というのも、多くの親御さんが実感していることでしょう。

やはり、「100点を取ることが目的になってしまう」という状況は、「もっといろんなことを知りたい!」という勉強がもつ本来の価値である、「好奇心」にはつながらないのです。

さらに衝撃的なのは、外側からの刺激によって「何としても100点を取りたい!」という欲望がふくらんだ結果、「カンニング行為に至るケースもある」とか。

では、どのような状態が望ましいのかというと、ロチェスター大学の心理学者、エドワード・デシさんとリチャード・ライアンさんが提唱した「内発的動機づけ」という考えが役立ちます。

「内発的動機づけ」とは、

「表面的な結果ではなく、その行動によってもたらされる内面的な楽しみや意義を動機とする」

ことです。

勉強で言うと、「テストで100点を取る」ということを目的とするのではなく、「知らなかったことを知ることができた!」「問題を自分の力で解くことができた!」というような、学習に対する純粋な楽しさを動機にすべきなのです。

しかし、「そんなこと言われても、既に報酬がなければ行動しない外発的動機の亡者になっていますよ…」という方、ご安心ください。

次章では、「子どもが勉強の楽しさを実感できる3つのコツ」を紹介します。

▼勉強の楽しさを実感するために意識したい3つのポイント

「なんで?なんで?」と、ありとあらゆることに興味をもって質問してくるという時期を多くの親御さんが経験したことでしょう。

このような姿からも分かるように、ぼくたち人間は、もともと「好奇心」をもって生まれてきているのです。

しかし、いつしか「勉強しなさい!!」という声かけが必要になり、満を持して「ご褒美作戦」が遂行されていく。

しかし、その作戦の目的とは裏腹に、勉強嫌いにまっしぐらという残念な結果に陥りがちになってしまいます。

ただ、「勉強好き」という子どもは確かに存在するのです。

詳しくは、こちらの記事を👇

こちらの記事にも書きましたが、持ち前の好奇心を伸び伸びと発揮して、主体的に勉強へ取り組んでもらうためには、親御さんのサポートが必要な場合もあるのです。

そんなサポートをする大人が意識すべきポイントがこちらの3つ。

①自律性
②有能感
③関係性

では、それぞれさくっと解説しますね。

①サポートする大人が意識すべき3つのポイント~自律性~

「自律性」とは、

「自分の意志で学習しているという感覚」

を提供してあげることを意味します。

「勉強しなさい!」というスタートは、完全に「やらされている感」につながるのは言うまでもありません。

そうではなく、子どもに「学習内容や方法、時間等を選択させる」ことで、「自分から進んで取り組んでいる」という気持ちになれるよう背中を押してあげましょう。

②サポートする大人が意識すべき3つのポイント~有能感~

②の有能感は、

「自分が決めた目標までやり遂げさせる」

ということです。

やりがちな失敗は、計画時に高い目標を立ててスタートしてしまい、結局続けられなかったという挫折を経験するというもの。

みすみす、「できなかった…」というを経験を積み重ね、有能感を下げる必要はありません。

大切なことは、「確実にやり遂げられる目標に挑戦すること」です。

また、挑戦する問題の難易度も大切。

既に楽々解くことができる簡単な問題に取り組んだところで「できた!」の価値は上がりません。

だからこそ、「頑張れば、何とかなるかもしれない!」という絶妙なレベルに挑戦することがポイントです。

ちょっと高めのハードルを超えた経験が、「今日もなかなか頑張った!」という有用感につながるのです。

③サポートする大人が意識すべき3つのポイント~関係性~

③の関係性とは、

「『応援されている』『支えられている』という気持ちで課題に向かえるような環境をつくること」

を言います。

難しい課題に挑戦しているとき、誰しも少なからず不安を抱えます。

そんなとき、信頼できる大人に「見守ってもらえている」という「安心感」がモチベーションにつながるのです。

▼まとめ

本記事では、「主体的に勉強へ取り組んでほしいという親御さんの願いを叶えるために意識したいこと」をまとめました。

これまで、たくさんの子どもたちと関わってきましたが、「成功すれば、〇〇を買ってもらえる。」とか「テストの点数が悪かったからゲームを取り上げられた。」というような、結果によって「報酬」や「罰」を与えるといった方法を使っている家庭は少なくありません。

確かに、ご褒美によって目の前に迫っている問題に対して取り組むようになることは確かでしょう。

しかし、子どもにとって大切なのは、自分の中の好奇心に突き動かされて「私は、これがやりたい!」と、自ら設定した目標に向かって取り組み、成果につなげていくという過程です。

長期的に見通しをもち、粘り強く学び続けられるような環境を整えてあげてくださいね。


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