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読書レポ|福祉の思想

すべてに黒白をつける二項対立の社会は窮屈。
花曇りや、ソメイヨシノや、春霞のような、何色とも言えない色があるから、この世は心地いいのにな。
と、最近つくづく感じる。

私たちはいまや、好むと好まざるを問わず、現実に生起するさまざまな事件のたびごとに、あれかこれかという二者択一の前に立たされている。少なくともそのような感じをいだかされるようになってきている。中間的な灰色の存在はゆるされないとばかり、いつもきめつけられているような焦燥と不安のなかに置かれているのである。

『福祉の思想』糸賀一雄 著

この本が出版されたのは、僕が生まれる前の昭和43年!
先輩方が「あの頃はおおらかで、何でも許されたんだよ」と話す“あの頃”よりも前。

そんな時代に書かれたのが、上の文章。

何でも許されたあの時代の人ですら「二者択一の考え方に支配されてきて苦しい」と言っていたのだ。

なのに、その後も“きめつけ”の世の中へと一直線。
二者択一偏向の社会は、自然に生まれたのではなく、人間が作ったルールと人間による監視の強化の結晶である。

この本を読んで、僕たちはいったい何を望んでいるのだろう。と考えさせられた。

めでたしめでたし

立崎直樹

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