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読書レポ|科学的な適職

『科学的な適職』
タイトルをみると、一人ひとりにピッタリな職業を科学的に炙り出す本なのかと錯覚するが、そうではない。

僕は転職を考えて読んだわけでも、自分の仕事に行き詰まりを感じて読んだわけでもなく、ただ人に薦められて読んだので「なんだ。自分にあった仕事を見つけてくれるわけじゃないのか」とは思わなかったが、いわゆる適職診断として読もうと思っている人は要注意だ。

では、転職を考えている人、いまの仕事に悩んでいる人にとって、この本は無益なのか?
いや、そんなことはない。
天職に出会う方法を探している人こそ、読んだ方がいい

この本があなたの性格や長所を分析し、あなたの適職を示してくれるわけではない。
しかし、科学的にもっとも失敗の少ない適職探しの方法を知ることができるからだ。

本書が目指すゴールは、みなさんの仕事選びにおける意思決定の精度を高め、正しいキャリアを選び取る確率を上げ、最終的に「人生の後悔」を限界まで減らすことです。

『科学的な適職』鈴木祐 さん

以下の項目の中から複数を考慮して適職を見つけようとしていないだろうか。
❶好きを仕事にする ❷給料の多さで選ぶ❸業界や職種で選ぶ ❹仕事の楽さで選ぶ ❺性格テストで選ぶ ❻直感で選ぶ ❼適性に合った仕事を求める

しかしこれらは、仕事選びの際に犯しがちなミスであり、キャリア選び失敗の要因である。

では、何も考えずにすべてを天に任せろとでもいうのだろうか。いや、それだと⑥直感に任せると変わりない。

直感で選ぶのがなぜ良くないのかについては、ボーリング・グリーン州立大学の調査をもとに、「ほとんどの人生においては、論理的に考える人の方が人生の満足度が高く日常のストレスも低い」ため、と結論づけている。

このように①~⑦の幻想について、科学的な根拠をもとに解説していく。

本書でいう「適職」とは、あなたの幸福が最大化される仕事。すなわち仕事をとおして生活の満足度があがり、喜びを感じる場面が増え、悲しみや怒りなどのネガティブな感情を減らしてくれる仕事のことを指す。

大事なのは、完璧な適職など存在せず、その存在を信じること自体が幻想(人間の脳のバグ)なのだ。

そのことを理解したうえで、先の7つのミスに気をつけつつ、次にあげる「仕事の幸福度を決める7つの徳目」の観点で選択すると良いと書いてあった。

①自由②達成③焦点(自分のモチベーションに会ってるか)④明確(なすべきこと、評価軸)⑤多様(作業内容のバリエーション)⑥仲間⑦貢献

これら7つの徳目が重要となる根拠についても、本書では1つずつ科学的に証明しているので是非読んでほしい。

人間の脳には必ずバグ(バイアス)が存在しており、気づかぬうちにそのバグに制御されて誤った判断をする。そこでバグに立ち向かうための手順をあらかじめ決めておくことで、意思決定の精度があげようというのだ。
その手順は
1,幻想から覚める
2,未来を広げる
3,悪を取り除く
4,ゆがみに気づく
5,やりがいを再構築する

最後に、完璧な適職など幻想だという著者が勧める考え方を紹介する

無計画のまま享楽的に生きるのではなく、かといって適職の幻を追い続けるのでもなく、目の前の選択肢についてしっかりと考えたら、あとは人生の流れに身を任せる。

大まかな方向性を決めるタイミングだけは、自分でよく考えて決めたら、それ以外のタイミングでは、ただ流れに身を任せて日々の仕事に集中する。
すると、おのずと自分が幸福を感じられる仕事へと流れつくだろう。


めでたしめでたし

立崎直樹

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