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相談援助の基盤と専門職 社会福祉の専門職に求められる倫理について述べなさい。

 小学館が発行している日本国語大辞典によれば、倫理とは「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル」とある。近年の日本では、どの職業を見ても倫理が頻繁に叫ばれている。その中で社会福祉の専門職特有の倫理とは何か。何故求められるのか。

 社団法人日本社会福祉士会の倫理綱領の前文の冒頭に、「われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する」と記されている。倫理綱領に記されている中で最初に『尊厳』という言葉がでてくる。最重要キーワードと捉えて問題がない。その後も「価値と原則」では、「1(人間の尊厳)社会福祉士は、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する」となっている。

 社会福祉の専門職は個人を相手にソーシャルワークを行う。ひとりとして同じ人間はいないという事を念頭にソーシャルワークを行う必要がある。倫理が「善悪の判断において普遍的な規準となるもの」ならば、ひとりの個人として尊重されることこそが尊厳を守ることに直結し、普遍的に守るべき倫理である。

 社会福祉の対象が社会生活を営むうえでの生活課題を対象にしている限りにおいて、そこでのニーズは時間の経過とともに変化する。ニーズの広範化と多様化。専門職として対応をしていかなければ社会から信任されない。しかし、対象者は権利を侵され易い立場である場合が多く、社会福祉の専門職には変えてはならない倫理が求められる。
 
(引用・参考文献)
(1) 日本国語大辞典 小学館
(2) 社団法人日本社会福祉士会の倫理綱領

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