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【第3回】低迷する大塚家具の成長戦略を考える

~大塚家具創業の地から徒歩3分に住むMBAデザイナーnakayanさんが読み解く~

2017年8月26日公開:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ
https://ameblo.jp/naka-yan/entry-12304932196.html


▼2017年8月25日付 PRESIDENT Online 掲載記事

(以下記事内一部転載)
大塚家具の業績下落が止まらない。前期は46億円の営業赤字。今期はさらに業績が落ち込む見込みだという。父親を追い出す「お家騒動」を経て、新戦略を打ち出した大塚久美子社長だったが、結果としてその戦略は顧客から見放されるものだった。どこで間違ったのだろうか――。

大塚家具が最後に黒字だった2015年決算の段階では売上高は年間で580億円あった。戦略転換で翌2016年の売り上げは2割減、2017年にはいってさらに1割減で、直近の売上高は年間420億円のペースにまで下がっている。今期(2017年)の純損失はマイナス63億円を見込み、昨年の赤字額を上回るという。…

仮に、二代目を引き継いだ時点の久美子社長の立場で大塚家具の経営戦略を考えますと、「既存の規模を現状維持で守るのか」、或いは、「規模を拡大する戦略を取るのか」の大別して2つの選択肢への決断を迫られることになります。企業経営においては、現状維持イコール衰退でしかありませんので、後継者としては、後者の規模拡大という決断をするのは決して間違いではないと私は考えます。

それまでの大塚家具は、富裕層をメーンターゲットにし、ニッチャーの雄としてその立場を維持していた訳ですが、今後の市場動向を予測するならば、国内においては少子高齢化や冠婚葬祭の減少を背景にした高級家具の一括購入機会の減少、更には国内の人口減少に相対した富裕層自体の縮小も予想されます。 

仮に、勝久前会長の築いたニッチャーの雄としての立場を維持する選択をしたならば、事業承継後の短期間は現状維持可能ですが、中長期的には経営状況が厳しくなることが予測可能です。そこで、マーケットシェア拡大を狙ったチャレンジャー戦略へと転換をはかった訳ですが、この戦略転換における具体的な戦術を誤ったと捉えるのが妥当ではないかと私は考えています。 

ニトリやイケアのビジネスモデルにおけるKFS(Key factor for success)は、家具という商品自体の付加価値や差別化にある訳ではなく、川上から川下まで(企画開発や原料調達、製造、物流、販売やサポート等)を自社で保有していることにあり、特にロジスティクスコストの削減による原価率低下は他社の追随出来ない領域にあると言えます。 

大塚家具が行なってる戦術のひとつである家具(商品)自体の価格を下げ、購入機会を促すという選択は間違っていないと私は考えます。問題は、商品自体の価格を下げれば、当然今まで以上に売れるでしょうがその分の利益が減りますので、価格を下げても利益を確保出来るビジネスモデルへの転換や社内インフラ整備が出来ていないことにあるのではないかと私は考えています。ここがニッチャー当時のままなのではないでしょうか。

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