不揃いの手作り餃子たち
「おっいし~」
「たっのし~」
これって
僕たち夫婦の合言葉なんです!
我が家の料理番は僕。
今日は妻の大好きな餃子の日。
鶏むね肉のミンチにキャベツ、シイタケのみじん切りと
おろしたニンニクをたっぷり入れる。
具材はこれだけ、
ここに、おからパウダー、塩こうじ、塩コショウ、ゴマ油、お酒を入れる。
そして、一番の隠し味、愛情を溢れんばかりとふりかける。
あとは愛情が具材に染み渡るまで、しっかりと混ぜ合わせる。
きっと、妻以外の人なら胸焼けするだろう。
「どっぺすっ!」って方言がぴったりくる。
次は包む作業
包み方もバラバラの不揃いの餃子が次々に整列していく。
たねがはみ出ししたり、皮が破けたり、やせっぽちや太っちょくんと
不細工な子ばかりなのだが、個性豊かな面々たち。
さあ、出来上がりまであと少しだ。
匂いにつられた妻は、覗き込みながら
「まだ~」
ラストスパートにはいる。
フライパンにごま油を引き、可哀そうだが、餃子君たちを火あぶりにする。
心が痛むが、生きていくためだ。
ごめんね、餃子くん。
焦げ目がついたら、水攻めにし、
さらに、蓋をして窒息させる。
僕はなんて残酷なんだ。
妻には見られたくない。
「もう少しだからね」
妻は体が弱く、疲れやすい体質でした。
しばらく入院しており、退院と同時に結婚しました。
「何もしなくていいから、そばに居てください」
快く返事をしてくれた妻に
僕は食で元気にしようと、毎日ご飯を作りました。
一人暮らしで自炊をしていた程度で、自信はなかったのですが、
妻がリクエストする、僕はスマホアプリや料理本で調べて作っていく。
できるだけ、体にいい素材を使い、バランスを考えて作っていく。
妻は僕に料理の楽しさを教えてくれたのです。
そして、どんどんと元気になっていきました。
おっと、餃子が焦げてしまう。
いい感じに火が通ったところで、もう一度ごま油をかけて、
軽く焦げ目をつけカッリと仕上げる。
「できたよー」
お腹を空かせた妻は、飲み込むように食らいつく、
目がキラキラと輝き、溢れんばかりに頬を膨らませる。
きっと、冷凍の餃子が何倍もおいしいかもしれない。
でも、手間隙をかけることで、おいしいにたのしいがついてくる。
口いっぱいに幸せを頬張った、妻の笑顔はたのしさを倍増してくれる
「おっいし~」
「たっのし~」
僕は妻が大好きだ。
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