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散文 夢の途中の人

少し長く生きていれば何かの慣れに流されては流されていく。気がつけばその何かの慣れに違和感無く生活をやり過ごすようになっていた。
日々はどんどん続くと心は次第に何かをいや何も反応しなくなってしまった。
「夢の途中の人はいいな。」
僕の中の誰かが突然呟く。
「夢の途中の人?」
僕は僕の中の誰かに聞く。
「君だってちょっと前まで夢の途中の人だったんじゃないの?忘れた?寂しいなぁ。俺はまだまだ夢の途中だからさ。」
そう言って僕の中の誰かは消えた。
そうだ。まだ十代の少年だった僕の中のワクワクやトキメキやヒラメキが騒ぎはじめてきらきらと弾き始めた。
「そうだよな。俺も、もうちょっと夢の途中を見てみるよ。」
僕は夢の途中の僕に呟いた。

「夢の途中の人」

散文 夢の途中の人をお読み頂き有り難うございます。
どなかの目にとまれば幸いです。

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