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【詩】キズ

加湿器の白い蒸気を
眺めている

一人ひとりの悩み苦しみが
蒸気とともに空中に舞って
飛んでしまえばいいのに

傷つき傷つけ
途方に暮れた瞬間が
蒸気の中に薄く浮かぶ


傷ついた
小さいものも
大きなものも
しくしくと痛む

傷つけた者の顔が目に浮かぶ



傷つけた自分の顔を見る

皆で座っているテーブルの席に
座ろうとしている人を見つけ
違う席に促す

なんとなく同じ席に
座って欲しくなかったから
あっちに行ってと
そんなことでも人は傷つく


記憶の外にある動きの中で
大きな小さな誰かの心を
傷つけているのかもしれない


そんなつもりはなかったのに


ミスを犯さない人はいない
そんなつもりがなかったのなら
もうしなければいい

わたしたちは
ミスをする
そして
許す

その繰り返し


意地が悪いと言うのなら
それはまた別の話
自分の黒い手といつか
対峙することになる


傷つき
傷つけ
倒れて
また起きる


そんなわたしたち



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