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【詩】その場所へ

アスファルトの道路

昨夜の雨の反射で光る


紙袋に入れた軽くないもの

手を見ると静脈が肌から透けて見え

力が入っているのがわかる


スニーカーで向かうバス停

スズメを見るのは久しぶり

動いていく窓越しの景色

今の世界が映画の様に

行き過ぎる


スマホを見ると笑顔が弾けている

それだけ見てそのまま

ポケットに入れる


空は青い

積み重なった言葉に出来ない何か

握ったまま降り重なる


炊飯器は売った

冷蔵庫も売った

部屋も解約した

紙袋ももうない


何もなくていい

欲しくないものを

増やすこともない

好きの裏返しが嫌いでも

それは今はいらない


迷いはいつもある

皆そうだと隣の人の手を見る


乾いていく雑巾を絞っても

もう何も出ない


道はある


笑顔が待っているその場所

行くべきところは

自然と浮かび上がる


洗濯したタオルが風に揺れ

笑い声が聞こえる


行きたい場所へ

足取りも軽く行く



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