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暮らしの音がする


トントントンという包丁の音
パタパタ、ガラガラと歩く音や扉を開ける音
にゃーという猫の鳴き声


我が家は朝5時くらいになると、家族が動き始める。
その音で自然に目が覚める。


当たり前のように実家に住んでいるときは、その音で起きるのことが不愉快なときもあったけど(もっと寝ていたい的な意味で)今はその音を聞くと安心する。
“家族がいるんだ”ってホッとするからだと思う。


一人で暮らし始めてからもうそろそろ10年になる。
初めての引っ越しの日の前日は、ばあちゃんが大好物を作ってくれたのにも関わらず気持ちいっぱいで全然食べることができなかった。(次の日おまけに移動中に戻した)両親が家に戻ったときは、家に自分以外誰もいないことが落ち着かなくて、何だか怖くて寝付くまでに時間がかかかったなぁ。
今ではすっかり一人暮らしにも慣れて、自分の部屋なのに落ち着かないということもなくなった。


一人でご飯を食べることも、一人で眠ることもできる。自分の好きなようにできるからとっても楽だ。だけど、だけど……どこかさみしさを拭いきることはできない。小さい頃からずっと誰かと一緒にいることが当たり前だったから、なのかな。


今も自分の部屋でこうしてnoteを書いているけど、不思議と安心感がある。別に一緒にいるわけでもないし、バラバラのことをしているのにね。


今も洗濯機が回る音がするし、たまに下でテレビを見ているであろう母の声が聞こえる。あ、今くしゃみをした音が聞こえた。これは父さんかな?


暮らしを感じることができる音が好きなのかもしれない。
さて、明日はどんな音で目を覚ますんだろうか。

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