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父と娘とゲームの話。


「両親どちらに似ている?」って聞かれたら父だと思う。 
容姿とかじゃなくて、性格や内面的な話。


楽観的なところ、大雑把なところ
仕事に対する姿勢、見た目に反して体が強くないところ… 


あとは、ゲームが好きなところとか。

小さい頃、正直あまり父と遊んだ記憶はない。
一緒に出かけることは特別な時だけ。
そんな父だったので、正直好かれているのかわからない時期があった。
保育園に通ってた時だったかな?動物園で父が私を抱っこしている写真を見つけて、母に「おっとうが抱っこしてくれてる!」ってわざわざ報告にいったこと、今でも覚えている。そのあと「抱っこしてくれてありがとう」なんて言いにいったような気もする。めっちゃうれしかったんだろうな、その時。 素直に一緒に遊んでと言うこともできなかった、幼少期。


そんな父と仲良くなるきっかけになったのが、ゲームだった。
当時家には、白黒のゲームボーイとスーパーファミコンがあって。
父がプレイしているのをずっと見ていた。それがおもしろくておもしろくて。


思い出深い作品は、「ドラゴンクエストⅤ」
わたしが初めてプレイしたRPG。今でも一番大好きな作品。
ドラクエⅤは、魔王を倒しに行く王道RPGでもあるんだけど、家族の物語でもあって。親子でパーティーを組むんだけど、主人公は父の名前、その子どもたちの名前は毎回わたしと弟の名前だった。
一緒に冒険してるんだよね、ゲームの世界でも。どんな思いで、子どもの名前をつけたのかわからないけど、それもうれしくて。
だいぶ思い出補正がかかった作品になりました。


そこがきっかけで、わたしがゲームが好きになって。
父と一緒になってたくさんの世界を冒険した。
当時はテレビが一台しかなかったので、どっちがゲームやるかで喧嘩になることもしょっちゅう笑
どこまで進んだ、とか迷ったんだけどどうしよう、とかそんな話もたくさんしたな。


そんな父もだんだんとゲームをしなくなり、わたしも家を離れるようになり、小さい頃のように一緒に遊ぶということもなくなった。本当はもっと一緒に色々やりたかったのだけど。



そんな父がiPadを手に今、ドラクエをプレイしている。
ゲームをダウンロードしていたことを思い出して、父に手渡したのだ。


主人公の名前は、やっぱり自分の名前。
久しぶりのゲームにちょっとうれしそうで。
「城に行けないんだけど、どうすればいい?」
「街の人の話ちゃんと聞いてよ〜」
なんて、小さい頃に戻ったような話を繰り広げて。
夢中になるその姿に、「子どもかよ」と思いながら。


ぶっきらぼうな父と素直になれない娘をつなぐゲーム。
たかがゲーム、されどゲーム。


私にとっては、大事なものだったりします。




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