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私の城

世帯主の欄に自分の名前を書くたびいつもニヤニヤする私だが、実家ではない自分の家を"城"と呼んでいる。
初めて城に来た人は、私の好きなキャラクターとか色合いの趣味を目の当たりにして、一瞬クエスチョンマークを浮かべ、帰る頃にはすっきりとした顔で帰っていく。

そのうち収入が増えて、家具にこだわりだすから、今はその辺で安く買った繋ぎの家具で充分。

食器を揃えてみて、見た目がかわいいグラタン皿にホワイトソースとマカロニを入れてオーブンの中へ、
出来上がったグラタンを写真に収めて自分の中だけで楽しんで。

観葉植物を置いて、ベランダで野菜を育て、玄関の花瓶にはいつも行きつけの花屋で買った花を挿して日々癒されて、、

今から11ヶ月前の私は家を出たときどんな気持ちだったっけ、と先日実家に帰ったときにふと思った。
そういえば、こんなことを考えていた。

自分の意思で一人暮らしを始めたわけではないので乗り気ではなく、生活作り、部屋作りをものすごくサボった。
いや、サボっている。

家具にこだわりはないし食器を揃えるほどの料理は作れないし、オーブンがないからグラタン焼けないし、
植物は大惨事になりかねないので置かないことにした。

どうぶつの森であれだけ家具にこだわり、植物を育て、リアリティーを求めてきた自分、どうした。
リアルの家はただ暖かさとWi-Fiがあれば充分だというふうになってきてしまっているぞ。

…そろそろ城作りを再開するか。

私は全くと言っていいほど実用的なものを欲しがらない。
同じお金を払えば椅子が買えるのに、バッグを買ってしまったので床でご飯を食べている。
お金を貯めれば洗濯機が新調できるのに300円のシュシュを買ってしまう。
さっきまでガチャガチャで回したからあげる、と言われ家族に押し付けられたフィギュアを並べていたし、
謎にホワイトボードが脱衣所のドアにぶら下がっている。
今はハンモックが欲しい。でもやっぱいらない。
の繰り返しである。
そんなことより、ホットカーペットに寝そべり暖をとっている今が1番幸せな時間だ、と、スヌーピーのぬいぐるみを撫でながらつらつらと文章を打っている。

そもそも引っ越しの面倒さを知ってしまったし、
ここに永住する気がないから、私はいつでも逃げれるように物を増やしたくない人になってしまったんだと、
最近知り合った人と話している途中にふと口に出してしまった。
その人は"逃げる"の意味を知りたがっていた。
その気持ちとは裏腹に服とチョコレートばかり増えていく。


とりあえず白っぽくしとけば良いとアドバイスをくれた友達の話を頭の片隅に放って、ポイントポイントにガラクタが置いてあるこの部屋は、誰がなんと言おうが、私の城である。
暖かくてWi-Fiのあるこの城の主はトイレ掃除にしか情熱を注げない。

それでは。
見つけてくださり、読んでいただき、ありがとうございました。

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