見出し画像

【本】まちづくりは押し付けられるものじゃないー旧グッゲンハイム邸物語

グッゲンハイム邸は、兵庫県の塩屋という地域にある洋館で、今はイベントなど行うスペースとして、著書の音楽家である森本アリさんがオーナーで管理をしている。

私も学生時代に音楽イベントや、友達の結婚式などで何度か訪れたことがあるものの、その歴史や運営に至るまでの苦労は全然知らなかった。
今となってはおしゃれで若い移住者も多い街として有名になった塩屋も、実は行政の押しつけの「まちづくり」ではなく、こういった一人の発信者と、長くそこに住む地域住民の力で、何を残すべきか、何を発信していくかの果てしなく続くエネルギーのいる議論によってによって、少しずつその魅力が多くの人達に伝わった結果だったんだろうと本を読んで思った。

前に北九州のベラミ山荘に行ったときもそうだった。
キャバレーの寮だったベラミ山荘も、個人の方が買取大家をすることでなんとか壊されずに残すことができている。
そんなことって個人が資産をやりくりして苦労してやっていかなきゃいけないようなことなんだろうか。

どんどんとマンションやお金を稼ぐ施設に変わってしまって、そこに人が集まることで街を再生していく、というまちづくりって本当にいいのだろうか、と思ってしまう。

本の中でも、大きな商業施設ができたり、駅前開発でロータリーが新しくなったりすることに対して、便利さのあとに何が残るか知っているからこそ否定できる、経験したことのない人にとったら、どんなに便利になるんだろうか、どれだけ人が訪れるようになってくれるんだろうか、と思うとそれは賛成してしまう気持ちもわかる、という文脈があって、たしかに自分が体験したことのない便利さを求めてきた結果が今の環境破壊や資本主義の暴走的なところがあって、そこを誰も否定はできない。

でもそのバブル的な価値観が揺らいでる部分もあると思う。そういう都市開発が進んだ先が、今の地方の現状なんだから。

地元住民をないがしろにしない、地元の人にとって本当に価値あるものを残していく(それは有形無形両方)そういうことで、魅力が外に開かれていく、そういったやり方が街が再生していく方法がたくさん出てきていると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?