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日々、想い事

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日々のあれこれ。 子育てのこと、庭のこと、自身のことなど、想うままに綴っていきます。 読んだ人がホッと出来るような空間にしたいです🍀
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#手紙

【私たちは、迷いながらも“なぜ書くのか”】

【私たちは、迷いながらも“なぜ書くのか”】

今すぐ、この感情を書き留めておきたい。そんな衝動に駆られることが、よくある。自分のために書くときほど、両手の動きが溢れ出る言葉に追い付かない。タイピングが遅い自分に、ひどく苛立つ。書きたい想いが逃げてしまう前にキーボードを叩きたいのに、焦れば焦るほど指先が言うことを聞かない。誤字を連発し、バックスペースを連打する。奥歯を強く噛みしめ、全身に力が入り、呼吸さえも忘れている。書き終わった瞬間、ぐったり

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【宛名のない手紙】

【宛名のない手紙】

早く寝なきゃ。

そう思う夜ほど、うまく寝つけない。
追加で眠剤を飲もうか迷って、やめた。起きられない事態だけは、どうしても避けたかった。

スケジュール帳にぐるぐると描いたピンクの丸に、ずっと急き立てられていた。必死に作った書類を鞄に詰めこみ、忘れないよう玄関に置いた。あとは朝起きて、目的地に向かうだけ。その状態で潜り込んだベッドはひんやりと冷たくて、隣に小さな体温がないことに思わず泣きそうにな

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【岸辺で温かい珈琲を淹れて、静かに待っているから】

【岸辺で温かい珈琲を淹れて、静かに待っているから】

江國香織の短編小説に、こんな一節がある。

It's not safe or suitable to swim.

ふいに、いつかアメリカの田舎町を旅行していて見た、川べりの看板を思いだした。遊泳禁止の看板だろうが、正確には、それは禁止ではない。
泳ぐのに、安全でも適切でもありません。
私たちみんなの人生に、立てておいてほしい看板ではないか。

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
江國香織、

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花束、受け取りました。

花束、受け取りました。

本日、とあるエッセイストが書籍を出版した。

ちゃこさんと出会ったのは、私がnoteの街に来てすぐのことだった。おすすめユーザーの中から気になるタイトルを選び、読みに行ったのが始まりだったと記憶している。

微炭酸エッセイを得意とするちゃこさんの文章は、少しひりっとした痛みを伴う。でもその痛みは、人をむやみやたらに傷つけるものではない。むしろ「痛みを感じていいのだ」と思える、人の痛みに寄り添ってく

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私が伝えたいのは、いつだって私以外の言葉ばっかりだ。

私が伝えたいのは、いつだって私以外の言葉ばっかりだ。

海に魂が還ってくるのかなんて、私には分からない。話が出来るわけでもない。それでも私は、毎年その日は海に行く。そして、いつも一方的に話をする。

長男は随分しっかりしてきたよ。バスケが凄く上手になったよ。毎日たくさん笑って、たくさん動いて、たまに泣いたり怒ったりしているよ。沸点が低いのは私にそっくりだよ。困ったもんだけど、それも彼の持ち味の一つだから私は長所として捉えているよ。彼が怒るのは、いつだっ

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9年前の手紙~友からの便り

9年前の手紙~友からの便り

9年前、故郷に住む友人から手紙が届いた。正確にはメールだったけれど、私はそれを手紙として託された。
当時、私はネットでブログを書いていた。狭い範囲の公開制限を設けたその場所で、日々のあれこれを綴っていた。そのことを知っていた友人は、この手紙をそこで広めて欲しいと私に連絡してきた。

東日本大震災が起きてから、およそ2週間ほどが経った頃のことだった。

被災地域以外にお住まいの皆さん。

お願いがあ

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