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『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』感想 「もう一回が無い試合」が最高に味わえるのは映画館だけ!!



◆ハイキュー!!

2024年2月16日より公開された『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を観に行ってきた。

原作漫画『ハイキュー!!』は週刊少年ジャンプにて2012年より連載開始され、2020年に完結したバレーボール漫画。3年半経過した現在でも根強い人気を誇る本作。ジャンプ本誌でリアルタイムで全話読破済。原作者の古舘春一先生は前作『詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。』から大ファンである。

勿論メチャクチャ大好きな漫画だ。
思い入れは極めて強い。好きなジャンプ漫画の五本指に入る。 スポーツ漫画トップクラスのダイナミックな構図と凄まじい迫力・躍動感の作画。なにより語れる要素が多すぎる。本作を通して考えさせられた・勉強になったことは多い。正直な話、スポーツ漫画の枠に留まらず、ビジネス本としても機能していると思う。

因みに推しは月島くん、田中先輩、研磨くんです。
序盤で田中先輩の頼れるイケメンっぷりに惚れて、最初イヤミで消極的な同級生だった月島くんはスルメ形式でハマっていって本作屈指の名シーン・ガッツポーズで超超超大大大好きになって、本映画の題材となる「ゴミ捨て場の決戦」で研磨くんの沼にドハマった。

…とはいいつつも、単行本は持っていない。
いつか買おうとしているけど全45巻という超大作なのもあって後でいっか…の領域である。そのうち完全版が出たら買うだろうけど、最近の集英社は完全版商法やらなくなっちゃった(2015年のジョジョ3部がラスト)からなあ。文庫版だと小さくて迫力デバフかかるし。
というか、ジャンプ本誌という単行本では勝てないビッグサイズだからこそ迫力を堪能出来て、本誌で満足してしまう。なんてのはあるあるだと思う。

◆よう…数年ぶりだな…(TVアニメ版)

アニメ版『ハイキュー!!』の第1期は2014年4月。
早いもので10周年なことにビビる。こうして10周年を今でも続きが作られるのもびっくりであるが。

実はアニメ版は途中までしか見ていない。
ジャンプ本誌で多い満足したクチとしては、今回の「ゴミ捨て場の決戦」こと烏野VS音駒は大分久々にお目にかかることになる。リアルタイムだと2018年にやっていたそうだからもう6年ぶりになってしまうのか。名シーンは多い本作だが、断片的に忘れている部分も多い。
最近ジャンプに掲載され、入場者特典33.5巻にも収録された特別読切で再びハイキュー熱が入ったので、おっしゃほぼ白紙状態で見てみるぜ!
というわけで早速感想。

うん、これ映画館で見た方が絶対良いやつだわ。

『ハイキュー!!』は実はもう数年前から劇場版総集編が上映されている。
アニメ1期(前後編)、2期の青葉城西戦、3期の白鳥沢戦だ。それらも未見なので、映画館で見るとTVアニメ版との印象の違いがあるかもしれない。翻って今回の劇場版は原作ストーリーであれど完全新規アニメ。TVアニメ版と断然印象が違った。

◆映画館で見てくれ!(※ネタバレなし感想)

まず音がすごい。色々すごい。
もう深刻的な語彙不足になるレベルですごい。

まあこれはアニメ版を今回久々に見たのもある。
「キュッ」というシューズで床を滑らせた音が印象的だったし、ボールの打撃音も炸裂しまくりで、これ顔面に喰らったら病院送りなんじゃないかってくらい爽快な音である。
BGMの盛り上げ方も、ここぞというところで感情を大きく揺さぶってくれる。もう期待通りといってもいいくらいに。音楽の力ってやっぱすごいんだな。

ぼくが特筆したいのは、応援団のマジ感溢れる臨場感がすごい。
といっても冴子姐さんを筆頭とする応援団の存在は本作が初ではなくて、2期の和久南戦からになるのだが、この応援団のおかげで映画館が体育館へ変貌したような一体感を得られた。もう題材からして応援上映にうってつけな作品なのだが、この一体感こそが映画館で見るべき理由のひとつだと思う。まあ、問題は烏野と音駒どっちを応援すればいいんだ。

作画も信頼と安心のIG制作。
元よりTVアニメ版も凄まじくぬるぬる動いていたので安定している。アニメ版とは甲乙つけがたい。だけど今回久々に見ると「うちもバレーでこんな動きしてーわ…現実のスポーツだけどジャンプヒーローやってるわ…」と感動していた。こんな運動神経どうやったら身に付くんだよ!?と、それは現実のバレーの試合も見て思うことだが。なんなんだよこいつら。かっこいい動き方しやがってよぉ~!!変人速攻はやっぱりロマンですね。

構成はぼくのような久々組でも全然ついてこれた。
まあ原作読破済で、どんどん記憶が鮮明に蘇ってきたのは絶対的根拠であるが。が、まず冒頭で描かれるのが主人公・日向翔陽ともうひとりの主人公・孤爪研磨との出会い。序盤でのこのふたりの出会いを改めてリフレイン、というやつだ。
試合開始前は選手紹介もあるし、これまでのTVアニメでの回想も見られる。回想はぶっちゃけ多いが、別に総集編じみたものではないし、これまでの積み重ねと成長を意識しつつ盛り上げる為に上手く機能されているので全然問題点にならない。感慨極まるつくりになっている。

なんといっても、孤爪研磨がマジにもうひとりの主人公じみた構成になってて新鮮味があった。
元より彼視点での回想が多いのもあるが、終盤の展開を筆頭にどうしても研磨くんに感情移入してしまうつくりになっている。「これもう研磨くんが主人公やんけ…」とネタ抜き冗談抜きに感じられた。

★結論:原作既読組でも文句なしに楽しめる映像作品になっているぞ!ファンの人は見ていて損しないから観に行くことを強く勧めるぞ!たぶん配信やレンタルで初めて見ると「映画館で見ればよかったアアアアアアアアアア!!!!」って後悔すると思うんだ!

あ、あと第1弾入場者特典33.5巻はボリュームたっぷりなのでオススメです。
古舘先生描き下ろしがジャンプにも先行掲載された特別読切だけではなく、描き下ろしイラストが満載すぎてガチのファンサが素敵すぎる。古舘先生やりすぎっすよ!感激感謝雨霰すぎるっすよ!これ目当てで観に行くのも大いにアリだ。なお第2弾配布が3月9日(土)からとのことなので、早めにゲッツすることを推奨する。

◆音駒戦を一気見できる構成

今作は95分と、TVアニメ4話分の尺になっている。
原作は第33巻(第293話)~第37巻(第325話)と5巻分もあるそうなので、流石に一部カットはあったそうだが、かといって「あのシーンなんだったの?」と困惑することはなかった。

今回ノンストップで試合を最初から最後まで通してみると、『ハイキュー!!』という作品の新たなつくりが見られた。
そういうのは原作やアニメを一気見すればいいだけの話かもしれないが、アイキャッチやOPEDはなく一気に話を進めている。まあ時折回想が流れるので「円盤だとここでチャプター分節してそうだな」と推測できそうだが。

一気に見てみると序盤から試合のカロリーが半端なく高くてお腹いっぱいになれる。あるキャラが第2セットなのに第5セットもやってる気分と言及していたのは非常にわかりみがありすぎた。いやもう最初から相当クライマックスすぎじゃない?3セット制とはいえまだまだ遊べるドンとかすごすぎない?
まあ、刻々と時間が経過していくと「あともうちょっとだけこの試合を遊ばせてくれ!」という気分に浸れるのだが。マジのガチで。

個人的にはこれからの試合のほうがおつらい展開があった記憶が残っているのだが、こうして見返してみると音駒戦もえらくハードだったんだな…とびっくりした。基本的に陽のオーラが激しすぎるおバカキャラな日向くんが相当追い詰められて曇っていたのは新鮮味があった。

◆ハイキューはじめての人はどうなの?

完全新規の人は流石に厳しいかもしれない。
バレー要素だけに絞ってそこを見所さんにするのならなんとか楽しめるかもしれない…といった感じか。でもそれだけでは『ハイキュー!!』という作品を100%楽しめないから勿体ない気がするので、ここからいきなり入るのはぼくとしては止めはしないがお勧めし難い。

まずキャラを知る必要があるし、そのネームドがかなり多い(烏野・音駒以外にも観戦者がいる)し、そも春高3戦目とストーリーの続きになっているからなあ。『ハイキュー!!』は積み重ねを大切に意識している作品だし、その為に回想が多用されていると言ってもいいだろう。
アニメ1期から通算すると85話+αもあるので正直かなり大変だが、現在はPrime Videoでも配信されているから気軽に視聴できるし、TVアニメ版は岸本卓氏による原作再構築な脚本のヒキが強すぎて体感時間が短く感じられるのでオススメだ。

ただ、孤爪研磨という男の人生の縮図に注目するならアリかも?
今作でガッツリ回想を中心に人物像が描写されている。バレーとの出会いとか、どういったコンセプトなのか、たぶん本作を知らない人からすると「バレー漫画でこういうキャラを出してもいいだ!」と驚くかもしれない。そういう意外性がぼくは惹かれたまでもある。

◆好きなシーンTOP5(※ネタバレ超注意)

『ハイキュー!!』は感想が非常に書き辛い。良い意味で。
「あのシーン激エモ!」とか「マジ神名シーン!!!!」とか、断片的に要素要素は語ることができるのだが、バレー描写自体はどうやって感想を書けばいいのか連載当時は苦難していた。クッソ面白いのに。まあ言語化できないぼくの実力不足なのもあるが。ただただ作画鬼すげえと言うしかないもん。

というわけで、結構好きなシーン多くて全部は語り切れないけど、TOP5形式で語ってみようのコーナー。めっちゃ雑な感想です。これを書いている今でも余韻残りまくりだから全然上手くまとまらんわ!

●第5位:一繋さんの握手

決着後、病院からテレビに向かって握手を交わす一繋さん。
会場へ赴くことはできず、猫又監督とはその場で再会もできなかったとはいえ、試合を見る事ならできる。今リアルタイムで行われているこの時だからこそ、年老いた今でもかつての烏野に所属していた男として握手を交わせたのは感慨極まっていいだろう。きっと猫又監督も気付いて伝わっていたと思いたい。
ほんと『ハイキュー!!』はこういうところが良い。名作と呼ばれる理由のひとつだ。それだけに第5位は自分でも低すぎんだろと自覚している。

●第4位:研磨くんのホラー描写、そこからの一転攻勢

「面白いままで居てね」と宣言するシーンと鳥籠に閉じ込めるシーンはガチホラーすぎてビビった。特に前者は原作でも見たシーンなのに、原作以上にホラーしてる。そりゃああの日向くんも思わずギョっとしてバックしちゃうよなあ。本作はバケモン呼ばわりされているケースがあれど、そうであってもいい説得力が完璧だった。
後者の鳥籠は、それごと破壊してまで脱するカタルシス溢れる演出が素晴らしかった。BGMの盛り上げ方とか日向翔陽完全復活の流れとか完璧すぎる。

●第3位:研磨くんマジバケモン

ぼくは研磨くんのゲーム脳(勿論良い意味でだよ!!)が好きで、バレーをゲームに喩えているのが面白い上に分かり易さがある。そのゲーム脳を活かした戦法で日向くんを追い詰めていく過程はとても見応えあった。
研磨くんからすれば非常に楽しそうだなと羨めるのに、このゲームを終えてしまうのは寂しいというジレンマがおつらい。日向くんが追い詰められていたのもおつらかったが。

●第2位:終盤の研磨視点

これは1位に挙げる人は相当多いに違いない。研磨くんで視点で描かれるリアルなバレー描写・作画がすごい。ビッグスクリーンだけあって、視界がすべて研磨くんのソレで覆われているから彼との一体感を味わえる。この作画は相当大変だったろうなあ。
まだまだ楽しいバレーをやりたいのに、徐々に体力を消耗していくマジ感が生々しかった。走馬灯の如く、過去の練習試合のシーンに映るのも含めて。

●第1位:月島くんの満面の笑み

アニメ3期(白鳥沢戦)でバレーにハマった月島くんのガッツポーズで彼のキャラが完成したまでもあるが、本作でもそこまでの主役級ではないにせよ、微笑ましい姿が描かれている。もうバレーを楽しめてくれているだけでも後方木兎さん面超余裕だった。
で、終盤での月島くんの笑顔が素敵すぎてキュンキュンしまくってた。なにこれまじ尊い。ぼくの心の木兎さんがぴょんぴょんしまくっているんだけど。

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