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スポーツコミュニティである私たち「Mercari Sports Club」が、自粛期間中にやったこと

コロナ禍により数多くのイベントが中止になっている昨今。withコロナと言われる時代に世の中がどのようになるのか注目が集まっていますが、メルカリ走るひとがコラボレーションして運営するMercari Sports Club(以下、msc)でもオンライン上での活動方法を模索していました。今回は、2ヶ月近くに渡る自粛期間中に私たちが実際に行った取り組み、そこでの学びをご紹介したいと思います。

「好き」を共通項にした
オンラインコミュニケーションの方法

「Web会議」や「Zoom飲み」が頻繁に行われるようになり、オンライン上のコミュニケーションのハードルは格段に下がりました。“面識がないひととの初めての打ち合わせがオンラインMTGだった”という場面も、この間多くのひとが経験されたのではないかと思います。

mscはスポーツコミュニティです。会社や所属を超えてスポーツが好きなひと同士で集い、新しく繋がれる場を作ろうと活動しています。社内部活動から派生しオープンな集まりとなっていったのも、

熱狂するコミュニティには、
“個人の「好き」が共通項”にある

という考えがあったから。これは裏を返せば、「好き」は、初対面であろうがどこに住んでいようが、そしてオンラインであろうが、活発にコミュニケーションを取り合える誰にでも無料で配布されるチケットのようなものでもあります。

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そんなことから、オンラインでコミュニティ活動のあり方を実験してみる場として「msc online talk room」と題したオンライントークセッションを開催することにしました。過去のmscイベントにお越しくださった方や日ごろ関わりの深いランナー、スポーツブランドで働く方々にゲスト参加していただき「好き」なランニングを語りあうというものです。

実際やってみると、“ランニングが「好き」”であることに加え“テーマ(話題)”があるだけで、顔見知りであるないに関わらず随分と話は弾みました。ほんの少しの準備でコミニュケーションの幅を拡げていけると発見できたのは、コミュニティを運営するものとして大きな収穫でした。

以下にざっと各回の模様をご紹介してみたいと思います。

msc online talk room vol.1
「コロナ禍におけるランナーインサイト」 

合計6名のランナーやランニングコーチを招いて開催した第1回のテーマはコロナ禍におけるランニングライフスタイルについて。ランナー人口が増加した街の景色や、手にするウェアやガジェット、走り方の変化について語りあいました。

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Vol.1 Guest
小林千晃さん(NUMERALS代表)
田中はずきさん(NUMERALS RUN TEAM
前原靖子さん(On Japan PR)
大村拓輝さん(某スポーツブランド)
山本まさみさん(ラジオパーソナリティ)
森川千明さん(元実業団/ランニングコーチ)

普段から走ることに精通しているメンバーも、緊急事態宣言発令されてまだ間もないタイミング(4月中旬)の走り方はこれまでと様子が違っていたようでした。例えば「集団で走ることを避けて、なるべくひとの少ない時間帯に走る」工夫は多くの参加者が実践しているとのこと。

すれ違うランナーの特徴にも変化があったようで、「(ランウェアではない)部屋着に近い格好でゆっくりペースで走るランナーやファミリーを多く見かけるようになった」と皆が口を揃えます。

そして「ハードなスピード練習ではなく、日々の心身の健康やメンタルを維持するために走っている」ように、自分自身のマインドにも変化を感じていることがわかりました。自粛期間中のランでは、相対的な物差しではなく、より個人のピュアな欲求に従った“走る理由”が形成されているのではないかとの仮説が生まれました。

ゴールに向かって一直線に走るのではなく、状況によってスタイルを変えていけるランニングの柔軟性を実感したトークでした。

msc online talk room vol.2
「自粛期間に考えるランニングの未来」

第2回目はランニングインフルエンサーとスポーツブランドマーケティング担当の皆様をお迎えし、ランニングの未来にフォーカスしてトークを繰り広げました。

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Vol.2 Guest
田原104洋さん(&MOSH/ランニングアドバイザー)
小澤真琴さん(New Balance Japan PR)
森下理沙さん(LOL Run Crew 代表)
栗田淳さん(Goldwin PR)
岩﨑志保さん(インストラクター/adidas Runners Tokyoキャプテン)

国内外のランニング業界の状況やグローバルブランドの本国での取組み事例など、より幅広い視野でのランニング市場の現状を共有しました。

その中で、withコロナ時代に個人や企業・ブランドとしてオリジナリティを持って活動していくために、それぞれがいま取り組んでいることを紹介。「時間を活用できるタイミングだから、新しい知識を身につけるため行動している」「こういう時こそブランドの枠を超えて手を取りあって、ランニング界全体のためにできることをやっていきたい」というゲストの皆さんのお話は刺激的でした。

実施をしたのは4月末でしたが、不安だけではなく未来に向かって行動していこうとする前向きなスタンスが生まれはじめている瞬間でした。

msc online talk room vol.3
「全国のランニングコミュニティと繋がる」

オンラインの特性を生かし、岡山、東京、愛知(名古屋)、大阪の各地で活動するランニングコミュニティの主要メンバーとmeet upした第3回目。現状におけるコミュニティ活動の指針や今度の活動方法、緩やかに戻ってくるであろう日常に対する心情を共有しあいました。

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Vol.3 Guest
・<岡山>倉田浩子さん(UDC)
・<東京>冨井菜月さん(PACER TRACK CLUB
・<愛知>岡本佳隆さん(COMMON LANDSCAPE
・<大阪>田辺正峰さん(AFE OSAKA

単独で走ることを余儀なくされているこの状況下で、いかに「孤独感を感じることなくメンバーの結びつきを維持していく」か。それぞれのチームごとにコミュニケーションの工夫がありました。

ランニングコミュニティにとって仲間と顔を合わせることができるマラソン大会やグループラン(数人のグループで走ること)は、活動の柱となるイベントです。しかし、それができなくなったにも関わらず「走行距離を減らさず走り続けているメンバーが大半」だと言います。自粛期間を通じて個々人が単独でできる「ランニングの楽しみ方」を見出し互いに共有していくムードがあったようでした。

ただ最後に全員が口を揃えたのが「仲間と一緒に楽しむ」イベントの再開を渇望する意見でした。自粛生活がまもなく2ヶ月を迎える5月末。日を追うごとに、一人ではできない活動の重要性を改めて認識し始めているのだと汲み取れました。

Zoomバーチャル背景で共有する
「スポーツのある世界」

ゲストを招き、テーマ(話題)を設定してこれまで計3回に渡って行ってきた「msc online talk room」ですが、実施するにあたりひとつだけ、“mscらしい”準備をしました。

これまでmscでは、特定の活動拠点を持たない代わりに既存の様々な場所(カフェやコミュニティスペースなど)を活用してきました。会場内をラッピング(装飾)したり、Tシャツに手動でロゴプリントをしたりすることでいまあるものを少しの工夫で楽しくする。むしろそれ自体をmscならではの活動指針として取り組んできました。

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イベント会場にMSCのコミュニティロゴをウェアやトートバックなどにプリントできるブースを設置し、新たな価値を生み出す瞬間を体験できる設計にしました。

それが今回、コミュニティ活動の場所がオンライン上に移動することになりました。少しの工夫で楽しくするというmscらしさを、オンラインスペースに持ち込む一番良い方法とは何か。派手である必要はありません、会の冒頭でさらっとお話するくらいのものがいい。検討の末たどり着いた方法が、オリジナルのZoomバーチャル背景を毎回準備することでした。

デザインのテーマは“スポーツをする場所”。公園や山や岩場など、10種類の背景画像をつくり、参加者各々が好きな背景を選びます。会によって色を変えたりもしました。

制作時に込めた狙いを少しだけお話しますと、メルカリ社のオフィス会議室にはそれぞれの部屋に名前がついています。発想はそれと同じです。ひとりひとりのルームに場所を表すテーマがあれば、自分はいまどんな場所でスポーツをしたいかを表現することができます。

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また、ルームのデザインをみんなで揃えることによって、まるでチームでユニフォームを揃えるときのような一体感が生まれます。そして、一覧で表示させた時に背景画像が地平線で繋がりひとつの「スポーツのある世界」を表現できると考えました。

結果としてこの取り組みは正解でした。言葉では表現しにくい“mscらしさ”を自分たちが確認しあえた。そして、手間をかけ過ぎず、でも普段のMTGとは違う程よい特別感を感じることもできました。色んなコミュニティのみなさんにも是非お勧めしたいと思います。

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最後に

「好き」を共通項に色んなひとと繋がりあう。ほんの少しの工夫だけでコミュニケーションは活発になり、普段は混じり合わないひとたちが垣根を超えて集まることで世界の広がりを感じられる取り組みになりました。今後はランニングに関わらず、トレーニングやサッカー、自転車など様々なスポーツジャンルにも広げて活動をしていきたいと思っています。

そして今回の取り組みの一番重要はポイントは、ほとんど準備に“手間がかからなかった”ことなのかもしれません。

そういうと語弊があるのでもう少し正確に言うと、時間を縫って参加していただいたゲストの方々も、基本的には“仕事”ではなく、“好き”だから参加してくれたということ。自粛で融通が効きやすくなっていたとはいえ、好きなことにはとことん時間を使おうと思ってくれる方々だったから、二つ返事で参加を快諾してくれて一緒に楽しんでもらえた。その前提があったから、私たちが何か特別な準備をする必要が生まれなかったのだと、そう感じています。

まだまだ先行きが見通せず、多くのコミュニティがこれまでと同じ様には活動ができない状況にあります。そんななかで少しずつでも、同じ「好き」を共有できる方々と新しい取り組みを一緒に実現していきたいと思っています。「好き」さえ共有できていれば、自粛期間が明けたこの先もオンライントークがコミュニティ活動の重要な機能になってくれる気がしています。


(mscの立ち上げの経緯やフィロソフィーについては、こちらも是非ご覧ください。)


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