誕生日

誕生日というものがある。年を取ると、これがなかなか厄介なもので。

嬉しくないとかはなく、かといって、特段嬉しいわけではないけど、感慨深いものではある。

ああ、またひとつ歳を重ねたなぁと思う。

誕生日だから、せっかくだから、自分に何かプレゼントでも買おう。

30歳過ぎたあたりから、そう思うようになった。

カバン買ってみたり、なかなか購入には至らなかったCDやDVD買ってみたり、時計を買った

もっとみる

酒日記②

貧乏芸人のせんべろの強い味方、

そう、それは晩杯屋である!!

例えばネタ見せでクソミソに言われてムシャクシャした日!ライブでウケた日!スベった日!別にマジで何もしてない日!

どんなときでも包み込み安く酔わせてくれるのが晩杯屋なんです。

今回は新宿思い出横丁のはずれにある晩杯屋で飲んできました。

基本は立ち飲みスタイル。
2階は複数人数用のテーブル席のフロアの模様。(1人でしか行かないから

もっとみる

だし巻き卵と、ジャパニーズオムレツ

和食の基本は「だし」だと思う。
出張先の京都の、たまたま立ち寄った居酒屋で「九条ねぎ入りだし巻き卵」を食べながら、しみじみとそう思った。
白い皿に黄色の卵焼き、真ん中から鮮やかな緑色の九条ねぎがのぞいている。
「ん~、いい香り~」
焼きたての卵焼きから、かつおだしのいい香りがする。箸を入れると、ふわりと切れた。パクリと口へ。
シャクっとした九条ねぎの歯ざわりと甘さ、だしのきいた卵焼きがぴたりと合っ

もっとみる

豚肉のしょうが焼きと、手乗りぶたさん

「こんばんは~」

なじみの居酒屋に、ようやく顔なじみの常連さんがやってきた。その日、店内はお客でいっぱいだったが、ほとんどがカップルやグループ客で、ひとりの常連客は私だけだったのだ。

「あ、こんばんは!ヨカッタ~!常連さんが来てくれた~。ひとりで手持ちぶさただったんですよ~」

「手持ちぶさた?なんで?」

「だってホラ、今日はひとり客の常連さんが少ないし、店主も忙しそうで。話し相手がいなくて

もっとみる

イチジクとクレソンの白和えと、禁断の果実

「イチジクってさ、アダムとイブが食べた禁断の果実っていわれてるらしいよ」

いつもの居酒屋の店主が、カウンターにあるイチジクの実を指差しながら言った。

その日、私がなじみの居酒屋で注文したのは「イチジクとクレソンの白和え」である。イチジクが出回る時期に、店主がよく作ってくれる料理で、クレソンのほろ苦さとイチジクのほのかな甘み、豆腐と味噌のやさしいコクが、日本酒によく合う。

「ええ~!禁断の果実

もっとみる

くずし冷や奴と、青い玉ネギ

「店主~!今日は冷や奴お願いしま~す」

「はいよ~」

いつもの居酒屋に入るなり、私は冷や奴を注文した。「冷や奴なんて、家でも食べられるじゃないの!」と思うなかれ。この店の冷や奴は、醤油ではなく、ごま油と塩で食べるのだ。
豆腐の上に、ねぎやみょうがなどたっぷりの薬味がのっていることもあって、ごま油の香りとほどよい塩気で、醤油や出汁ではなくても十分においしい。

「ん~、暑い日はコレだよね~」

もっとみる

たたみいわしと水菜のサラダと、魚のシート

暑い。

こうも暑いと、食欲もなくなるというものだ、と思いながら、今夜もなじみの居酒屋へ。

「とりあえず、冷たい夏酒をお願いします~」

スタッフにそう言ったはいいが、おつまみは何にしよう…。ふと隣席を見ると、常連さんが涼やかなガラスの器に入った料理を食べていた。

「それ、何ですか?」

「ああ、これ?たたみいわしと水菜のサラダ」

「涼しそうでいいですねぇ。私もそれにしようっと」

そのサラ

もっとみる

和牛のたたきと、マーブルチョコレート

「それ、なぁに?」

なじみの居酒屋で、店主が冷蔵庫からキッチンペーパーに包まれた、何かのかたまりを取り出した。ペーパーを剥がして、包丁で薄く切っていく。

「ん?コレ?和牛のたたき。今日の肉は本当にいいヤツなんだよ」

「うわ~!食べたい!」

この店の「和牛のたたき」は、自家製だ。店主はいい和牛が手に入らなければ、たたきは作らない。だから、いつもあるメニューというわけではないのだ。

フライパ

もっとみる

タコとミョウガのわさび和えと、日本の香り

「ミョウガって、ショウガの仲間なんですよね」
なじみの居酒屋で、隣席の常連さんが言った。
「ショウガの仲間なんですか?ミョウガが?」
「そうなんですよ。どちらも同じショウガ科の植物なんです」

その日、私が注文したおつまみは「タコとミョウガのわさび和え」である。渋い茶色の和皿に、丸いタコの吸盤と細く刻んだミョウガ、その上に青じそが少し。タコとミョウガのピンク色に、青じその緑色がアクセントになってい

もっとみる