碇本学

碇本学 ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本社会の青春 第7回『ナイン』の成功と6人の編集者たち(前編)

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第7回では、少女漫画誌から少年サンデーへの復帰、そして『ナイン』でブレイクを果たすまでの時期を語ります。才能はあれど時代に歓迎されなかったあだち充。そんな彼を粘り強く支えたのは6人の担当編集者たちでした。

あだち充の本当のデビュー作

 1970年にデラックス少年サン

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碇本学 ユートピアの終焉ーあだち充と戦後日本の青春 第6回 あだち充と少女漫画の時代(後編)

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第6回では「花の24年組」以降を追いかけます。萩尾望都らのSFが少女漫画で隆盛する一方、少年漫画のSFは衰退。『仮面ライダー』と永井豪にその可能性が継承されます。そして、コミックマーケットの開始、耽美系雑誌JUNの創刊など、現在に繋がるオタク文化の土台が着々と準備されて

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碇本学 ユートピアの終焉ーあだち充と戦後日本の青春 第5回 あだち充と少女漫画の時代(中編)

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第5回では「花の24年組」を代表する漫画家、萩尾望都と竹宮恵子を取り上げます。1970年代、二人が「少年」という主題を持ち込んだことで、少女漫画は飛躍的な発展を遂げますが、そこには戦後サブカルチャーに伏流する「成熟」の問題の萌芽が、すでに現れていました。

「花の24年

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碇本学 ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春 第4回 あだち充と少女漫画の時代(前編)

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。劇画全盛の時代に適応できず、少女漫画誌へと移籍したあだち充ですが、週刊少女コミックは偶然にも、一時代を築いた大御所たちと才能煌めく若手作家たちが交差する場所でした。

 連載自体はあだち充論ではあるが、今回は「少女漫画」の歴史にも触れていく。その理由としては、1975年

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碇本学「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」 第3回 劇画作家としての挫折と80年代カルチャーの胎動

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第3回では、70年代の劇画作家時代のあだち充について論じます。原作付き作品を大量に手がけながら、ヒット作に恵まれず苦しむあだち充ですが、実は彼のすぐ側で、80年代カルチャーの胎動は始まっていました。

劇画作家・あだち充と編集者・武居俊樹

 今回は、あだち充が劇画作家

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碇本学「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」 第2回〈少年サンデー的なもの〉はいかにして誕生したか

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第2回では、80年代にあだち充と高橋留美子が生んだ「ラブコメ」ブーム。その舞台となった「少年サンデー」の成り立ちを、60年代以降の少年漫画誌の歴史と共に追いかけます。

「週刊少年サンデー」と「週刊少年マガジン」の誕生

 今回の第2回では、あだち充作品そのものについて

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【新連載】碇本学「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」 第1回『あだち充の〈終わってしまう青春〉』

ライター・碇本学さんの新連載「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」が始まります。『タッチ』『H2』などのヒット作で知られる漫画家・あだち充。その50年にも及ぶキャリアは、戦後のアメリカの抑圧のもとで、日本の少年漫画が〈成熟〉を描こうとした試みでもありました。第1回では、戦後民主主義の落とし子としての3人の漫画家、手塚治虫・高橋留美子・あだち充について取り上げます。

なぜ今、「あだち充」

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