碇本学 ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本社会の青春 第7回『ナイン』の成功と6人の編集者たち(前編)

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第7回では、少女漫画誌から少年サンデーへの復帰、そして『ナイン』でブレイクを果たすまでの時期を語ります。才能はあれど時代に歓迎されなかったあだち充。そんな彼を粘り強く支えたのは6人の担当編集者たちでした。

あだち充の本当のデビュー作

 1970年にデラックス少年サン

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最強(たぶん)漫画で漫画術19    動きのある絵

絵が活き活きと動いて見えるように描くにはおおよそ三つやり方がある。
①形を使う
②シャッタースピードを遅くする
③シャッタースピードを速くする
順に見ていく。

①形を使う
いわゆる構図である。
あ、いきなり脱線するけど漫画の講師で「視線誘導」って言葉をやたら使って解説する人がいる。「ここはこっちに視線誘導してて」とか。あれって使ってる本人は気持ち悪くないんだろうか?聞いてるボクは気持ち悪い。

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あだち充『H2』ネーム完全解剖    第20巻 第9話

第9話 大きすぎる期待
千川対伊羽商の試合開始。千川の先攻。
伊羽商・月形の非凡さと、それを越える千川・比呂の凄さに触れる回。この試合の演出は難しい。ラストに劇的な場面が用意されているがそこまでの引っ張り方が難儀なのだ。あまり盛り上がるとラストが際立たない。抑えすぎると読者が目を離してしまう。あだちさんは月形選手の身辺事情でそこを切り抜ける算段。
それらは次回以降に触れるとして、本回では野球漫画の

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「あだち充と少女漫画の時代」後編公開されました

『PLANETS』連載の『ユートピアの終焉ーあだち充と戦後日本の青春』6回目公開されました。3回にわたった「あだち充と少女漫画の時代」後編です。
最初に宇野さんに企画書を出した時にはたぶん書いてなかった部分ですね。あだち充と少女漫画との交差についてみんな書いてないんじゃないかってところから始まり、結局「花の24年組」とそこから派生する「コミケ」と「BL」って流れは現在に続くので3回になりました。

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碇本学 ユートピアの終焉ーあだち充と戦後日本の青春 第6回 あだち充と少女漫画の時代(後編)

ライターの碇本学さんが、あだち充を通じて戦後日本の〈成熟〉の問題を掘り下げる連載「ユートピアの終焉――あだち充と戦後日本の青春」。第6回では「花の24年組」以降を追いかけます。萩尾望都らのSFが少女漫画で隆盛する一方、少年漫画のSFは衰退。『仮面ライダー』と永井豪にその可能性が継承されます。そして、コミックマーケットの開始、耽美系雑誌JUNの創刊など、現在に繋がるオタク文化の土台が着々と準備されて

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あだち充『H2』ネーム完全解剖    第23巻

二年の夏の甲子園は明和第一が優勝して幕を閉じた。2回戦で負傷した比呂はしようことなしの夏休みを迎える。
比呂、春華、ひかり、英雄、木根、小山内の恋、恋心が絡み合う。

第4話 海と比呂に、
素晴らしい構成である。
場所は一貫して海。だが厳密な三幕構成になっている。
舞台を一貫することで、場面転換のエネルギーを読者に求めない。読者も集中しやすい。あだちさんはここぞという時は場面転換を避けるようにして

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第18巻

夏の甲子園出場を決めた千川高校が、現地に乗り込むまでの巻。同じ東京の南地区代表に明和第一がなり、比呂と英雄の甲子園対決を読者にハッキリ意識させる展開になっている。

第1話 すごすぎだよ
現在進行形ながらノスタルジックな雰囲気がある。それは他の全員がこれから先の事を見つめている中で、主人公・比呂(そして春華)が辿り来た道の険しさを振り返っているからである。
最終2ページ「知ってます?」の場面が決ま

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第3巻

明和第一と試合をして勝てば野球部を作る。負ければ解散をする事になった千川高校野球愛好会。実に少年漫画らしく、いささかご都合主義的な展開。あだちさんは序盤の設定の少しぐらいの粗さは気にしないようである。作品の面白さが設定ではなく展開にあると見切っているからだ。
とは言え少年漫画らしいワクワクする展開であるのも確かだ。ボクは自分の初めての連載『up・setぼ~いず』(のち筑摩書房『アップ・セット・ボー

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第20巻

この前後数巻は『H2』の胸つき八丁だ。
野球漫画としての結末は既に決まっていただろう。それは言葉を替えれば、この辺りが手順のための手順になってしまう恐れがあるという意味だ。手順のための手中に陥ると漫画の熱量低下を招くし、読者も勘づいて離れてしまう。長期連載をやっていると、こう言う難しい時期は必ず来る。そこをどう乗り切るかが漫画家の腕である。
同じ野球漫画でも佐々木守+水島新司『男ドあほう甲子園』な

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長澤まさみ 主演映画~「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」は大ヒット確実?~

【長澤まさみ 主演映画~「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」は大ヒット確実?~】

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人気女優の長澤まさみさん。
1999年の第5回東宝シンデレラオーディションで史上最年少でグランプリを受賞。
2004年公開「世界の中心で、愛をさけぶ」でヒロインを演じ、ブレークを果たしました。
5月17日公開

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