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『十角館の殺人』実写化でもう止まらない! 推理小説の映像化に湧き立つ(個人的な)期待と不安(3)

3か月前

『アクロイド殺し』の麻雀シーン

【ネタバレ】蓄音器が教えてくれた【黒井戸殺し感想】

好きなものを語っている、のか?

三谷幸喜「黒井戸殺し」。ネタバレ注意。ヤクルトのCMの大泉洋を見て「犯人や」と夫。そうだよ、いま列島中がそうつぶやいたよ。でも私は泣けた。「柴が家庭を……」と。柴が人生を途中退場して余命少ない姉を看取ることも弔うこともできなくなったのも、愛の深さゆえ。なんとはかない姉弟だったか。

三谷幸喜「黒井戸殺し」。原作は「THE MURDER OF ROGER ACKROYD」。訳は「殺人事件」か「殺害事件」かそれとも「殺し」か。三谷版は人情と情念の物語だった。「殺し」以外ありえない、いやむしろ、「アクロイド殺し」という題があの情念をみちびきだしたのだ、と思う。

三谷幸喜「黒井戸殺し」。謎解きからあとの大泉洋の演技の変容に鳥肌が立つ。録画を再見すると、ひとつひとつのしぐさ、カメラワーク、隠された意図、泣きそうになる。斉藤由貴の無邪気な歌う小鳥そのもののような姉、そんな姉への弟ゆえのあまやかな思慕、主役はたしかに大泉洋以外ありえなかった。

三谷幸喜「黒井戸殺し」。ネタバレ注意。詮索ずきの姉のおしゃべりが勝呂に情報をあたえ、知らずして弟を追いつめていたことのかなしさ。姉のなにげないことばが弟の趣味が機械いじりだと勝呂に教え、ディクタフォンと犯人とをつなぐ輪を勝呂は見出す。胸が傷む。せめてあのひとことが無ければ、と。

犯人にしかわからない【黒井戸殺し 】《140字の感想文 11》

昨夜放映の三谷幸喜「黒井戸殺し」。愛情と悲しい必然が罪を生みかつなぞをあかし罪を犯した人を愛しい人との永遠の別れへと追いやる、人の生き死にの極限のドラマ。謎解きはそのための道具立てで、メインディッシュではなかった。いずれ原作もよむことになるだろう。

三谷幸喜「黒井戸殺し」。原作との最大のちがいは、犯人が未亡人をゆすった動機と、姉の作る手料理。鍋焼きうどん、カレー粉のかわりに味噌を入れたカレー、最後の夕飯のカレー。 これにより物語は原作をこえて愛情深いものとなり、勝呂の睡眠薬の示唆が重みを増した。だめだ、思い出すと涙が滲む。