【筆後感想文】『丘の上に吹く風』を書いて
ゴールを目指して走っていたら、気づくと書き終わっていた。5日間ほどの出来事だった。ゴールというのは最終章、つまり風になった陽太と美月が美月の母親可澄の涙を拭う場面のことだ。今回一番書きたかったのはこれだった。だから一番最初に書いた部分でもあった。デビュー作で死人を出してしまったわけだが、考えようによっては死んでなどいない。陽太と美月は風になり、最後まで出ずっぱりで皆に寄り添い続けた。風は必ずどこかで吹き、じんわり染み渡ったではないか。
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潜っても 潜っても 青い海(種田山頭火風)