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仕事において「ロジカルシンキング」より大事なこと


1.ロジカルシンキングは本当に重要?

昨今、ビジネスパーソンの必須スキルと言われるのが「ロジカルシンキング」です。

私も数年前にコンサルティング会社に転職した時は必死に勉強しました。論理的思考に関する著書を何冊も読み、実際のプロジェクトでも試行錯誤したものです。

でも実際に現場に出てみて思いました。
「あれ?ロジカルシンキングを使うだけでは、
 仕事って上手くいかなくない?」


2.ロジカルシンキングの限界

もちろん論理性も重要です。ある程度の論理性がなければ、相手を納得させることが出来ませんからね。

ただ「論理的であればそれが正しい」と考えるのはとても危険。なぜなら、ビジネスをしているのは感情を持つ人間であるからです。

実際にあった事例から、ロジカルシンキングの限界について見ていきましょう。


3.アメリカの病院での事例

アメリカ・ミズーリ州のある病院では、慢性的に手術室が不足していました。

すでに入院している患者の予定手術に加えて、緊急の患者が運ばれてくることによる予定外の緊急手術で、慢性的なオペ渋滞が起きていたのです。

そのため、手術の予定を調整しなければならないことが多く、医師たちは疲弊している状況でした。

この問題を解決するために、病院長は2人のコンサルタントに対策の検討を依頼しました。

一人はロジカルシンキングを極めた「論理バカ」もう一人は、リアルな現場を見て人間の感情を汲み取る「敏腕コンサルタント」です。

それぞれどんな回答をしたのでしょうか。


4.論理バカの生み出す当たり前の回答

彼は論理的思考の信奉者。論理的に考えるために事象を抽象化・モデル化して考えます。このケースでは、需要より供給が上回ればいいと単純化して考えました。

つまり「手術が必要な患者数」より「手術の効率」の方が高ければいいと考えたのです。結果として彼は、「手術室の数を増やすか」「手術時間を短縮するか」「手術の必要性を見直すか」すればよいと提案をしました。

そんな彼の提案に現場の医師たちはがっくり。
「そんな当たり前の事、できたらやってるよ、」

そう、論理的思考は突き詰めると「当たり前の結論」になりがちなのです。巷でよく「コンサルは使えない」と言われる理由はここにあるのではないでしょうか。


5.敏腕コンサルタントのまさかの回答

一方の敏腕コンサルタントは、すぐに論理に頼ることはしませんでした。現場を観察し、医師たちと話をした上で、ある驚きの提案をしたのです。

「手術室を1つ空けておきましょう。この手術室は、緊急オペのとき以外、使ってはいけません」

これには現場の医師たちも反発します。
「ただでさえ予定が満杯なのに空けておく!?」

しかし、実際にやってみると驚きの結果になります。この空いた1室により、緊急オペをスムーズに対応できるようになり、結果として受けられる手術が10%も増加したのです。


6.論理バカにならないために大事なこと

2人の回答を見てきましたが「論理バカ」にはなくて「敏腕コンサルタント」にあったものとは何なのか。それは「実際に仕事をするのは感情や思考を持つ人間であるということの理解」です。

「予定通りにいかないストレス」「急いで調整しなければいけない焦燥感」そんな現場の医師たちの感情を理解したことにより、敏腕コンサルタントは、論理では出せない画期的なアイデアを生み出せたのです。

まとめると「ロジカルシンキング」を使うときは次の2つを意識することが大事です。

①  課題や問題を、簡単に一般論にはめない
②  現場に足を運んで、現場の人の感情を理解する

私自身も「論理バカ」にならないように気をつけなくてはなと思います。


7.最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

記事の中で出てきた病院の事例は、次の書籍に詳しく載っています。多くの研究からなる示唆に富んだ本なので、興味ある人はぜひ読んでみてください。

これからも仕事に役立つことを投稿しますので、ぜひフォローをいただけると嬉しいです!

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