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おかしなこうじやが大切にしていること

新年あけましておめでとうございます。

昨年は開業という人生のひとつの節目を迎えたこともあり、多くの方々に大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
人間としても、事業主としても、まだまだ未熟な若輩ではありますが、自分の手の届く範囲から少しずつではありますが、精進して参りたいと思います。
本年も何卒よろしくお願い致します。

新年の抱負、というほどではないのですが。

おかしなこうじやが大切にしていることについて、すこし書いてみたいと思います。
少し長くなってしまいますので、読み飛ばしていただいて構いません。

おかしなこうじやのつくる麹の3つの魅力


おかしなこうじやの麹には、3つの魅力を込めたいと思っています。
一つは、手作りだからこそ出せる、ゆらぎや季節の移ろいを大切にすることで生まれる、"味"。
二つ目は、培った醸造の知識に裏打ちされた独自の製法から生まれる"そのまま食べれる分かりやすい美味しさ"。
そして三つ目に、なによりも、"この丹波の豊かな土地に育まれた気候や風土を一緒に詰め込むこと"
その三つが一つになった、そんな麹を作りたいと願っています。

それを実現するためには、醸造の専門的な知識を得ることが必要だと思っていますし、
より衛生的で、雑菌を混ぜない、安全な環境が必要だと思っています。

その衛生を実現するために、昨年から工房の工事をすすめていて、ようやく工事は完了し、これから設備を整えていく、というところまで来ました。

微生物を扱う仕事だからこそ、より衛生的に。
それは、麹菌たちの力を最大限に引き出すためにも必要なことでもあります。

もちろんそれがクリーンルームを用意する、ということではありませんが、自然の開放された環境でつくる、ということでもありません。
衛生は、麹屋にとってもとても大切なことだと、考えています。

おかしなこうじやの種麹菌"ひかみ7号"


僕の使っている麹菌の種菌は、麹菌の種を専門で培養するメーカーさんから分けて頂いています。
特に使うことを決めているのが、大阪の樋口もやしさんから買わせていただいている「ひかみ7号」という株です。
この株は、丹波で長く使われてきた株です。

ずいぶんと昔に廃業されてしまったそうですが、かつての氷上郡に「氷上もやし」という小さな種麹屋さんがあったそうです。
その種麹屋さんが代々販売してきた麹菌のうちの一つのがこの「ひかみ7号」です。

そのひかみ7号を受け継がれたのが大阪の樋口もやしさんで、その株を現代に脈々と残し続けてくださっています。

その種の麹を、丹波で作り続けること、それが丹波に根ざす麹屋の在り方の一つであろうと、そう思って「ひかみ7号」を主要な菌として使うことを決めました。

麹菌の"天然培養"



話は少し変わりますが、このnoteでは何度か書いている通り、麹菌は酵母菌と違って、「天然培養した麹菌」というのがありません。

というより、麹菌はカビの一種ですので、「天然」のものを使用するとカビ毒をつくる菌が混ざる心配があるためです。

そのため、天然・自然の環境から取り出した麹菌を使用することも非常にまれです。

しかし、近年は遺伝子解析の技術も進歩していることがあり、自然の環境から取り出した麹菌を検査にかけて、それでカビ毒をつくらないかどうか、ということを調べることができます。

あとはその調べた検査済みの株を、もう一度培養して増やしてから使用する、という方法を用いることで、自然の環境から取り出した麹菌を使うことができます。

それでも天然に培養した麹菌をそのまま使うことはやっぱりカビ毒の危険がありますので、酵母のように「天然培養」することはできません。

幸い麹菌は培養が簡単なので、検査済みの麹菌をクリーンな環境で最後まで生やしきれば胞子が取れますし、それをひとかたまりとして検査に出せばよいので、そんな方法を取ることができます。
なので、培養といってもシャーレなど、研究室で使うような設備を使うわけではありません。

一方で、種麹屋さんが種麹を培養するとき、どうやって培養するのか、というと、実は全く同じことをやっています。
先代の麹菌をつけて、それを最後まで生やしきって胞子を作らせて、それを集めて次の代のその株として保管して、それを何年も何年も繰り返し続けて、
過去から続く麹の歴史を、現代に届け続けてくれています。

おかしなこうじやが"ひかみ7号"を使うことに込められた誇り


ここまでお読みいただき、大変ありがとうございました。

おかしなの扱うひかみ7号という麹菌は、天然でも自然でもありませんが、
でも、丹波の地に根ざした、脈々と受け継がれた、そして未来へと託していく、そんな大切な麹菌です。

そのひかみ7号を扱えることを、僕は誇りに思っています。

そんな誇りを胸に、2022年も、僕は麹を醸していきます。


2022年 吉日
おかしなこうじや 代表 本間速



--関連リンク--
https://note.com/hayate_homma/n/n0390fc43b46a

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