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窓ぎわのひかり

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気まぐれな詩集。
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夜更かしの哲学

夜更かしの哲学

わるい夢

男の子は、いつもより少し早く寝床に入りました。明日の学校に備えるためです。男の子は電気を消して、目を閉じました。

夢の中で、男の子は寝ていました。目を閉じていると、足あとが聞こえます。「真夜中で、みんな寝ているはずなのに」。男の子は不思議に思いました。

ぎゅっと瞼を閉じていると、消したはずの電気がちかちかと光っていることがわかりました。巨大な何かが、男の子が寝ている布団の前を横切っ

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さなぎ

さなぎ

「おねえちゃん、いつになったら会えるのかな」

 夕飯の席で下の娘がふと、思い出したようにそう呟いた。会社から帰ってきて、席に着いた夫はその言葉に小さくため息をついた。娘の一言は、夫の何か、溜め込んでいる深い部分を刺激したに違いない。白髪の混じり始めた、寡黙な夫は、溜め込んだそれを娘の前で顔に出さないように気をつけているらしかった。私だって、毎朝毎晩そのことを考えている。そのことばかり考えすぎて、

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Late Night Philosophy

Late Night Philosophy

Originally Written by Hayato Katagiri (2015)
English Translated by Christopher Browne

Bad DreamsThe boy went to bed a little earlier than usual. It was preparation for school the next day. The boy

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