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幽霊が見える人の見え方調査をしようと思うきっかけとその経緯について

こんにちは。石野です。
お仕事でしばしお休みを頂くこととなり、その間に以前から興味があったり好きだったり、気になることをとことんやってみたいなということで、今回からはその一つである「文章を書く」ということと「聞き取り調査」をしてみようと思います。

・経緯と私の幼少期

さて、ジャンルというか話のテーマをいかがしようかと考えていたところで、夫婦そろって好きな「アニメ」にするか、仕事の延長戦で好きな「石」にするかと考えたのですが、仕事はお休みだしアニメは広く浅く知っているだけだからなぁということで「幽霊・心霊」の方にベクトルを振ってみようと思います。

そもそも幽霊や心霊がいつごろから好きだったのかというと、気がつけば好きで、気づけば親戚のおじさんがお誕生日のプレゼントに稲川淳二のCDを3枚くれるというくらいでした。

今でもよく覚えていますが、当時5歳だった私に母の従弟が(これまた心霊好き)、母(自称幽霊が見える看護師)に心霊特集の雑誌や漫画を持ってきて自宅で貸し借りをしていたところ、興味津々でのぞき込むと「お、まなみちゃん(本名)もこういうの好きか?」とたくさん読ませてくれることになりました。

それから小学校四年生くらいまであった夕方の再放送の「あなたの知らない世界」だったり、夏休みのお昼ごろにあった「心霊特番」だったり、夜の19時頃にあったオカルト系のテレビを一人…で見るのはさすがに怖かったので、母と一緒に見ていた気がします。

みんな大好きアンビリーバボーで△△の祭壇の特集が行われた際のあの写真は今でもまざまざと脳裏によみがえり、あの後ぱたりとあの番組が終わってしまった不自然さを感じながら気が付いたら年齢だけ重ねて今に至ります。

もちろん最初はエンターテイメントとしてだけ楽しんでいたのですが、私自身全く幽霊が日常的に見える人間ではないので、そういうことをいう人を疑ったり「所詮作り物」「幻覚でしょ」と思っていた時期もあります。特に母の様子を見ていると、本当に幽霊なんているのかな?と身近であるがゆえに疑問に思い、それが日増しに強くなり「やっぱりいるわけがない。他の人はどうかわからないけれど、母のは完全な妄言だ」というように思うようになりました。

・マンガしてもらった実体験

考え方が変わった実体験があります。
このお話を怪談漫画家の兎屋まめ先生がマンガにしてくださいました。
(Xでの企画で、応募したところ選んでいただきマンガにしてくださいました!)

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・実体験の詳細内容

「目に見えないものに関する」考え方がちょっと変わったのは、私が高校生の時です。
今でもよく覚えていますが、夏休み中のとある土曜日。お腹がすいたな、とリビングでテレビを見ていた私は昼食を作ることにしました。「いいとも」が始まる前で、ニュースをしていたので11時30頃のことだったと思います。

妹はまだ二階の部屋で寝ているし、母は仕事が休みの日は昼過ぎまで寝ている人でしたので、みんなの分を作っておこうと台所に立ちました。
その日は確かオムライスかチャーハンを作っていたはずで、作っているとその内二階からその匂いを嗅ぎつけたらしい妹が眠い目をこすりながら階段を降りてきました。
お皿に盛りつけていたところに妹が「おはよーん」とやってきたので、イラっとしたものですが、三人分作ったので「はよ食べんさい(早く食べなさい)」とお皿を渡すと、妹は「ありがとー」と言いながら座卓の上でテレビをのんびり見ながら食べ始めました。ちょうど「いいとも」が始まったようでした。

ところで母の昼食はさてどうしたものか、と私は思いました。
というのも、うちの母は寝起きが最悪で、せっかく寝ているところを無理矢理起こすと非常に機嫌が悪くなるし、基本朝ごはんも下手すれば昼ご飯も食べず疲れていると16時まで寝ていることもざらな人だったので、起こすべきかどうするべきかと悩んだのです。

でもせっかく作ったしな、と思い意を決して母が寝ている一階の和室の寝室に行くことにしました。でも、ものすごく気が進まなかったのはもう一つ理由があって、この寝室、「ものすごく嫌な感じ」が小さい頃からしていました。

私は幽霊は全く普段見えないタイプの人間で、この頃の私ももちろんいるわけがないと思っているし、自分から見えるよー!って過剰気味に主張する奴は絶対ニセモノだと決めつけていたひねくれた人間でしたので、その嫌な感じも「なんとなく薄暗いだけで、空気が澱んでいる気がしているだけで、重いと感じているだけだ。ただの気のせいだ」と思うようにしていました。

遮光性の古くて長いカーテンがぐるりと縁側に備え付けられた十畳ほどの和室は、畳の部屋と縁側を隔てる部分に雪見障子があったり、書院造の床の間があったり日が当たって換気をしていれば日中は割と過ごしやすいはずなのに、それでもなんだか嫌な気持ちになります。

当時はその和室にセミダブルのベッドを置いて両親の寝室にしていました。部屋に入るためには、ものすごく建付けの悪い細工の入った磨りガラスの襖ドアを開けるか、和室の隣にある洋室に一度入って部屋の境になっている襖を開けなければなりません。磨りガラスのドアはノブを回して手前に引いても引っかかって開かない時が多く、大きな音も出てしまうので、私は一度洋室に入って襖を開いて母に声をかけることにしました。

部屋の中は正午を回っていましたが、埃っぽくてかなり薄暗く不気味でした。その和室の中央部分に床の間の方向に向かって頭になるように設置されているベッドがあり、開けた襖の正面はベッドの側面となります。

襖を静かに開けて「お母さん…、お昼ご飯できたよ」とそっというと、薄い暗がりの中で母がモゾとベッドの上で動いて真っ白な手が見えました。母は色白で日焼けしてもすぐ戻るので、生々しいその白さが記憶に残っています。手というのは手首ではなく、正確にはタオルケットの隙間から見えたのは肘から先で指先までしっかり見えました。

声をかけた私を五月蠅そうに追い払うというより、力なくふわっと、くたりともぞりと動いているような感じでした。

なんだ、声かけてもやっぱり駄目だった。まだ寝る気だな。
しょうがないと思いリビングに戻ると、すっかり食べ終わった妹が台所に食器を片付けてお茶を飲んでいるところでした。私一人で帰ってきたのを見て「やっぱり起きなかった?」というようなことを言われた気がします。

「疲れているんだろうから、もう少し寝かせてあげよう」と言って、二人でテレビを見ながら午後の予定を話していました。

しばらく経って、時計を見ると12時45分くらいに差し掛かり、13時になろうかという頃でした。昼食を入れた皿にはラップをかけているけれど、さすがにそろそろ起こさないと朝ごはんを食べていない母は空腹なのでは?と心配になりました。

妹に「一緒に起こしに行こう」と声をかけると、「いいよー」とのんきな声です。一人でもう一度声を掛けに行けばよかったのですが、先述の通り母の寝起きは最悪で、「ほっといて!」と怒鳴られることもあったのでちょっと怖かったのも本音です。

二人で洋室から襖をそっと開け、人のふくらみのある母が寝ている寝室へ声を掛けました。

「お母さん、ご飯できたよ。そろそろ13時になるよ」
妹がそういうと、もぞ、とタオルケットから真っ白な足が動きました。足首ではなく、こちらは膝から下のちょうどふくらはぎが見えるような位置からの足でした。足は動きましたが、声での応答はなくずいぶん疲れていて深く眠っているのだろうと私たちは顔を見合わせて襖を閉めて、リビングへ帰ることにしました。

食器を二人で洗いながら、随分寝てるねとか、だいぶ疲れているんだねというようなことを話しているうちに「いいとも」がエンディングを迎えました。13時を過ぎた頃で、冷蔵庫に母の昼食を入れてテレビを消そうとしたところでした。

ガラガラガラ、「ただいまー」。

玄関を開ける音と一緒に、母の声がしました。
私と妹は顔を見合わせて、急いで玄関に走りました。
「いやー。熱いわ」とあっけらかんと言った母が靴を脱ぎながら、そこに立っていました。

靴を脱いで框を上がり、凍り付いて固まっている私たちを見ると「お腹すいたー。なんか食べた?」と声をかけながら手を洗いに洗面所に向かっています。その後姿を見ながら、私は隣にいる妹を見ました。

妹は何も言いませんでしたが、真っ青な顔で私を見ています。

遠くから「あー、カーテン明けて換気しといてってこの間いったやろー」と母の声が聞こえ、ガラガラと襖を開ける音とカーテンをシャッシャーと開ける音、カチッ、カラカラカラと窓を開ける音が耳に届きます。

私はおっかなびっくりしながら、母が先ほどまで眠っていたと思っていた寝室の方に足を向けました。真っ暗で建付けが悪い飾り付きの磨りガラスも明るく見えるほど日が差しています。

洋室に行くと外から入ってきた蒸し暑い夏らしい熱風が部屋に充満していました。

カーテンをまとめながら、母はお腹すいたーと横を通り過ぎていきました。

私は「そもそも誰も寝ていなかった」抜け殻状態のベッドを見つめました。そこには何もなく、誰もいませんでした。二つ分の枕の他、とても薄いタオルケットがベッドから落ちて畳に落ちている以外は何もありませんでした。

実は母の昼食を冷蔵庫に入れた後、私はもう一度寝室に行って母に声をかけようと思っていました。「冷蔵庫の中にお昼ご飯あるから」と言おうと思っていたのですが、そのタイミングで母が帰ってきたんです。

一人で見たのなら、ただの目の錯覚や夏の熱気に頭がゆだったのか、薄暗い影の陰影がそれだと錯覚させただけなのかなと思いましたが、私の場合は妹と二人で全く同じものを見ました。

最初は手、次は足。
最後にもう一度行っていたら、今度は何を見たのでしょうか?

・そしてこれからの目的

あれが一体何だったのか、今でも全くわかりません。
それが起きたからと言って、その後大きな事故に遭うとか何かが自分の身に起きるかは特にありませんでした。あの夏の不思議な体験以来、自分の目で見え頭で考えられる範疇のことだけが世の中の全てではないのではないか?と思うようになりました。

もちろん今でもかなり懐疑的ですし、全てを100%素直に信じているわけではありません。でも、自分が見えないからと言って嘘だと決めつけるのはあまりにも視野が狭いのではないかと思うようになりました。

この経験から、そういえば小さい頃ああいうことがあった、こういうことがあった、大きくなってからもこういうことがあった、不思議だなということがごく時々に起きます。ただ頭がおかしくなったかもしれないなと思いつつ、生まれついての好奇心や探求心からこういうのを地道に調査してデータを取得してみたいな、と思うようになりました。

そして以前、Xで

という質問を投げたところ、思いのほか多く返信をいただきました。また、私と同じような方が「どんなふうに見えるのか知りたい」「視力が悪くてもはっきり見えるのか」など、様々な疑問をぶつけてくださいました。(私も知りたい!)

ということで、データ収集の一環としてご協力いただきました内容をこれから少しずつ整理し、まとめ、共通点を探したり人によって異なる見え方を書き出していきたいと思います。

かなり長くなりましたが、怪談を調査するのとは少し異なりますが、見える、感じる、香る、わかる、夢で見る。そういう体験談がもしございましたら、XのDMまでお声をかけていただけましたら幸いです。

音声ラジオのようなものもゲストをお招きして、あれこれお聞きしてみたいと思っております!(協力いただける方いらっしゃいましたら、是非お話お聞かせください!)

天然石を極細の糸で編むマクラメクリエイター。天然石をマクラメの技法を駆使して宝石いっぱいのペンダントにしています。