よしせん

奈良クラブを応援するファンの記録。

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奈良クラブを100倍楽しむ方法#0

 奈良に住んで40年。生まれも育ちも奈良である。小学1年生からサッカーを始め、5年生のときにJリーグが開幕。それまで日陰者のサッカー部が一躍スクールカーストの上位になるという革命的事件を経験した身である。しかし、奈良には致命的な弱点があった。そう、奈良にプロクラブがなかったのである。大阪には大きなチームが二つあり、どちらもスポンサーも太く優勝争いも経験するほどの実力がある。日本代表に選ばれるほどの有力な選手も多く在籍している。ゆえに、奈良にプロクラブがなかったとしてもそれほど

    • 奈良クラブを100倍楽しむ方法#010 第11節対YSCC横浜 “Man In The Mirror

       フットボールを見るのは楽しい。しかし、最初はなにをしているのかわからないと言われることが多い。11人がピッチでごにょごにょと動き回りながら、ボールを取り合いしているだけに見えてしまうのも無理はない。ここに一貫性を持たせようとするときに必要となるのが「戦術」である。これがなかなかに難しいと言われるので、今回は奈良クラブとYSCC横浜の試合を題材に、「戦術」について見ていこう、という回である。スタジアムに行くと、どうしてもエモさに絆されてしまい実存としてのフットボールを書いてし

      • 奈良クラブを100倍楽しむ方法#009 第10節対松本山雅 “それはスポットライトではない”

         試合終了後、メインスタンドで観戦していた僕は、急ぎゴール裏へ移動した。近くで選手たちの表情を見て、彼らを鼓舞しなければならないと考えたからだ。チームの主将である都並選手は先頭で全員の労をねぎらい、鈴木選手の目には汗ではないものが確認できた。ゴール裏で出迎えた奈良クラブのファンたちは、彼らが死力を尽くしたこと、それでも試合前に期待した結果を得られなかったこと、そして彼らの目は全く死んでいないことを目に焼き付けた。  2−2。2点を先行しながらの引き分け。試合終盤の攻防は「負け

        • 奈良クラブを100倍楽しむ方法#008 第8節対テゲバジャーロ宮崎 “プロバンスの風”

           サッカーが好きだというと、「どのサッカーチームが好きなのですか?」という質問が常套句だ。本当はスペインのアスレチック・ビルバオというチームが一番好きなのだけど、それを大真面目に答えると「???」という表情をされる。めんどくさいので「バルセロナです」と答えるようにしている。「ああ、メッシのいるチーム」などという会話になればこっちのものだ。アスレチックの場合はめんどくさい。「スペインにはバスク地方という、独特の文化をもつ民族が住んでいて。。。」と説明をしなければならない。悪いの

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          奈良クラブを100倍楽しむ方法#007 第8節対ツェーゲン金沢 “I Shall Be Released”

          1週間と少し前の水曜日、僕はロートフィールド奈良にいた。春分の日だというのに、気温は上がらず、雨、みぞれ、雪、暴風という真冬日と言っても過言ではない天候のなかで、奈良クラブの今期初勝利を見届けたのだった。まさに、命の危険を感じながらの観戦だった。その分喜びは爆発したのだが、「正直、もうしばらく、こういうのは勘弁してよ」という気持ちもあった。  3月最終日、かの天候が嘘だったかのような春の日である。この時期特有の白く濁った空や、例年より遅れながらも開花を目前にする桜も、全てが

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#007 第8節対ツェーゲン金沢 “I Shall Be Released”

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#006 第6節対カマタマーレ讃岐 ”恋はいつでもいたいもの”

           「サッカーのどこが面白いの?」と聞かれると、みなさんはどうお答えになるだろうか。すごい選手のスーパープレー、戦術の読み解き、推し選手…それぞれに答えが返ってくるだろう。僕の考えるフットボールの魅力、それは「不条理さ」である。フットボールというスポーツは、潜在的に不条理さを内含している。もちろん、どのスポーツにも不条理なことは起こる。しかし、フットボールほど不条理なものはない。むしろ、フットボールとは不条理さそのものである。  J3第6節、奈良クラブはカマタマーレ讃岐と対戦し

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#006 第6節対カマタマーレ讃岐 ”恋はいつでもいたいもの”

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#005 第5節対ヴァンラーレ八戸 ”Forever young”

           今回はまずは結果から先に述べよう。1対0。奈良クラブは今期初勝利を見事に飾った。会心の勝利だった。どの勝利についても、そしてどの敗戦にもそれぞれの物語があり、「ああ、あの時はこんな風だった」と回想できることがスタジアム観戦の素晴らしい部分であり、まさに記憶として語られる部分なのだが、今回ばかりはその中でもトップレベルの試合だったと言える。それは試合後の選手たち、声を枯らして応援したファンたちの表情が「喜び」「熱狂」というような幸運の要因ではなく、「安堵」や「達成」といった信

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#005 第5節対ヴァンラーレ八戸 ”Forever young”

          奈良クラブを100倍楽しむ方法 #004 第4節 対大宮 ”マーチ・スカイブルー・ドリーム”

           奈良クラブにとって前半戦の一つの山場である大宮戦がやってきた。あのJ1常連だったチームがなぜこんなところで奈良クラブと試合をしているんだ、という驚きと共に諸行無常という言葉もよぎる。僕が少年の頃にヨーロッパのカップ戦を席巻したスペインの古豪デポルティボも今は3部相当のリーグにいる。色々なものが変わっていくのだ。  できればここまでにそれなりに勝ち点を稼いだ上で大宮と対峙したいところであったが、0勝2分1敗と、まだ勝ちがない。対する大宮は2勝ですでに頭ひとつ抜け出たような印象

          奈良クラブを100倍楽しむ方法 #004 第4節 対大宮 ”マーチ・スカイブルー・ドリーム”

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#003 第3節 対カターレ富山 "Come rain(snow) or come shine"

          J3第3節。奈良クラブの相手はカターレ富山である。 昨シーズン、富山は3位、奈良は5位でフィニッシュし、両チームとも昇格を現実的に見据えていること、今シーズン移籍や怪我で得点が課題であること、今期はまだ勝ちがないこと、ホームのユニホームが青基調であること、などなど、いろんな意味で似た境遇の両チーム。一番の違いはホームで強い富山、アウェーで強い奈良クラブ、という対比である。開幕からのアウェー2試合を負けなかった富山は、得意のホームで現実的なライバルである奈良を叩いておきたい。奈

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#003 第3節 対カターレ富山 "Come rain(snow) or come shine"

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#002 第2節 対長野パルセイロ

           さて、第2節。相手は長野パルセイロである。昨年の結果は2勝でシーズンダブルを達成している相手なので、目標は勝つことのみである。しかし、長野は開幕戦、奈良と同じく黒星スタートなだけに、お互いに「内容よりも勝ちたい」というマインドでの一戦である。 試合前の狙い 長野は前節の琉球と同じく3バックで布陣するため、ここの修正を奈良クラブがどのようにするかが一つのチェックポイントであった。フリアン監督は後半から出場した國武選手を先発起用。また、センターバックは伊勢選手に代えて澤田選手

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#002 第2節 対長野パルセイロ

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#001〜第1節 開幕戦〜

          開幕戦である。ホームでの開幕とあって、嫌がおうにも高まる期待。ついにやってきた2024シーズン。緊張感のなかキックオフのホイッスルは鳴らされた。 奈良クラブの昨年度との変更点は両エースの浅川選手と酒井選手を移籍と怪我で欠いていることである。彼ら二人の役割は非常に大きなものがあった。そこをどのように埋め合わせるのか、あるいは別のロジックを組み込むのかが最大の見どころである。 停滞する前半注目のFWには百田選手を中央に、右に西田選手、左に新加入の岡田選手という布陣である。中盤

          奈良クラブを100倍楽しむ方法#001〜第1節 開幕戦〜