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夜に差し込む青春の光【定時制高校野球】

定時制通信制で学び野球に取り組む学生に目指す場所がある。

「全国高等学校定時制通信制軟式野球大会」である。
会場は主に東京都の明治神宮野球場や近辺の球場で行われる。「もうひとつの甲子園」や、全日制の軟式野球大会に続くかたちで、「二つ目の甲子園」とも呼ばれている。

全国高等学校定時制通信制軟式野球大会in神宮

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第1回大会は1954年(昭和29年)に、参加校6校で開催された。全国高等学校定時制通信制体育大会としては軟式野球大会は一番古い歴史があり、2013年で第60回を迎えた歴史のある大会である。

第15回大会に高松高等学校通信制が参加して以来、定時制通信制高校の野球大会として開催。現在は25校程度が出場、2008年は史上最多の45校が出場した。

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また、硬式野球、軟式野球(全日)の公式戦とは異なり、人数不足を補うためなどから、女子生徒も選手として登録・出場が認められている。

2007年の第54回大会から、2019年の第66回大会まで、奈良県の天理高校が13連覇を達成した。天理がこのまま連覇を続けるか、他のチームが食い止めるか最中、昨年2020年はコロナの影響により大会が開催されなかった。

ちなみに、66年の歴史の中、東京の高校が優勝した回数は5回である。
●1956年第3回大会:紅葉川高校
●1961年第8回大会:八王子工業高校
●1963年第10回大会:八王子工業高校
●1993年第40回大会:足立高校
●1997年第44回大会:科学技術高校

【メディア】
児童文学作家の川村たかしが、「もう一つの甲子園」と題して毎日新聞に寄稿。その記事を読んだ”萩本欽一”が、翌年から自らの番組の『欽どこ』で定通大会を毎年継続的に取り上げ、「もう一つの甲子園」の名とともに全国に知られるようになり、一時期大きな話題を呼んだ。
上述した通り年齢層も制限なく女性も参加できることから、過去には60を過ぎた女性や、家庭を持つ主婦(夫)の部員の参加もあった。

【課題】
視聴率100%男の冠番組での取り上げは、明治神宮球場のバックネット裏が超満員になる程であったが、番組終了後、その数は減っていったことでメディアによる取り上げは減少した。大会歌『新しい風』がつくられ、開会式、閉会式の行進曲も演奏されるなど中身は充実されるが、賛助金が集まらず、大会規模の維持が大きな課題となっている。

【活動時間】
各校の多くは全日制が終了した17時頃から授業を受け、21時に授業を終えてから練習に移るが、グラウンド、校庭等に照明は差し込むが夜間であるため大きな声や音を立てることも難しい。
全体練習も毎日行える事も少なく、練習時間もかなり限られる。
だが部員たちは「野球が好き」と懸命に、楽しく取り組む。その姿は青春であり輝かしい。

(※上記参考:2017年市立川崎高校)

今回はそんなもう1つの甲子園で輝き戦う東京の代表校の2校を紹介させて頂く。

【八王子拓真】

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2019年で3年連続6回の出場を誇る強豪。
令和元年度の第66回全国高等学校定時制通信制軟式野球大会にて「準優勝」の好成績を収めた。
生徒は午前、午後、夜間それぞれから自分が希望する時間帯を選び授業を受ける。そのため平日は、メンバー全員の時間が合わないことから個人練習が中心となり、全体で集まれるのは土日などに限られる。
だがその土日でもそれぞれがアルバイト等で参加できない事も多い。

それでも圧倒的王者「天理高校」を倒すことを目標にし、あと1歩まで追い詰めるほど選手たちの実力は高い。

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しかしやはり全体練習に時間が割けない中、大会出場校全てにおいて課題でもある「守備」に苦しんだ。
だが天理の連覇を阻止する第一手としての力は大きい。

【日本ウェルネス・通】

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2018年、第65回全国高等学校定時制通信制軟式野球大会にて「準優勝」を果たし、66回大会でも3位の好成績を収めた。

地域スポーツ・インターハイからオリンピック大会まで数々の記録を生み続けているタイケン学園グループのノウハウにより、レベルの高い環境でスポーツに打ち込むことができ、それは軟式野球部も例外ではない。
他の定時制・通信制の高校と比べ環境面は良く、今後の活躍が強く期待出来る。

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働きながら学び、貴重な時間と情熱を野球に注ぎ込む、定時制通信制球児の夢の球宴である「神宮大会」を継続したいと連盟は努力を惜しまない。
大会に期間は8月13日~17日の5日間、神宮球場など都内の5会場で開催される是非興味を持った方は一度球場へ足を運んでみてはいかがだろうか?



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