カミングアウトについて、の話。・6 23.8.5

よって、あからさまな差別(『差別ではないが』『私の知り合いにそのような人がいるが』などの前置き込みも含む)は反発されやすく、言動への違和感も生まれやすい。
しかしながら、「本人が差別と感じていない配慮に欠けた言動」となると、とたんに、類似の事例が増えてくる。

たとえば、いま僕が読んでいる「小説の書き方」本で、このような記述がある。(一部言い回しは変えている)

――『ファッションに詳しいのは女性特有の反応である。もし同じ(ファッションに詳しい)発言を男がしたら、その業界関係者か美容関係、もしくはゲイバーのホステスか、といった雰囲気になる』

これは、有名作家による文章である。
――最後の「ゲイバーのホステス」(ここは原文ママ)は何を狙っているのだろうか。僕には軽い「受け」を狙っているように見えた。

まず「ホステス」とは、女性を指す言葉である。もちろん、女言葉を使うゲイもいるが、それがゲイのすべてではない。
そのうえで、ゲイが「ファッションに詳しい」根拠はどこにあるのだろうか。

確かに、テレビに出てくるゲイのタレントは、美容関係の職業についていることもいる。だが、やはりそれがゲイのすべてではない。

おそらくは、テレビなどで観た、誇張された(異性愛者から見た)一部のゲイの世界を信じている、もしくは丸ごと信じていなくとも、「ちょっとした笑いのネタ」として気軽に使っている――のではないか。

これを記した作家に悪意がないのはわかる。だからこそ始末が悪い。

(つづく?)

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