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パニックと不安と私〜ストレスとどう向き合うか〜

自己紹介にも書いたとおり、私は公務員在勤時に突然パニック発作を起こしました。今振り返ればストレスの原因とか、対処の仕方について冷静に振り返ることができますが、パニック障害で得たこと、そしてストレスとどう向き合うか…。ちょっと振り返ってみたいと思います。(私は精神科医ではありませんので、あくまで私の主観です。いま辛い、と感じている方は専門医を受診してくださいね。必ず、きっと良くなりますから)
その上で、私が送り出している保育士、幼稚園教諭の”せんせい”たちの心の健康にも少し触れたいと思います。

前触れもない突然の動悸・冷や汗

私が初めてパニック発作を起こしたのは2004年の10月です。18年前になります。以後、パニックとお付き合いをすることになったのですが、当時は本当に驚きました。
当時の私は公務員として勤務しながら大学院に通い、妻は妊娠中で「子育てに適した環境を」と引越しも終えたばかりでした。
夜、テレビを観ていたところ(「Dr.コトー診療所」のスペシャルだったのをはっきり覚えています)突然、心臓がバクバクし冷や汗がたら〜っと。「やばい、死ぬかも」と本当に思いました。
そこで、夜間救急センターに行き症状を伝え、検査もしました。心電図、問診を経て「異常ありません」。そんなわけはないと思い、翌日大きな総合病院へ。24時間着けっ放しの心電図モニターによる検査などを行なってもらい、結果「異常ありません」。
おかしい、おかしいと悩んでいたところ、運良く私の隣席に座る上司は保健師だったので(隣席はもちろん前も斜めもみなさん保健師の職場でした)「ちょっと心療内科に行ってみない?」と助言してもらい、とある心療内科へ。そこで色々な不調は「パニック発作」だったことがわかりました。その後自分で勉強してみてわかったのですが、私に現れた症状はパニック発作の典型的な症状の現れ方だったようです。

なぜ、パニック発作を発症したのか

なぜ、パニック発作を?
これはわかりません。ですが、当時ストレス過多だったことは自覚があります。
先に述べたように、社会人大学院生で仕事を終えてから大学へ行く生活。帰宅は深夜になりました。また、私は市役所で相談援助の仕事をしており、次から次に押し寄せる相談と対応に追われていました。そこへ来て家族が増えたり、引越しをしたり。今、あの時の自分に、「無理するなよ。もう限界だよ」と声をかけてあげたいとつくづく思います。
これも後から勉強してわかったことですが、皆さんは「ストレス」にはネガティブな出来事を想像しがちですよね。例えば長時間労働や人間関係のもつれなどです。でも、ストレスは他者から「おめでとう」と言われる時こそ要注意なのだと思います。当時の私の場合は妻の妊娠・出産と転居ですね。多くの方にお祝いをしてもらいました。でも、妻の妊娠・出産はやはり緊張しますし(心配で心配で)、転居は大きな環境の変化を伴います。一般的には進学就職、昇進、結婚なども気をつけなければなりませんね。どれも他者にお祝いをされますが、大きな環境の変化で知らず知らずのうちに心に負荷がかかってしまうわけです。
今は、なるべく心の負荷を軽くするように注意深く生活しているつもりですが、、、やはり「ストレスたまってるなぁ」と思う瞬間は今でも少なくありません。

ストレスとどう向き合うか。

仕事をしている上でストレスは必ずかかります。一定程度のストレスは人として強くなるためには必要なものだと思います。例えば、私はジョギングが趣味なのですが、「楽だなぁ」「気持ちいいなぁ」と思って軽く走っているとき、運動にはなっても、それ以上早くなったり、長く走れるようになったりすることはあまりありません。少しずつ「ちょっと苦しいな」というストレスをかけていくことで走れる距離が伸びたり、タイムが縮んだりするのです。同じ原理で、ストレスは少しずつ人として強くなるために必要なものだとは思います。
ですが、過剰なストレスは問題です。この世に生きている限り、ストレスさんと縁を切ることができません。ですから、大事なのはストレスさんとどう付き合うかが大事なのですね。
私という人間は、ストレスさんとのお付き合いがとてもとても苦手です。だから激しく落ち込むこともあれば、パニック発作を起こすこともあるのでしょう。
では、どう付き合うのが理想的なのでしょうか?
短大から送り出した新米保育士さんの中には、精神的な不調から退職したり休職したりすることが少なくありません。ある園長先生曰く「最近の子(新人保育士)は本当に弱くなった」と言っていました。でも弱い、強いではなく、「付き合い方」を教えて欲しいし、うまく付き合っていける「環境」を作って欲しいと思うのです。

ストレスは風船の中の空気

私はストレスは風船の中の空気みたいなものだと思っています。
風船に空気がパンパンに入っている状態だと、風船は少しの刺激で割れてしまいますよね。これが私の場合、パニック症状なのでしょう。
しかし、風船の中の空気が少し抜けた状態だと、少々外圧がかかっても風船が割れることはありません。ゴムが柔らかいですから。
つまり、日々溜まっていく空気を時々抜く作業が必要になってきます。
私にとって、この空気を抜く作業が苦手なわけで、これが上手になるとストレスさんともう少し仲良くできるのではないかと思っています。
私の場合、空気を抜いていると(つまり私なりにリラックスしていると)「自分、怠けてる?」と不安になってしまうんですね。これはダメです。
そんな時、家族や周囲にどのように理解してもらうのが良いのか、とても悩みました。
結果、私の場合、シンプルに素直に、今の状態を家族に打ち明けることにしました。今、家族には「ストレスが溜まってるんで、お父さん(夫)をお休みします!」宣言をしています。一日中寝ていることもあれば、一人でふら〜っとドライブに出かけることもあります。ジムに行ったり、近所を走ったりすることも。家族は「宣言」をされていますから(しかも度々)文句は言いませんし、度々の宣言に慣れているものとも思われます。そのように、風船の空気を抜くことで日々ストレスと向き合うことを心がけてはいます。

さて、保育現場のみなさんはどうでしょうか。私自身、空気を抜く作業は仕事や時間に余裕がある時にしかできないのが悩みだったりしますが、日々仕事に追われ、真剣に子どもに向き合い、休みの日には明日の保育について考える…。これでは空気を抜く作業はできないのではいかと思います。もちろん、空気を抜くのが上手な人、苦手な人がいるでしょう。また、十分に保育者の様子を見てくださっている管理者の先生は、空気を抜く時間と余裕を与えてくれることもあるでしょう(わたしはこれが管理者の一番大事な仕事だと思っているのですが)。
それができないと、やはり感情労働の保育者は日々元気ではいられません。結果、保育園や幼稚園の大事な大事な財産である保育者を失うことになっては絶対にいけないのです。

まとめ

とはいっても、保育現場は待ったなしでたくさんの仕事をこなさなければなりません。コロナ対策は相当に神経を使うでしょうし、保護者の期待に応えたい!という園の気持ちもわかります。園児募集、広報、経営も重くのしかかる負担であって、なかなか現場の先生と向き合うことができない管理者の方も多いのは重々承知しています。
ではどうすれば保育現場で先生方がイキイキと働けるのでしょう。「ストレス」という空気を上手に抜きながら笑顔で子どもの前に立てるのでしょう?私の大事な研究テーマです。
次回は保育者のメンタルヘルスについて、これまでに考えたことを記したいと思います。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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