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サスペンス

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実際にあった恐ろしい体験
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新宿の片隅で

【新宿の片隅で】

女性に導かれるまま中に入ると、そこは薄暗く小さな部屋だった。大きさにして3畳間程度だろうか。閉塞感が苦手だったが、これから行うことを考えれば必要十分な大きさなのかと納得した。

目が暗闇に慣れてくると、部屋の中には幾つかの調度品が見えてきた。

部屋の右半分はベッドで占められていた。シーツのみが掛けられた簡素で硬そうなベッドだ。ベッドの横にはタオルが山積みにされていた。使途不明

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午前3時の警官来訪(最終回)

警官が我が家を訪問してきた後、興奮と不安で眠ることができなかった。この不安を解消する解決策は、訪問者が名乗っていた「組織」を問い質すことしかない。

私は同じ日、陽が高くなってきた8時頃に、千葉西警察署へ連絡した。この時初めて、警察署の電話番号は下4桁が0110であることを知った。

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午前3時の警官来訪

昨夜、午前3時過ぎに自宅玄関のチャイムが鳴った。深く寝入っていたので、チャイムの音を聞いた直後は、何が起こったのか状況を理解できなかった。部屋の時計は3時を回っていたし、そんな時間の来客は尋常ではない。自分が寝ぼけているのか、夢なのかも判然としなかった。

インターホンへ向かって歩いていると、徐々に思考が回復してきた。アドレナリンが出てきたのか頭が冴えてきて、次のような想定を行った。

〈私の深夜

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電車の中の恐怖

通勤や通学で利用する列車の中で恐ろしい経験をすることがあると思う。私の経験を共有しよう。

==========第一話==========

金曜日の終電間際の列車は混んでいるものだ。その日のJR大崎駅も同じだった。

でも私は間一髪、山手線内回りの列車に飛び乗ることができた。他と違ってそのドアのところだけ、二人が立てるくらいのスペースが空いていたのだ。その隙間に、ドアが閉まる寸前に滑り込むことが

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