見出し画像

映画レビュー「クネクネ」(2010)

昼過ぎにアマプラで無料配信されている「クネクネ」という映画を観た、ジャンルはホラーだ。

監督:吉川久岳(2010)

評価がめちゃ低かったので、期待はもちろんしていなかった。

知らない人は少ないだろうが、「くねくね」というのは2000年代からネット上で話題になった怪談である。ネット上では様々な派生をしている「くねくね」だが、最もポピュラーな内容は

「くねくね」は田んぼや川向こうなどに現れる、白または黒い謎の存在でその身をくねくねと捩らせている。人間とはかけ離れた動きをしており、その姿を凝視してしまった、あるいは正体を察してしまった者は精神に異常をきたす。

このような感じである。

私はこの一般的な「くねくね」像を期待してこの映画を視聴することを決めた。ストーリーがすっからかんだろうと、映像がチープだろうと、ネット上の怪談の実写化ってのに惹かれた訳だ。

そして、実際にどうだったか感想を一言で述べるとすれば


おめぇの職場のリモート飲み会は知らねえよって思うかもしれませんが、はちゃめちゃにつまらんし期待外れだったってことを察していただければ幸いです。

ってか職場のリモート飲み会を楽しく過ごせる人ってどうやって工夫してんの?おせーて?別タブでマインスイーパーとかソリティア開いてんの?

*****

ここがダメだよ、映画「クネクネ」

ってことを話していきたいと思います。

はい、作中で現れる怪異はくねくねどころか微動だにしません。なんか登場人物を睨みつけながら、ボソボソ喋ってます。

怪異の姿はハッキリと白い服を着た長髪の女性だとすぐわかるのも最低です。ステレオタイプすぎるだろ。

*****

謎の新要素を加えてきているんですよね。

作中のくねくねを見ると発狂ではなく死にます。被害者の目からは血の涙が流れて、体のあらゆる関節が可動域を超えてねじ曲がり死に至ります。

そこで初めて「あー、くねくねって被害者の方なの?」ってなるんですがそれが合っているのかもよくわかんない程度の中途半端な曲がり方です。たぶん日頃から柔軟している人なら生き残れます。

死ぬのはいいんですよ、発狂するってより恐怖描写としてわかりやすいですしね。ただ何故か被害者が復活してゾンビ化するのはいる?

低予算なりの工夫なのかもしれませんが、完全にいらない要素でした。ってかゾンビ化させる必要性があったのもわかるんですよ。

だってくねくねがでてきちゃったら、ほぼ登場人物は確殺ですから。ラストガール的な立場のキャラが奮闘する絵を作るにはくねくね以外の怪異と戦わざるを得ないんですよね。

でも、いらん。なんならみんな死んでエンドでよかった。

*****

主人公一行はキャンプ場にいくはずが迷い込んで、気づかぬ内に呪われた村の土地の中でテントを張って一夜を明かす。その結果、怪異に巻き込まれる。って流れなのですが

村民があっさりと怪異の正体を教えてくれます。

特殊な超能力をもった女の子「トヨコ」を村民が紆余曲折あって殺しちゃって、その結果村は「トヨコ」に呪われた、と。(ここらへんもリングと類似しててオリジナリティの無さにがっくし)

村民は冒頭に迷い込んできた主人公一行に「…帰れ」としか言わないんですが、いざ犠牲者が出たらめっちゃ流暢に危険性を説いてくれます。たぶん村で自給自足の生活しかしてなくて社会人経験がない故の無能さだと思います。

そんなことより問題点は、この時点から謎の怪異くねくねの映画ではなく「トヨコの呪い」の映画になってるんですね。

この怪談って謎だからいいんだと思うんですけどね。

*****

尻切れトンボのような唐突な終わり方。登場人物は怪異から逃げ惑う道中で、突然振り出した雨に気づき「うそでしょ…雨…」と呟いて映画は終わります。

これは村民に言われた「トヨコの呪いの活動域が水辺の近く」という話を思い出せば、「あー…逃げられないと察した絶望で終わりってことね」ってなるんですが、如何せん内容がつまらなさすぎて会話なんて頭に残っている訳もなく「は?」ってなります。

その「は?」という困惑の状態で流れるスタッフロールと謎のマイナーなロックバンドの曲。軽快なギターやドラムの音に対して視聴者はもう一度「は?」としか思わないだろう。

*****

総括

怪談「くねくね」の魅力って、謎さにあると思うんですよね。そもそもなんでくねくねと動いているのか。なぜ田んぼや河原に現れるのか。凝視する・あるいは正体を察するとなぜ正気を失ってしまうのか。

いろんな謎がちょうどいいバランスで配合されて、受け手に想像の余地が残っているんですよね。

それに対してこの作品は、肝心の怪異の正体はすぐにわかるしなんならわかる以前からハッキリくっきりその姿を見せてくれるので「なんか女性のお化けじゃん」ってなる。

謎の要素としては、怪異を見ると死ぬというシステム・被害者のゾンビ化・親切なのか不親切なのかわかんない村民・謎のロックバンドだ。

ここには想像の余地というか、想像したいという意欲も何も起きない。

よく原作が漫画の実写映画化がコケたりするが、多くの原因は原作改変だ。尺や実写化する上での都合だったり、監督の意向だったり、要員は様々だが

本作における原作、つまり元ネタである怪談の要素は「田んぼや川などの水辺に発生する」「怪異を見たら被害を受ける」の2点のみだ。

これならクネクネというタイトルにする必要はなかっただろう。

○○村とかトヨコの呪いとか、そんなタイトルであればここまでガッカリすることはなかっただろう。もちろんそんなタイトルであれば、視聴する人は少なかっただろうということは理解しているが、無為に1時間をドブに捨てた被害者をイタズラに増やしただけだと感じる。

*****

ジャケットを見るだけで、低予算B級ホラー映画だとわかるのに視聴して文句いってんじゃねーよ、という意見もあるだろう。

それはもちろん正論だ。

ただ低予算B級ホラー映画、というジャンルの楽しみ方はツッコミどころ探しや低いハードルを越えるかもしれないという期待だと思っている。

そして、同じ楽しみ方をしている人が多数、なんなら制作側も理解していると思う。

なのにこの体たらくだったので、文句の一つも言いたくなったのでここに綴らせていただいた。

ちなみに低予算B級ホラー映画で私のオススメは

監督: 宮岡 太郎(2019)

こちらの恐怖人形だ。

推定、2m近いサイズの市松人形が襲い掛かってくる絵は最高なのでこのジャンルが好きな暇な人はぜひ見てほしい。

この絵のアホさ

少しでもいいと思っていただけたら
「スキ」「フォロー」のほどよろしくお願いします。

私のパゥワーになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?