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東洋医学講座 278

〇脾と肌肉

▽人体おける大地〝脾体〟

▼肌肉とは〝脾体〟の総称


図のように、自然界において大地とは形を成しているものであり、もともとはどのような働きでできているかといいますと、まず陰の宇宙の冷気とそこに何らかの原因で発生した微熱によって、冷気と暖気のぶつかり合いが生じ、大気が動き始めて旋回します。その旋回によって生ずる熱気によって物体化されたものが、いわゆる大地であります。つまり、形とは陰と陽、冷気と熱気からつくられているわけであります。

地球の生成を考えますと、中心はもちろん熱いのですが、地上はそれに比べれば冷気によって冷やされています。地球自体にも陰と陽があり、地上にも太陽熱と宇宙霊気というように、やはり、陰と陽があります。地球はもともと陰陽によって生成されたものですが、それと同じ仕組みで地上も陰陽を持っています。

われわれが陰とする大地は、冷却の気であります。太陽熱の熱気と大地の中にある物質を含んだ冷却の気とが交流して生物が発生し、それを人気といいます。

人気が母体となっているもの、すなわち形の母体は大地であります。そして形をつくる働きをしているのが天気であります。

天気を分かりやすく述べると、春夏秋冬の季、つまり四季の働きであり、その四季とは、四つの働きをします。天気と地気がお互いに交合し合って人気を生成しています。この考え方を人体に置き換えますと、大地の役割をしているのが脾体になります。

仕上がった肉体と生成していく過程で考える場合では少々違いがありますが、真理は一つ、仕組みは一つになってるといえます。仕上がった状態の人体をでは、形あるものは全てが脾体であります。血管でも何でも、形あるものすべてが脾体であり、それを総称して肌肉といいます。

表面的な肉体ではなく、もともとの考え方を把握した肉体であります。また、肉体の中に生理作用が働きます。それが天気、四季に当たり、肝心肺腎であります。

肌肉とは、ただ表面的なものだけではなく、形と生理作用の四季というものが交合され人体が成立している、という点まで把握した肉体でないといけません。そうしないと、死体を考えるのと同じになってしまうからです。臨床家は、あくまでも生きた人間を立体的に考えながら勉強しなければいけません。

そこで、春季、夏季、土季、秋季、冬季とある中で、土季と四季の関連が分かりにくい人がいるかと思います。

図にあるように、人体全体が脾体であり、その中で脾気が出てきます。大地には地気があり、その中にも純地気というものがあります。易でいう坤為地の気です。それが四つの天気と交わって四季が成立します。四つの天気と交わらない気、それがすなわち純地気であります。交わる前、交わりつつある地気、また四天気よりも天気の薄い地というわけであります。これを土用といいます。

春夏秋冬に中で、例えば仲秋というものは、秋の純金気であります。そして、仲冬は純水気ということになります。そうしますと、純金気でもなく純水気でもない季、すなわち仲秋と仲冬の真ん中に気は何というかといいますと、それを土気といっています。金気も水気も薄い気で、その中には地気が余計に入っています。金気の中に地気が多いときを秋の土用といいます。全四季の間には必ず土用があります。

上記のように考えますと、脾気というものがある程度分かるかと思います。つまり、脾気というのは、消化吸収という独特の働きを持っていますが、そこで全身が脾体であると考えるならば、全身の働き全ては脾の働きであるとといえます。したがって、他の四気は脾体を借りて働いているにすぎないともいえます。すなわち肝心肺腎の各臓気は脾体を借りて働いているわけであります。また、四気が脾体のために働いているのだと考えられ、互いに協力して生存しています。互いのバランスが崩れると水平作用がうまくいかなくなり、体調を崩します。

臨床家はこの仕組みはよく知っておく必要があります。

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