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脊髄腫瘍の体験談 #1 (初期の自覚症状から診断、治療方針まで)

はじめに

 首に脊髄腫瘍ができ、摘出手術を受けました。脊髄腫瘍の個人の体験談は非常に情報が少なく、ネット上にも、あまり見かけられず、リアルな情報が少ないと思います。

脊髄腫瘍とは、脊髄内に発生した腫瘍や、クモ膜,硬膜、神経鞘(神経を保護する膜)、さらに脊柱管内の軟部組織や椎体に発生した腫瘍により、脊髄や神経根が圧迫される病気の総称です

脊髄脊椎外科 脊髄腫瘍 | 東京女子医科大学脳神経外科より引用

脊髄腫瘍は何人に1人くらいですか?
脊髄腫瘍は、人口10万人当たり年間2.5人の発症率で、非常に稀な疾患です。 発生部位別に、髄内腫瘍(脊髄の中にできた腫瘍)、硬膜内髄外腫瘍(硬膜の中で脊髄の外側にできた腫瘍)、硬膜外腫瘍(脊椎腫瘍など硬膜の外にできた腫瘍)に分けられます。

脊髄腫瘍 | 愛知医科大学病院 より引用

脊髄腫瘍の症状は、その腫瘍の発生した部位での神経根の刺激や圧迫による頸腕痛、肋間神経痛、腰痛、坐骨神経痛などの痛みです。 そのうちにしびれ感や知覚異常、下肢の重苦しさや脱力感が出現します。 腫瘍が増大して脊髄が圧迫されるようになると、知覚障害、運動麻痺はさらに進行し、排尿困難、尿失禁も出現します。

脊髄の良性腫瘍(せきずいのりょうせいしゅよう)

私も事前に調べたりしましたが、個人の感想や情報を知りたい方も多いのでは無いかと思い、ここに体験談を載せておきます。非常に珍しい病気のようで、年間10万人に1〜2人の割合程度にしか発症しないそうです。

手術でしか回復はできず、手術中に摘出した腫瘍を病理検査し、悪性度を評価します。良性の腫瘍(良い腫瘍、手術後はほっといて大丈夫)の場合がほとんどらしいのですが、私の腫瘍は悪性で、この辺りは別の記事に書きますが、症例が学会に提出されるほど珍しいものと判明しました

(2023年7月31日時点)
引き続き放射線治療を行っています。

筆者は40台前半、男です。

これから先は、診断に至った経緯を書いていきます。

首や肩が痛い!左手が痺れる!

2022年12月
 当時はコロナ禍で在宅ワークも2年目に突入していた年末です。普段はシステムエンジニアとして働いている私は、12月上旬から利用者が使う画面の設計と開発をしていました。普段の業務よりマウスの細かい動きが多く、肩が凝りました。

12月という季節もあり、運動もあまりできていなかった私は、運動不足くらいにしか考えていませんでした。

しかし、あまりにも首や肩が痛く、12月下旬には睡眠中に痛み(※1)で起きてしまうという事態に。年末の追い込み忙しい時期に、上司に早退許可を貰い、近所の整形外科へ。

※1 安静時疼痛(あんせいじとうつう)
安静にしていても胸の痛みなど身体の部位に痛みがあり、次第にひどくなる状態のことをいいます。 原因は腰痛や腫瘍・炎症・狭心症の発症などさまざまで

安静時疼痛 - e-ヘルスネット - 厚生労働省 より

首のヘルニアですね

 整形外科ではレントゲンを撮り、首の骨が少し変形していると。肩凝り体操のしおりを貰い、「セレコキシブ」「ノイロトロピン」という痛み止めを処方されました。

セレコキシブ錠は、痛みや炎症を抑えるお薬(消炎. 鎮痛剤)です。

ニブロ株式会社 セレコキシブ錠 100㎎・200㎎「ニプロ」 を服用される患者さんへ より

ノイロトロピンは慢性の神経痛など,痛みを伝える神経の感受性が増して痛みをより強く感じやすくなった状態の痛みにその感受性を低下させて効果を発揮

ふしぎな鎮痛薬 ノイロトロピン 神経痛治療薬 - 藤垣クリニック より


肩懲り体操頑張る

2022年1月
薬を飲みながら肩凝り体操、ウォーキング、筋トレストレッチを継続。
やっていると痛みや痺れが和らいだため、継続して頑張りました。
すごく筋肉つきました(笑)

首の牽引(リハビリ)実施

2023年2月
やはり、首や肩が痛い。左手が痺れる。
夜も痛みで起きてしまう状態が続きました。
再度整形外科へ。
引き続き運動しながら投薬、首の牽引(リハビリ)を行うことになりました。首の牽引は5回くらいやりました。
やったあとはとても気持ちいい。
あまり運動できず。

2023年3月
まだ症状が良くならず、再度整形外科へ。
首の牽引は2回くらいいきました。
あまり運動できず。
セレコキシブノイロトロピンに加え、エペリゾン(ミオナール)という筋肉の凝りを和らげる薬も追加になりました。

エペリゾンは肩こり、頸部痛、頭痛、腰痛、手足のつっぱりやこわばりなどの筋緊張にともなう症状を改善します。

 HelC(ヘルシー) エペリゾン塩酸塩錠50mg「日新」 より

自覚症状が増える

2023年4月
引き続き整形外科へ。
セレコキシブノイロトロピンエペリゾンを投薬。
肩こり体操や運動はあまりできず。

この頃から、

足の太ももの痺れ
足の脱力感
歩行時にガクッとなってしまう
おしっこが出にくいなどの症状(排尿障害)

が出ていました

腫瘍があるのではないか?

2023年5月13日(火)

上司に体調悪いことを相談していたら、すぐに再度病院に行くよう勧められ、整形外科へ。

ここで新たな進展がありました。

たまたまそのとき来ていた先生が、なんと近所の大学病院の院長でした。

これまでの経緯とレントゲン画像から、「腫瘍があるのではないか?」と。

この時の私は腫瘍?何それ?状態。

すぐに検査しましょうと言っていただき、2日後の月曜日朝イチで大学病院のほうに来てくれとのことでした。

え、そんなに、すぐ?急に?

とおろおろしていると、

先生が「大丈夫、僕は大学病院の院長だから、まかせて」と。

即上司に連絡し、月曜日休暇をとり診察へ。

大学病院の初診の壁

2023年5月15日(月)

大学病院へ。

初診のため9時に予約ですが、8時に来てくれとのこと。

ものすっごく人数の初診の方がおり、最初の手続きが完了するまで、本当に1時間かかりました。

大学病院恐ろしい。

検査の嵐

院長自ら診察していただき、
「すぐに検査しましょう!」
と、まずは血液検査、レントゲン、心電図、CTやらいろいろ実施。

たくさん検査し、MRIも取らなければいけないこと。

予約が土曜日までいっぱいとのことで、

5月20日(土)にMRI
5月22日(月)に検査結果

という怒涛のごとく早い展開に、ただただ身を任せていました。

脊髄腫瘍です、手術しましょう

5月22日(月)診察室に入った瞬間に院長先生が

「脊髄腫瘍です、手術しましょう」

えー、手術、薬とかで治らないんですか!?

というと、既に治療計画が出来上がっており、
入院と手術が必要とのこと。

入院や手術など縁が無かったため、全てが初めてだらけで、

不安の一言

頭が真っ白でしたが、一つ気になったのが、

「先生、いつ寝てるんですか?」

と。土曜日の結果を見て、月曜日の朝一で治療方針出ているとか、仕事早すぎです。

主治医決定と治療方針の説明

主治医がK先生になりました。

手術の執刀もK先生が行うとのこと。

K先生から最初の一言。

かなり難しいね~

頑張りましょう!

MRIの画像を見せてもらいました。
うろ覚えなうえ、絵がへたくそで申し訳ないですが、脊髄の神経が腫瘍にだいぶ圧迫されていました。右の黒い部分が腫瘍です。

脊髄腫瘍 神経が圧迫されている

腫瘍が神経を圧迫しているので、体のあちこちに不調が出ているとのこと。
その後、手術の説明がありました。

手術名

脊髄腫瘍摘出術

方法

(筆者訳)首から背中の後ろを切って、筋肉を一部引き剝がして腫瘍を取り出します

他の選択肢

(筆者訳)ございません

詳細説明(筆者訳)

  • 手術後、数日間はベッド上安静

  • 全身麻痺になるリスク有り

  • 血種が出てきて痛くなることがある

  • 髄液漏れが発生することがある

  • 背骨の一部も切除するので、痛みがしばらくあるよ

  • 合併症で脳梗塞、心筋梗塞などなどたくさん可能性あるよ

  • 末梢神経に障害が起きるかもよ

  • 今の状態からすべてが良くなる確率は6割

  • 腫瘍の良し悪しは手術後に病理検査をして判断します

あぁ、終わった、、、と正直思いました。

手術を1週間後にしましょう!

手術来週、やりましょう。
急いだほうがいいよ。
早くしないと、それこそ全身麻痺になるよ。

とのこと。

えぇ、急だなぁと思いつつ、手術は嫌だけど全身麻痺も嫌だし、院長(大学病院の教授)とK先生(准教授)が言うんだからと、急いで仕事の調整をしました。

その日のうちに上司やプロジェクト関係者に連絡して、次の日にはメンバー全員へ挨拶。

後は入院前検査をして、さぁ入院だ。

入院前検査でコロナ陽性

「コロナ陽性の場合、当院では1カ月待機していただいています。」

K先生からお電話が。

K先生、結構おちゃめな感じで話してくれる人だったのですが、このときだけはやけにドライ。

私も、マジかぁ~という気持ちやこれまでの大変さもあり、「マジですか?どうにかならないんですか?」とK先生にあたってしまいました。

K先生は、「命が危険がある患者さんが優先です」と。

そりゃそうだ。
コロナで重症化で命を落とす>全身麻痺になる可能性
理解できます。

命を重さを知りました。

その後、1カ月間、本当に家に籠って感染を気を付けつつ、無事に6月26日に入院できました。

いや、ほんと、まだまだコロナなめんなよ、と全世界に言いたいです。

最後に

今回はここまでとなります。
脊髄腫瘍は首、胸、腰のパターンもあるらしいですね。

首の場合は、かなり高度な手術となるようで、術後が皆さん辛いそうです。胸、腰はわかりませんが、それなりに辛いと思います。

次回は入院から手術、退院までを書いてます。
入院費や手術後の傷画像、などリアルな情報も載せています。


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